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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

リベンジ 16

庭に東屋を見つけて入り込んだ。
月がでけぇ。
表情まではっきり見える明るさに、却って何にも言えなくなる。
さっきの牧野の泣き顔。
夢でも記憶でも。
どっちでもいいか、とか。
ただ一緒にいると
胸が騒いで。
たまんねぇ。

「それで話って何?」
でかい目で見上げてくるのに、心臓を打ち抜かれた気がして声が出ねぇ。
そっぽ向いて気を落ち着かせるのに集中する。
すると牧野は立ち上がり、俺の肩に手をかけると
「なんだっつーの」
と、俺の太腿に膝で乗っかって来た。
「いってぇ!!」
全体重がかかった両膝は半端なく痛てぇ。
まったく、すぐさま暴力かよ!
この闘犬女が!
「痛ぇっつーの!」
あったまにきて、そのまま腰に手を回して膝の上に座らせてやった。
「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!ちょっとおぉぉぉ!!!」
「うわっ!うっせお前!耳元で叫ぶなッ!!」
「じゃあ離しなさいよっ!」
「やだね。離すか」
細い身体にゆるりと手をまわして拘束する。
「このっ!このっ!このっ!」
しばらく身を固くして暴れていたが、ふいに力が抜けて寄っかかって来た。
「ぐらぐらする~」
「暴れっから酔いが回ったんだろ。ははは、ばーか」
「バカは・あんた・・・」
憎たらしい事言いながらも
くったりもたれてくる小せえ身体を、そっと抱きしめる。
耳元に顔を埋めて大きく息を吸い込むと、牧野の匂いがする。
甘くて、脳に響く。

かなりヤバい。

「ユメ、みた」
紛らわすようにそのまま呟くと、腕の中の牧野がくすぐったいと身じろぐ。
「ゆめ?なに?」
「お前の。泣いてた。タタミと布団と、なんかスゴイ狭いカビくせぇ部屋。
お前パジャマで。なんか俺のせいだっつってぼろぼろ泣いてた」
ピクリと牧野が反応した。
「・・・・へー・・・」
「キオク、だよな」
ひとことひとこと、区切るように尋ねると、牧野は固くなって
「・・・・・さあ」
と答えた。
「てめっ!ごまかしてんじゃねーよ!」
至近距離で視線を合わせると、月明かりを反射する真っ黒な瞳。

瞳に映る俺は、ありえねぇ。
不安そうな顔してやがる。

「シゲルさんが・・・」
感情の読み取れない牧野の目。
「シゲルさんがね、司、頑張ってるね、って、言ってた」
「は?滋?」
「うん、あたしシゲルさん好き。尊敬してるの」
「何でいきなり滋が出てくるんだよ」
「酔っぱらいだからだよ。ふふふ」
「自分で言うな」
「ねぇ、話していい?」
「おれの話は?」
「保留」
「ざけんな」

腕の中のぬくもり。
柔らかい身体。
熱を帯びた吐息。
牧野の匂い。
ちくしょう。
なにもかも、そそる。
至近距離に唇があったから、くっつけた。
ブラボー酔っぱらい。
抵抗しないのをいい事に、何度も何度も角度を変えて、軽く音立てて吸いつく。
柔らかい唇は、まるで俺を受け入れてるみてぇに大人しくしてる。
お利口さんにじっとしてる酔っぱらいに、もっとつけ込みたくなる。
だって足んねぇし。
閉じた唇を開けろと舌でノックすると、口の中でガチンと威嚇する音。
「ぷっ・・・っんだよ、ケチ」
上気した頬に唇を寄せる。
どこもかしこもスベスベして気持ちいい。

「あたし、前に弟と2人で暮らしてたことがあって」
突然呟きだす酔っぱらいを抱いたまま。
あちこちにキスを落とす。
「古いアパートだったんだけど」
髪に
耳元に
睫毛に
頬に
「あんたが隣に住んでて・・・住んでてっていうのかな、あれは」
聞いた。
あいつらから。
「夜中にキレて、あんたの前で大泣きしたことがある」
「マジ?」
「ねぇ、くすぐったい」
喉元を何度も辿っていた唇を止められる。
「んじゃ口開けろよ」
くちびるに戻ってすっと舐め上げる。
しめた。
小さくため息をこぼす、わずかに開いた隙間から入り込んだ。

「・・・・・・ぅ・・・・んん・・・」
鼻にかかった切ない声が脳をぶち抜いて。
頭ん中真っ白になって。
気がついたら、牧野の舌を無理矢理引きずり出して吸っている。
大きく水音をたてて絡む舌は我ながらヒワイで。
それにもっと煽られて、牧野を探る事だけに没頭していく。
胸を押してくる細い腕を、手首で捉えて後ろの壁に押し付けて。
無防備になった身体にぴったりくっつくと、浴衣越しにすげぇドキドキしてるのがわかった。
苦しいのか軽く眉根を寄せて。
小さく鳴くノドが、混じり合った体液をコクンと飲み下した時にはおかしくなるかと思った。
くそっ。
コイツたまんねぇ、マジで。
どうしても我慢できなくなって、浴衣の胸元に手を突っ込んだ。



