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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

リベンジ 17

「「「お帰りなさいませ」」」
シゲルさんに送ってもらった道明寺家で、相変わらずの物々しい
出迎えを受けて、恐縮して自分の部屋に向かおうか、と思っていると
「牧野様」
木村さんに呼び止められた。
「二日酔いですか?」
「ありゃ、わかります?」
「そんな沈痛なお顔で眉間を押さえてれば」
木村さんはくすくす笑うと
「大学に行かれる前に、お茶でもいかがですか。私も休憩なのでご一緒してよろしければ」
穏やかに笑った。
「もちろん。ありがとうございます。いただきます」
まだズキズキする頭を押さえながら、使用人の休憩室へ向かった。

「これどうぞ。効きますよ」
お茶と一緒に差し出された小さなパック。
木村さんをじっと見ると、くすくす笑って
「二日酔いの薬です。妻に持たされました」
「木村さん、結婚されてるんですか?」
意外に思って尋ねた。
だって木村さんは屋敷に住みこんでるって言ってた。
普通結婚してる方って、通いなのに。
「はい、妻と、娘が2人。・・・・・・・今は離れているんですが・・・」
その影を落とした表情が、それ以上立ち入るのをためらわせた。
慌てて薬のパックを掴み、
「これっ!ありがとうございます!いただきます!」
勢いでお茶で流し込んでから
「う・・・にが・・・ぶべ・・・・」
盛大に顔をしかめたあたしを見て、木村さんが言った。
「あ、すいません、言い忘れてましたが苦いですよ」
「遅いですっ」
顔を見合せて大笑いした。
あたまにガンと響いて後悔したけど。



木村さんにもらった薬はとっても効いた。
ギリギリ間に合った、午前中最後の講義を終えてカフェに向かう。
諸事情により今日はお弁当なしだから、う~ん・・・何食べよっかな。
二日酔いの名残のある身体は、塩分と水分を欲している。
「・・・・・・・・ラーメン?」

あるわきゃないよ。
英徳だよ?
英徳のカフェだよ?
思わずはははと一人笑いすると、突然頭と肩がずっしり重くなった。

「よお、つくしちゃ~ん」
「西門さん?美作さん?」
「つくしちゃ~ん、温泉楽しかった~?」
わっ!
すっごいヤな感じの・・・
拗ねてる?お祭りコンビ。
「せんぱ~い。あたし達は置いてけぼりですか~?」
さ、桜子まで。
「な、なんで・・・知って・・・」
「昨日類に電話したらさ~、司と牧野と大河原と温泉に居るって言ってたんだよな~」
「ずるい、先輩。4人だけで遊びに行くなんて」
「だってっ!!あたしだって行きたくて行ったわけじゃ・・・
いきなりっ!道明寺とシゲルさんが迎えにきて、ほぼ拉致られたんだしっ!」
あたしの叫びは無視して、3人はこれ見よがしにひそひそ内緒話の
小芝居うったりして、あったまにくるったら。

「道明寺がヘンな事やりだすから・・・」
「ああ、牧野との思い出の地めぐり?ははは」
「あ~あ、温泉行きたかったな~」
「おーんせん!おーんせん!」
すっごく厭味な感じの3人に、半ギレしてにっこり笑ってやった。
「じゃあ今から皆で、違う思い出の地に行こうよ」
「どこどこ?」
喰いついてくるお祭りコンビにキッパリ言った。
「ラーメン屋」
「「「却下」」」
「はやっ!」
ちょっと本気だったのに。

「そんで、司なんか思い出した?」
「ううん・・・別に」
「ん~・・・大河原の別荘は、どっちかっつーと滋が主役じゃね?」
「もっと、強烈に牧野の記憶あるとこじゃねーとダメか」
「やっぱカナダとか?ぶぶっ、山小屋の一夜?ははっははははは」
「あー、ありゃキテたよなー、はははは」
「シゲルさんの島はどうなんですか?私は行ってませんけど」
「いいかも!」
「もっぺん沼に落としてな」
「あのー・・・・ちょっと?」
勝手に盛り上がってる3人に声をかけると、一斉にこっちを見る。
う・・・美形ばっかりで眩しい。
何となく赤くなって、さっきからの疑問を口に出してみた。
「あの・・・この前花沢類にも言ったんだけど、なんか最近、また皆で
あたしと道明寺をくっつけようとなんかしてないですか?」
「お」
「なに、お、って。あのさ、えーと、自分で言うのもなんだけど、
どっちかって言うと、皆って、道明寺に対して怒ってたっていうか、
あたしの気持ちを尊重してくれてたっていうか、ほら、こうなってからも、
もう遅い、的なムードだったっていうか」

