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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

専務と私~総二郎~

パンッ!

乾いた空気の中、更に乾いた音が響き、周りの人間の注目の中、女は走り去る。
「・・・てぇ・・」
俺は平手打ちを喰らったばかりの頬に手の甲を当てながら
「・・・くっそ!・・・絶不調・・・」
舌打ちしてアスファルトを蹴った。

ありえねぇ。
3日連続、女に平手打ちくらって置き去りの刑。
遊び人の名がすたるってもんだぜ・・・
ビリビリする頬を軽く擦って天を仰ぐ。
はぁ~っと溜め息をついて下ろした視線の先には、週末を楽しむカップルだらけの街角。
クソ~、楽しそうにしやがって。
片っぱしから女の方口説いて、別れさせてやろうか。
穏やかでない事を考えてぐるっと巡らした視線の先に。
・・・・・・・・・いいもん発見。
俺は一気に機嫌を直すと、それ目がけて歩き出した。

「よう」
後ろから追いつきざまに、ポコンと頭に手を載せる。
「西門さん!」
振り向いた女が驚いて見上げる。
「どうしたの?びっくり」
久しぶりに見る牧野は会社帰りらしく、スーツにヒ-ルで、ちゃんと大人の女って感じに見える。
が、この屈託のない笑顔。
すっげぇいいけど全開って、大人の女としてはなぁ。
「相変わらず色気ねーなぁ」
笑ってやったら軽くボディーブロー。
「はは、やめろ、もう手負いなんだから」
「なに?」
「見ろよ」
「赤くなってる。どうしたの?」
「彼女に平手打ちされて置き去りの刑」
せいぜい哀れっぽく言ってやると、牧野は呆れた声を出し、もっと笑った。
「どぉぉぉぉぉせ西門さんが悪いんでしょ。10股とか20股とか30股とか掛けるからだよ!」
「多すぎだろ!」
「ぶたれてトーゼン!当たり前だよ!」
「うるせぇ。牧野は?今帰り?つき合えよ、ヤケ酒」
「あはは、ヤケ酒!いいよ、道明寺も、今終わったって連絡あったから。
ここ歩いてたら拾ってくれるって」
「司、久しぶりだな。相変わらずかよ」
「うん、変わりようがない」

笑いながら、歩く。
この前会社に類が来たとか、司は社内にファンクラブがあってどーのこーのとか。
たわいもないそーゆー話を笑ってしながら、見続けるツムジ。
俺の彼女たちよりずっと小さい牧野を見てると、司の
『守ってやりてぇ』
欲求が何となく理解できる気がする。
まあ、中身は誰よりキョーレツで、強くて逞しくて、逆に守ってくれそうなキャラだけど。
話しながら、意識の下でぼんやりと考える。
多分F4の中じゃ、俺が一番牧野から遠い。

司はもう、何も言う気が起きねぇ程の牧野バカで、一番こいつと近・・・いやどうかな。
類かな、精神的には。
なんたって類は、こいつに『あたしの一部』とか言わしめるほどの男だ。
まぁ、その距離感がいつでもゴタゴタを引き起こす訳だけど。

俺に言わせりゃ牧野が悪い。

好きなのは司なんだから、それらしくベタベタに甘えてかわいいとこ
見せてやりゃあ、あの男も満足すんだろうに、いつまで経っても
素直にならねぇからな、こいつも。
そんで類には、いかにもトクベツって感じで懐いてっから始末が悪い。
類と牧野な~。
絶対ないと思うんだけどな、俺的には。
例えば2人、素っ裸で同じベッドに入ってても、なんもねぇんじゃね?
ま、そんなのあの独占欲の塊には通用しねぇんだろうけど。
あきらはあきらで、ひと頃はいろいろ思うところもあったみたいだけど、
もう、自分のポジションは2人の兄!って決めちまって何くれとなく世話焼いてる風だし。

とか考えてたら、後ろから近づいてきたリムジンが音もなく俺らの横で止まった。
「道明寺」
降りてきた男を見て、牧野が笑う。
親友はゆったりと歩いて来て、ポンと牧野の頭に手を載せると、
見てるこっちが恥ずかしくなるような甘い顔して、笑った。
ったく。
昔は、地獄の底からやってきた殺人鬼みてぇなツラしてやがったくせによ。
その後でこっちに目を寄こす。
すっげぇ!一瞬でフツーに戻った!
ホントこいつはアレみてぇだ。
飼い主だけに懐く犬。
昔、牧野がこいつを犬扱いしたのもある意味正解。