う・・・・わ。
やっわらけー。
何で出来てんだ、コレ。
初めて触れるそこは信じられないほど柔らかくて、あたたかい。
「待っ・・・や・あだやだやだやだやだ」
正気づいた牧野が手を押さえてくるが、ムリだろ。
ちから入ってねー。
「あ・・・や・だってばぁ」
ふくらみをやわやわと撫でると、手のひらにプツンと硬い感触。
「なあ、気持ちいいの?」
「良くない良くない良くない良くない全然良くない」
だって反応してんだろ。

胸元に差し入れた手で、そのまま浴衣を剥いて。
喰いつこうと。
口開けて準備してたのに。
俺に与えられたのは
「やめろって言ってんでしょー!」
怒声と。
ボグッ!ドフッ!
「ぐぇ・・」
・・・・まぁ、予想はしていたが。



「ってぇ・・・」
「ぎゃっ!!」
するりと抜けだした牧野は、慌てて逃げ出そうとして柱に激突してるし。
「ぶ・・」
コントかよ。
一瞬にして変わった空気が惜しい。
マジで雰囲気壊す天才、コイツ。
「痛ったい痛ったい痛ったい、いたぁいいぃぃぃ!!」
「クックック・・・」
ムードとかいう話じゃねぇ。
石床にべちょんと座り込んだ牧野を引っ張り上げて、もう一度腕の中に閉じ込める。
「・・・何でお前はいちいち面白いんだよ。ったく」
「ああんたがヘンな事するからでしょーが!痛ったい、もう!」
「赤くなってる」
前髪を掻きあげて擦り剥けた額に唇を寄せると、牧野が首をすくめる。
そのままくっついて黙ってると、だんだん牧野がひくひくと動き出して。
不審に思って覗き込むと、ぽろぽろ涙を落して泣いていた。
「牧野?」
「ずっ・・・」
「ず?」
「ずる・・・・っう・・・うっ・・うぇ・・・・っく」
「・・・・泣き上戸かよ」
しゃーねぇなぁ。
「おら、どーした」
あやすように軽くゆすってやると、嗚咽が大きくなる。
うお、逆効果。
「ずる・・・・う・・・いよ。あたっ・あたしのっ・っく・ひっ・・・きだってっ・・・
・・・うっうぁ・・・わ・わす・れって・・ふ・・
かっってっにっ・・う・う・う・ああああぁぁぁ・・・」
「何言ってっかわかんねーよ・・・・・」
「・・・お・おもっいだ・いっ・いまさっってあああぁぁう・・っく・・・もう・・う・・
・・・う・・ううううぅぅぅぅ・・ひっく・ば・かっ・・ば・・・・ふ・ぇ・・・・ぇっく・・・」
わかんねーけど。
文句言ってんだろ?
今まで俺に言えなかった文句。
「言えよ。全部。溜め込んでたこと全部言え」
まるで赤ん坊をあやすみてえに背中をさすりながら揺らした。
ガキみてえに泣くコイツが可愛くて。
泣き声が胸に刺さって切なくて。



めちゃめちゃ笑わしてやりてぇ。

辛い事全部忘れさせて、めちゃめちゃ笑わしてやりてぇよ。

コイツを泣かしてんのも俺だって、わかっちゃいたけど。


泣いて泣いて泣いて泣いて。
泣き疲れて。
眠りに落ちる瞬間。
うっすらと瞼が持ち上がった。
「牧野?」

涙で揺らめく瞳で。
ゾクリとくる甘い声で。

「・・・・・すきだよ・・・」

ちくしょう、酔っぱらいめ。
トドメの爆弾落としやがった。



***

「あたた、まだ頭痛いね・・・」
「ガンガンする・・・・・・・」
帰りの車の中で、シゲルさんと顔を見合せて弱々しく笑う。
「ったく呑みすぎなんだよ、テメェら女のくせに」
「あっ!司、差別発言~!」
「るせぇ。とっとと帰るぞ。帰って寝る」
「眠れなかったの?」
純粋に、疑問として聞いただけなのに、道明寺は凶悪にこっちを睨んで
「てめっ!誰のせいだよっ!」
と怒鳴りつけてきた。
「怒鳴んないでよ、頭に響く・・・・・何よ、アタシのせいだっていうの?」
睨み返したあたしに、不機嫌男はチッと舌打ちを返してよこした。