なんていうか。

上手くまとまらなくてしどろもどろになったけど。
桜子がまっすぐ視線をぶつけてきた。
「ねぇ、先輩、今は道明寺さんの事、どう思ってます?」
「え。どうって」
「好きか嫌いか」
「え、だ、だって、アイツあたしの記憶ないし」
「記憶の事は置いておいて、好きか嫌いかですよ」
「そ、それは」
「まあまあまあまあ、桜子。牧野のことだ、多分自分の気持ち、よくわかってねーだろ」
ん?と覗き込んでくる。
「なぁ、牧野。この1年、お前ホントに苦しんだよな。
俺たち、お前のことずっと見てて、もう苦しめたくねーと思ってた。
司もひでぇ態度だったから、アイツのせいじゃないと思いながらも許せなくてよ」
静かに話しながら、西門さんと美作さんは頷き合った。

「でもよ、司が又お前に惚れて、人間味出てきて、いっしょーけんめ―なの見るとなー」
「やっぱ何とかしてやりたくなるわけよ。ダチだしな」
「私だって・・・。先輩。・・・・先輩だってずっと道明寺さんのこと
好きですよね。今は記憶がないのを理由に逃げてるけど。
道明寺さんとまた一緒に居るようになってから、先輩も変わりました。
ううん。戻りました、元の先輩に。・・・・・・二度と言いませんよ。
私だって、先輩の笑顔が見られれば、他の事なんてどうだっていいと
思ってるんです。花沢さんと同じなんですから」
「俺らも同じだよ」
「みんな・・・・」

泣いちゃうかと思った。

「でも・・・・ごめん・・・本当にあたしよくわかんないんだ・・・
・・・道明寺の事は、やっぱり好きなんだと思う。でも、それって、
前の道明寺のことなのか今の道明寺のことなのかわかんない・・・」
「司は司だろ。おんなじバカ」
「なんも変わってねーよ」
「うん・・・でも、なんか納得できなくて」
「っはぁ~・・・・ったくめんどくせえ女だな。
まあ、司の記憶が戻れば、んな悩みも一気に解決だろ?」
「っつーわけで、協力すっから」
「なっ」

皆の気持ちが沁みてどうしようもない。
こんなに。
思ってもらえてあたしは幸せ者だ。
道明寺、あんたもだよ。
ジーンとして思わず口に出した。

「桜子、西門さん、美作さん、ありがとう。大好き」

この後、この言葉を撤回したくなるなんて、この時は思いもしなかったけど・・・


***

講義が全部終わって、さて帰ろうかと建物を出た瞬間、両脇からガシッと掴まれた。
「ちょっと・・・・美作さん、西門さん・・・何か用?」
「よー牧野、講義お疲れ」
「ありがと・・・って、ちょっと!どこ連れてくのよっ!なにっ!まだ昨日のこと怒ってる訳?」
「俺たちが怒るわけねーじゃん」
「そうそう、ただ、毎日頑張ってる牧野に、お茶でも御馳走しようかな~なんて」
「気持ち悪いっつーの!ダメ!あたし講義が終わったら道明寺に
付いてなきゃいけないんだもん。そういう契約なの!」
「だいじょーぶ。司も一緒だ」
「あ、そうなの?」
そういうことならと2人についていった先は、美作さんの家だった。

「「おに~ちゃま~!!」」
「うおっ!!」
がしっ!
がしっ!
ぶらーん。
ぶらーん。
ついつい擬音を入れたくなるいつもの双子の様子に、堪え切れずに吹き出すと
「「つくしちゃ~ん!!」」

キターッ!!