「よう、総二郎」
「お疲れ」
「なんでお前居んの」
「女に置き去りにされた」
天を仰いで言うと、司は愉快そうに笑って
「いつまでもテキトーやってっからだろ」
とか言いやがって、何だコノ上から目線。
「ヤケ酒なんだって、今日は」
俺らの遥か下から牧野が言う。
「つき合うぜ」
ニヤリと笑った親友の顔は、なんとな~く優越感、みてぇな感じで。
なんか言ってやろうと思ったけど。
大人だから我慢した。



***

いい酒だった。
俺と牧野と司、珍しいメンバーでメシ喰って呑んで。
久々のノリでゲラゲラ笑って。
結構呑んだ。
楽しかっただけじゃなく、3日連続平手打ちのウサ晴らし。
最近、絶不調でよ~と訴えていたところに、司の携帯が鳴った。
表示を確認すると、すっと手を挙げ、中座すると合図をして部屋を出て行った。
すかさず俺は牧野に絡みだす。
やっぱ、いじって楽しいのは司よっかこいつの方だよなぁ。

「そっちはどうだよ、司とケンカしてねぇか?」
聞くと牧野があははと笑って
「トーゼンしてるよ?」
と、ピースした。
威張るとこなのかよ。
「どんな?」
ちょっとは色気のあるケンカ、するようになったかよ、と覗き込むと、牧野はキロっと天井見て
「う~ん、昨日はナスでケンカした」
「は?ナス?」
ナスのぶつけ合い?それとも那須高原、ナスカの地上絵。
それともありえねぇけど、司がナス使ってなんかヤラシイ事でもしたとか?
・・・・・・・・・・オレ結構、酔ってんな?

「うん、ナスってさ、新鮮なのってヘタのところに棘があるじゃない」
「じゃないって、知らねーし、はははははっ」
「ダメだなぁ、坊ちゃん。あるんですよ、棘が。それで、昨日ウチ
焼きナスだったんだけど、指に棘、刺しちゃって血が出たわけよ。
そしたら、アイツいきなり怒りだして。お前はもうそれ触るなとか
言いだして。家からシェフ呼ぶからとか言って」
「ははははっ!バカだお前ら!」
「バカなのはあいつだけだっつーの。ありえないって。
何でたかがナス焼くのにシェフ呼ばなきゃなんないのよ」
「ははは!そりゃ呼ぶだろ!司だもん。つーか、オレその料理知らねぇ」
「道明寺は好きだよ。今度作ってあげる。機会があったら」
「ああ。どんな危険な料理なんだか見せて」
バカ笑いしながら、後はと促すと牧野も楽しくなってきたのか笑いだす。
「あと、この前はねぇ、何でもいいから喋れって言うから、
その時考えてたこと話したら、急に不機嫌になって~」
「なに、いつ。状況話せよ」
「えーと・・・・その・・寝る前」
「いちいち照れんなって。司が怒るって何の話ししたんだよ。
うわ、お前また類の話とかしたんじゃねぇだろーな。お前、惚れた女と
一緒にベッド入ってる時に、違う男の話、始められたら」
「違うって!寝つくまで何でもいいから喋っててって言うから、当たり障りのない・・・」
「早く教えろよ」
「え~、確か、拭き掃除は軍手を使うのが一番便利でキレイになるとか、
密封容器にバターと小麦粉と牛乳入れてめちゃくちゃ振ると、ホワイトソースが
簡単にできるとか、この前シラス買ったらちっちゃいエビとカニが入ってて
嬉しかったとか、まあそんな話」
「ぶはーっ!ははは!バッカお前なんだよソレ!ははははっ」
派手に吹き出してヒーヒー言ってると、牧野が何笑ってんのよみたいな顔でニラんでくる。
「ぴ、ぴ、ピロートークで軍手とシラス・・・ぶはっ!お前・・・ははははは!
マジで司、気の毒すぎ。ち、違うだろ、求めてたのは。
好きな女の声聞きながら寝たいっつったら、愛してるとか好きだとか
そーゆーのに決まってんだろ!あ~、涙出てきた。お前らホント、サイコー!」
「ウルサイなぁ」