なんだっつーのよ。

朝一番に
「お前、昨日の事覚えてんの?」
って聞かれた。
だから普通に
「覚えてるよ?」
って答えて。
「うさぎ屋でキャラメルパフェ、食べた。あんたが異様な雰囲気で、すごいウケた」
「ちげーよっ!夜だよ、夜っ!」
「シゲルさんと呑んで寝た?」
「その後だよ」
「その後…?」
見当がつかなくて首をひねっていたら、あんぐり口開けて
「なんも覚えてねーのかよ」
「なにがよ・・・ちょっと、何でっかい溜め息ついてんのよ。もう、わっけわかんないなぁ」
呆れたような顔で人の顔マジマジ見ちゃって。
信じらんねぇ、とか呟いて。

結局なんで怒ってんのかわかんないし。
「俺も帰って寝る」
「お前は寝すぎなんだよ!」
花沢類にまで八つ当たりしてるし。
「つくしは?」
「あ、うん。いったん帰って、学校行くよ」
「えっら~い!つくし!・・・ねぇ、ところで司は、何か思い出した?」
首をかしげて聞くシゲルさんに、道明寺はすっごくイヤそうな顔をした。
「・・・・・・べつに」
「ふーん、残念。ま、いっか!つくしとお風呂入ったし、ご飯食べたし、
お酒飲んだし、一緒に寝たもんねぇ!」
全開の笑顔。
つられて笑って抱きついた。
「ねー、楽しかったね!」
「今度また来よ?今度は女子だけで」
ふふふ、大好き。
シゲルさん。

・・・・・・・・ん?

なんか。

忘れて、いるような。





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コメント
こんにちは
坊っちゃんスケベ  でも、つくしちゃんも天然の可愛さ炸裂     なんか普段、強がりの分たまに見せる弱い部分が可愛いなかなか前に進まない焦れったい二人が大好きです。。とばさん最高!!!甘い話も、切ない話も全部、全部引き込まれます。。とばさんは私の癒しです。
2009/10/13(火) 13:37 | URL | カスミ #-[ 編集]
カスミさま
こんにちは、嬉しすぎるコメントです、ありがとうございます。
寸止めどころか10M手前でストップくらいの。
B止めでございました(笑)
しかも記憶にないことになっててカワイソウ・・・ん?
どうせ記憶に残らないなら、もっとスゴイことすればよかったの?
2009/10/13(火) 14:36 | URL | とば #-[ 編集]
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2009/10/13(火) 15:47 | | #[ 編集]
いろはさま
こんにちは。
コメントありがとうございます。
もうちょっと、もうちょっと温泉を書くなら、もっとシゲルさんとつくしを絡ませたかった!
できることなら桜子と優紀も呼んで来て、4人で風呂入ってほしかった。
『第二回、つくしの胸について考えよう会議』
あれ、坊ちゃんと類は?
2009/10/13(火) 15:57 | URL | とば #-[ 編集]
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2009/10/13(火) 17:42 | | #[ 編集]
♡ ♡ エロ・優しい坊ちゃん ♡ ♡
こんばんは!!

坊ちゃん、やっぱ誘惑に負けちゃった。
エロかったけど、やさしかったよね。
けど、一人燃え上がった上に、爆弾投下された司
一人、悶々と眠れなかったんだろうね。e-442

つくしちゃん!滋さん、大好きはいいけど
記憶から抜け落ちた昨夜のことは?e-350
知らない方が、いっか……

司坊ちゃん、ご愁傷様。。。e-464ブ・ブッー(なにが……?)


     では、また・・・。e-463
2009/10/13(火) 17:48 | URL | magenta #-[ 編集]
ahahahahha~~
やぱりねぇ~

ここの司ぼっちゃんの「ガマン」ってことばは、だいぶ薄く印刷されてるみたいだし?

でも、相手はつくしだから?
ガマンしなくっても 結局・・・最後までは無理っと。
あ、でもちょっと進歩した?

思いっきり泣いてスッキリできたと思うんだあ。
覚えて無くても。
だから、朝 全部忘れちゃってたんじゃない?
って、スッキリしすぎぃ~

司、ご愁傷様❤だけど、中途半端でも美味しかったじゃん!
抱きしめながらあやしてるあたり・・・いいなぁ~
ちょっと、大人な感じ?

はぁ~次の展開に超v-237期待v-10
2009/10/13(火) 18:54 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
keikoさま
ありがとうございます。
すっごいすっごい嬉しいです。
ニヤニヤしちゃいました。
これからもヨロシクお願いします。
2009/10/13(火) 22:20 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
こんばんは。
エロ優しいって、すっごいいい言葉ですねv-238
目指せ!
一人燃え上がる坊ちゃんとか一人眠れない坊ちゃんとかウケました!
そうだ、どんなに攻めてもキミ、一人相撲だったんだってv-8
ちょっとカワイソウでした。
2009/10/13(火) 22:27 | URL | とば #-[ 編集]
ちふゆさま
す・・すいません、坊ちゃんブレーキが初めから付いてないみたいで。
本能のままに・・・
でも温泉楽しかったです←お前がかよ
2009/10/13(火) 22:32 | URL | とば #-[ 編集]
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