身構えると、ドンッドンッとダブルで衝撃が・・・
「ぎゃっ!」
よろめきながら何とか持ちこたえたけど、そろそろ限界かも・・・
「こんにちは、絵夢ちゃん芽夢ちゃん」
双子とは、去年あたしが落ち込んでた時、何度もこの家に連れて
来られてたからすっかり仲良くなっていた。
「今日もお食事に来て下さったの?」
「おにいちゃまに無理矢理食べさせられるの?」
「泣いても食べさせられるの?」
「つくしちゃん、かわいそう」
「かわいそう」
「こらっ!人聞きの悪い事言うな!」
「はははは!こうやって聞くとあきらが牧野を苛めてたみて―だな」
「あはははは。ありがとね、あの時は」
「いいよ。っつーかあいつらの中では俺ってすっげ悪者だったんだな」
笑いながらリビングに行くと、相変わらず若い!お母さんがテーブルをセットしてくれていた。
今日もふわふわ。
ふりふり。
少女のような笑顔で笑う。
「つくしちゃん、いらっしゃい!」
「こんにちは、ご無沙汰してました」
「そ~よ~!!もっと遊びに来て~!あきらくん居ない時でも
いいから~。今日はね、つくしちゃんの好きなガトーショコラにしたのよ~!!」
「きゃー♡」
「どうぞごゆっくり」
「ありがとうございます♡」
「ほら、おふくろ、もういいから」
「んもう、ケチなんだからあきら君は。ママもつくしちゃんとおしゃべり
したいのに~。絵夢、芽夢もいらっしゃい」
「あはははは」


「よくそんなに甘いの喰えるよな」
「見てるだけで胸やけする」
「おいしかった~。ごちそうさま」
ケーキをいただいて、ふと一息つくと、気になった。
「ねぇ、ところで道明寺は」
「ああ、今に来んだろ」
ちょっと返事が素っ気なかったかもしれない。
でも気にする暇もなく、双子の遊ぼう遊ぼう攻撃に巻き込まれて、いつの間にか庭に連れ出されて。
「ねぇ、つくしちゃん」
絵夢ちゃんがキレイな瞳で見上げる。
手の平には細いチェーンにつながれた・・・おもちゃのカギ?
「おうじさまをかいほうするかぎなのよ」
・・・・・・かっわいい~!
言われるままに首にかけてもらって、2人をぎゅっと抱きしめる。
「いいな~、おにいちゃまは。こんなかわいい妹がいて」
にっこり笑った絵夢ちゃんと芽夢ちゃんに手を引かれて、懐かしの東屋に着いた。
「おうじさまがまってるのよ」

やったやった!
お姫様ごっこ。
この、メルヘンの国からやって来たような双子が言うと、ホントにどこかに王子様がいるみたい。
「王子様はどこにいるの?」
二人はにっこり東屋の中を指さした。
「ここで待ってるの」
可愛くて。
可愛くて。
「じゃあ、王子様を探そうか」
と、ドアをくぐった瞬間。

バタン

カチャ

「・・・・・え」

「よーし、絵夢、芽夢良くやったぞー」
「おにいちゃま、つくしちゃんはどうするの?」
「牧野は王子様とデート。邪魔すんなよ」
「「はーい」」
「ちょっとっ!!!」
既にカギかけられてるし!
どんどんドアを叩いてみたけどビクともしないし。
「牧野、王子様によろしくな!」
「ぎゃははは、あれが王子様って柄かよ。どっちかっつーと王子様に退治されるほうじゃね?」
「はははは!!言えてる!性悪ドラゴンとかな」
「西門っ!美作っ!開けなさいよっ!」
ガンガンガンガン!!!!
「協力するって言っただろ?」
「いらないよ、ばかっ!開けてってば」
「今回はSPとか邪魔入んねーから。リベンジしろよ」
「なっ・んっ・のっ!!バカな事言ってないでっ!絵夢ちゃん芽夢ちゃん助けてー!」
「おー、また明日なー」
「仲良くやれよー!」
「つくしちゃーん、また明日ねー!」
「遊ぼうねー!」
全然聞いてねぇーっ!!