牧野が膨れたその時、状況が変わった・・・が。
酔っぱらいの俺は牧野に教えてなんかやらねぇ。
そればかりか、あとは?なんて水を向けてやるんだ。
「そうだ、それに西門さん、聞いてよ酷いんだから。
この前あたしさ、会社で公私混同すんなって怒ったんだよ。そしたらアイツ、何て言ったと思う?
真面目な顔して『仔牛?』とか聞いてきたんだよ!」
「ぶはっ!!!」
「ドナドナか!何であんなにアホなの?アメリカ帰りで英語ペラペラかも
しれないけどさ、母国語は退化してるっつーの。それにワガママ相変わらずだし。
知ってる?道明寺んちのメイドさんに、代々伝わる『坊ちゃんノート』。
雨の日は紅茶を飲むことが多いとか、半径1m内に入ると機嫌が悪くなるとか、
すごいよ!『飼育日誌』の方があってるかもしんない。
それもこれも人に気ぃ遣わすアイツの・・・西門さん?」
ニヤニヤ笑いながら、それを見る俺の視線にようやく気付いたらしい。
牧野は不審な顔をしてこっち見て、
「・・・・・・・・ずいぶん楽しそうじゃねぇか」
「ひっ!」
自分の頭の上から響いた低い声に跳び上がった。
ギ・ギ・ギ・と音がしそうな硬さで振り向いて、司を見て、その後バッ!っとこっちを睨む。
「にしかどぉぉぉぉっ!」
「ぎゃははははっ!!」
「もう!わざと!知っててそーゆー事する!信じられない、このエロハゲ!」
「ははははっ!全然気づかねぇんだもん牧野バーカ」
「絞めるよっ」
ぎゃーぎゃー騒ぐ俺らをよそに、司は黙って席に戻る。
てっきり怒鳴り散らすと思ったら。
テーブルに肘載せて、指先で顎を支えて牧野をじっと見てる。
牧野はそーとー気まずいらしく、目を泳がせながらグラスを取った。
「どんだけ悪口言ってんだよ、このボケが」
「えへ」
「ったくしょーもねぇ」

「おお、大人じゃん、司」
「あ?」
牧野以外を見るのは時間のムダみてぇに、一瞬だけこっちに来た視線を捕まえる。
グラスに口をつけながら、褒めてやった。
「悪口言われてさらっと流すなんて、お前も大人になったよなぁ~!」
「まぁな」
司は、キョドる牧野をじーっと見ながらニヤリと笑った。

「仕返しは、ベッドの中ですりゃいいし」

ブーッッ!!!ゲホッ!ゲホゲホゲホッ!!!
「ぶはははははっ!はははははっ!」
ひどくむせている牧野に悪いと思いながらも、笑いがとまんねぇ。

ああ確かに。
めちゃくちゃ大人になったなぁ、司ちゃん。

笑いながら席を立つ。
「ごちそーさん、俺行くわ」
「帰んのかよ」
司が牧野の背中をさすりながら視線を寄こす。
「ああ、大人になった司も確認したしな、はははは、じゃな」
「おう、またな」

ドアを後ろ手に閉める。
中から
「ヘンな事言うなっ!オヤジかあんたはっ!」
「ほ~、さんざん俺の悪口言っといて反省なしかよ」
「悪口じゃないよ。事実を報告しただけだもん」
「テメすっげ生意気。何ならここで仕返ししてやってもいいんだぜ」
「ぎゃーっ!!触わんなっ!」

・・・・・聞いてらんねぇ。
バカップルめ。

くっ・・と笑って携帯を取り出しながら店を出る。
「・・・あ、もしもし?ヒマ?今どこ?お、いいねぇ。それじゃあこれから会わない?」
カワイイ彼女とデートの約束取り付けて、眠らない街を歩きだした。

純愛、とか誠実、とかお笑い、とかはあいつら担当な。
俺にはムリ。
いつか俺も『たった一人』に巡り合うかもしんねーけど。
まあ、それまでは愛の伝道師として行かせてもらいますか。


さて。連敗記録阻止なるか。






                               Fin


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コメント
久しぶりのぉ~専務シリーズ!
公約(?)どおりの総二郎♪

F4の中では、誰より司に似ていて、一番遠くて。
つくしとの間に、類とは別の意味で何も起こんないだろうっていう距離感がたまんない (≧ω≦*)♪

そっか、仕返しはベットの中かぁ・・・・
グフフφ(●′◇`)σ  も~ラブラブ♪

総ちゃん、連敗止まるといいねぇ~
やっぱり、100戦全負でいてほしいわ。
なんてったって、愛の伝導師でファンタジスタだもん!