双子を使ってくるなんて、あんの卑怯者めら・・・・・・
あたしはがくりとドアに突っ伏し。
鍵をかけられたノブを握りしめてガチャガチャやった後、後ろを振り向いて思い切り怒鳴った。

「あんたもあんたよっ!何回もおんなじ事されてっ!このスカタンッ!
ボケボケしてるからこんな事になるんでしょー!!!もう、バカーッ!!!!」


                       18へ

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コメント
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2009/10/14(水) 15:55 | | #[ 編集]
いろはさま
あっ!本当だ!
坊ちゃんが出てませんね!
気がつきませんでした(笑)
スカタンって、今どき使います?大丈夫です?
もしかして『アベック』とかと同じくらい死語でしょうか?←時々うちのダンナ君がアベックとか言うのでゲンナリします。
2009/10/14(水) 16:52 | URL | とば #-[ 編集]
黒バラ?
黒バラは、また東屋の中ですかぁ?

スカタンは、確かに「死語」・・・かも?

今度はSP来ないから。
つくしちゃん、ピンチ!
司くん、チャァ~ンス!

っていうか、鍵・・・はずしてもらえるのかしら??

ラーメン屋も思い出めぐりの中に入るはずだけど・・・
あれって、二人きりだからなぁ~
あきらも、総二郎も知らないのか??
とんこつラーメンでしょう~~!
やっぱり、プロポーズには p(^^)q

って、横道にそれちゃったよ!

黒バラの王子様、解放されて ドラゴンになるのが楽しみです♪
2009/10/14(水) 17:45 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
 二度あることは……また、いつか?
こんばんは!!e-350

総二郎、あきらに感謝したのもつかの間でしたねe-455
つくしにとっては余計なお世話でも、読者と司には
ラッキー!!チャ~ンス!!e-319

司もだけど、つくしちゃ~ん、あんたもだよ!
騙されてんじゃない!っつうの。
人のこと言えないよ……
らしいちゃ、らしい。おもろい展開だね。

スカタン……って、「ヤッターマン」好き?終わっちゃったけど。

今回、出番なしの坊ちゃん、次は今回の分も大暴れ?
するのかな。
つくし、ピーンチ!か
司、温泉の時の悶々の恨み、東屋で晴らせるか?

エロイ、司
キレる、けどヘロヘロのつくし。。。

ワクワク……楽しみです!!

     では、また・・・。e-463
2009/10/14(水) 19:00 | URL | magenta #-[ 編集]
ちふゆさま
ラーメンはとんこつですよね。
西門さん美作さん桜子は、例え付き合いでもラーメン屋には行かなさそうです。
滋さんなら大喜びで参加。
類は拒否?
坊ちゃんは勿論、つくしの行くところなら文句言いながらお付き合い。
2009/10/14(水) 22:24 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
こんばんは。
ヤッターマン見てました。ドロンジョ様v-238←20代前半なんですね。子供の時はすごいオバさんだと思って見てたのに。ピチピチじゃん。また死語。
出番なしの坊ちゃん気づきませんでした。
笑夢芽夢に夢中で。
ぷ。王子様らしく、紳士的に・・・ああ無理っぽいe-263
2009/10/14(水) 22:34 | URL | とば #-[ 編集]
あれれ?
熱下がりました。
気温差に体がついていかなくて、すぐ風邪をひくんです。

読んでいて、あれー司君は?と思っていたけど
最後に登場?つくしちゃん話しかけたよね
あれ?
次は、黒バラ司くん?

ワクワクしながら次お待ちしています。
がんばって下さい。
2009/10/15(木) 11:06 | URL | つゆかノエル #STO9711o[ 編集]
つゆかノエルさま
熱が下がってひと安心ですね。
他は大丈夫ですか?
インフルも蔓延してますもんねぇ。
ウチの市は学級閉鎖・学校閉鎖が相次いで、子供を持つ親はビクビクです。
・・・って世間話になってるし。
まだお大事に。


2009/10/16(金) 10:26 | URL | とば #-[ 編集]
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