(実は私は 総×優でまとまって欲しい人)
そのためには、全部負けてもらわないとね φ(≧∀≦*)
ある意味ぃ、鬼?

今日も、面白かったぁ~
仕事サボって・・・(いいのか私?)見に来てヨカッタ♪

とばさん、ありがとぉ~
2009/10/21(水) 14:14 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
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2009/10/21(水) 15:14 | | #[ 編集]
こんにちは
噂どおりの総ちゃん つくし・総二郎じゃなくて良かったぁ。。     私、司大好きなんです。 全て兼ね備えてるのに、チェリー。。とばさんの司は絶品だし!!いつか、嫉妬狂いからストーカーに化す??泥沼の愛を読みたいなぁ。。
2009/10/21(水) 16:40 | URL | カスミ #-[ 編集]
こんばんは!!v-407

うわー!やったー、総ちゃんじゃん!!

とばさん、すンげーーー
おもしろかったv-344

軍手とシラスには、ブワッハハの大笑いさして頂きました。

総ちゃんがつくしに…ってんじゃなかったけど
あ~、こんな感じかもねぇ、と納得。
粘った甲斐があった。うふふふ

3連敗のビンタ食らった、ファンタジスタ
意外と『ただ一人の人』が近くにいたりして。。。。。
(総優も好きなんだよね……)

相変わらずの司、つくしも見れたし
とばさんて、天才!!

いいものみれた、たのしかった!!


     では、また・・・。e-463
2009/10/21(水) 17:09 | URL | magenta #-[ 編集]
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2009/10/21(水) 18:25 | | #[ 編集]
とばさん大好き♪
ジローを絡ませても、ちゃーんとつかつくv-238
ジローはさしみのツマだったのですね♪♪
素敵素敵。バカップル上等。
司大好き、とばさん大好き。
大人なカンケイに昇格しても、照れるつくしに堂々たる?坊ちゃんv-10
そう、二人が成就したあとはこんな感じなのでしょうねv-22
しっかり味の長編の後に、こーんなおいしいドルチェが待っていたとは…。
今日も二人が幸せで、私も幸せでした!
2009/10/21(水) 21:21 | URL | 紫紺 #KCv9ojSo[ 編集]
ちふゆさま
わ!ちふゆさん、お仕事大丈夫ですかーe-330
っつーかグフフって・・・・・・
やっと総二郎書けました。
ずっと、ウチの総二郎ってどんな人なんだろうって考えてたんですけど、こういう人です(笑)。
なんかおバカ全開ですね。
恥ずかしい。
2009/10/22(木) 02:37 | URL | とば #-[ 編集]
いろはさま
ありがとうございます。
度々のコメントにとても励まされております。ホロリ。
私も専務シリーズ好きなんです。
なんか、専務シリーズのつくしは自分が愛されていることを知っているっていうか、かなり強気。
バカップル上等、です。
2009/10/22(木) 02:43 | URL | とば #-[ 編集]
カスミさま
私も司、大好きですv-344
ん?つくしを好きな司が大好きです。うん。
つかつくなんですよ~v-353
今回総二郎を出すにあたって、よし、つくしを口説かせようっ!と思ってましたが全然ダメでした。
2009/10/22(木) 02:52 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
こんばんは。
軍手とホワイトソースはマジです。
特にホワイトソースはお勧め・・・・って、すて奥かよ!
うん、総二郎とつくしはこんな感じでお願いします。
総優もステキです。
スキ。
2009/10/22(木) 02:57 | URL | とば #-[ 編集]
明けカラスさま
お仕事お疲れ様です。
お疲れの中、コメントまで頂いちゃってありがたいです~e-330
総二郎編はホントにアホっぽくて・・・・お恥ずかしい。
懲りずにヨロシクお願いいたします。
2009/10/22(木) 03:07 | URL | とば #-[ 編集]
紫紺さま
うわー、ありがとうございますe-449
さしみのツマ、総二郎(笑)。
なんかウケる。
つかつくにあてられて、虚しくなったりしないんでしょうか、彼は。
2009/10/22(木) 03:14 | URL | とば #-[ 編集]
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2016/09/07(水) 22:02 | | #[ 編集]
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