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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

リベンジ 13

「牧野様」
廊下で馴染みのメイドさんに呼び止められた。
「お茶して行かれません?」
「いいんですか?わーい!」
仲間に入れてもらうと、初めて見る男性が1人。
「こちら木村さんです。昨日からお勤めされて」
「牧野つくしです。宜しくお願いします」
「木村です。こちらこそ宜しくお願いします」
銀ぶち眼鏡にサラサラの髪。背が高くて、とっても優しそう。

「お噂は聞いておりました。牧野様はこの邸の救世主だと」
「へ?だっだ誰がそんな事を」
「皆さんが」
「そうです牧野様」
メイドさんが胸の前で手を組んで言った。
「牧野様がいらしてくれなかったらどうなっていたことか・・・」
「私達、安心して仕事ができるのは牧野様のおかげです」
わぁすごいキラキラしてるし。
「あはは、言いすぎです。木村さん、信じないで下さいね」
木村さんは、何も言わずににっこり笑った。
つられてあたしもにっこりする。
なんか、なごむなぁ、この人。

「牧野様、お茶どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
ずずっと湯のみの焙じ茶をすすって、お煎餅なんかいただいてると、

ああああぁぁぁ・・・・なごむぅ♡

これよ、やっぱこれ。
日本人はお茶にお煎餅。座布団があればもっといい。
自分の庶民性を再確認した瞬間。
「おい、牧野」
ガンとドアが開いて道明寺が顔を出した。
使用人の皆さんが一斉に立ち上がる。
ちっ。
「てめ、舌うちすんな。またこんな所に入り込みやがって」
ずかずか入ってくる道明寺を
「こんなとこ言うな。何か用?」
横目で睨むと周りの皆さんが息を呑む。
凶暴オトコめ。
皆さんの心の平和のためにそこから連れ出した。

「それで用事はなに?」
「んだよ、メーワクそうだな」
「当たり前じゃん」
「かっわいくねぇ」
道明寺がちっと舌打ちして斜め上から見下ろし。
そしていきなり、指さして笑いだした。
「くっ・・・ははは!お前、俺と話す時は必ず仁王立ちだよな!」
何がツボったのか笑いやまない。
「何よ」
と返して我が身を見れば。
確かに。
腰に手を当てて、足を踏ん張って。
「何か、アレみてぇ。ドーブツとかが毛ぇ膨らますヤツ」
「威嚇?」
・・・・・してるかもだけど。
「大っきく見せようとしてもムダだ、チビ」
「うるさい、頭叩くな!」
「わり、更に縮んだ?」
「縮むかアホ」


やっと笑い止んだ道明寺が言った。
「牧野、出掛けるぞ。一緒に来い」
「どこ行くの?」
「デート」
「は?」
「デートだって」
「やだ」
「やだじゃねーよ、お前」
道明寺はひょいと屈んで面白そうにあたしを見た。
近い。
ちょっと前に出たら鼻がくっつきそうなほど近くに寄って、瞳に甘やかな光を閃かせる。
「お前、俺が行くとこにはどこにでもついて来るんだろ?俺は出掛ける。だからお前も一緒に来い」
ドキン。
・・・・・・・・・近すぎってば。
子供みたいな無邪気な表情と、優しい目と、低い声と、ちょっと強引な態度。
心臓はドキドキ鳴りはじめ、顔が熱い。
「ほら、行くぞ」
「ヘンな事しない?」
「ああ、ちょっとしか」
「ちょっとって何よー!何する気よー!!」
「いいから来いっつーの!」
抵抗するも、廊下をずるずる引きずられ車に乗せられた。

着いたところは。
「う・・・わ・・・」
懐かしの。
道明寺んちのクルーザー。
「乗るぞ」
先に立って歩く背中をじっと睨む。
乗るぞって・・・2人きりじゃん。
あたし、危険じゃん。
気付かれないように、じりじり後ずさってくるりと後ろを向こうとしたら
「どこ行くんだよ、ブス」
「ひゃ!」
「早く来い」
ずるずるずるずる
「やだ!あんたと二人きりなんて絶対危ないっ!はーなーしーてー!!」
道明寺は鼻歌なんて歌っちゃって。
「何もしねーって」
とか言っちゃって。
「ほんとに何もしない?ウソついたら半殺しだからね!」
「へー、俺を?どうやって?」
「・・・・・・命がけで」
「やってみろ」
笑われた。





「何呑む?酒しかねーぞ」
懐かしい。
だだっ広いホールに連れてこられてぐるりと見回す。
一回目は熱海で。
二回目はコイツの誕生日。
「紅茶」
「酒しかねーっつーの」
「あるよ。確かここに・・・」
記憶を頼りにサイドボードの扉を開ける。
「あった。あんたも飲む?」
「いらね」
道明寺はすでにグラスにお酒を注いでいて、そのままソファーに沈む。
なんか・・・・すごく緊張するんですけど。
ここにいるといろんなこと思い出しちゃって。

誕生日のパーティーぶっちぎって、ここに連れてこられて。
コイツが紅茶なんか淹れてくれた事とか。
そう、あの時はちょっとびっくりした。
何にもしないお坊ちゃまだと思ってたのに、いきなりお茶なんか淹れ出して。
手付きとかも結構サマになってた。
それで、お腹すいてワカメ釣って。
クッキーあげたらガキみたいな顔で笑って・・・・。

キス・・・・・・

「湧いてる」
突然頭の上から声がして、後ろから手が出てきて。
沸騰していた湯沸かしを止めた。
「び・・・・・っくりした・・・・」
全然気付かなかった。
「ボーっとしてんなよ」
後ろから伸びた手はそのままポットとカップにお湯を注ぎ、砂時計をひっくり返して
「3分」
というと
あたしを
優しく抱きしめた。

「お前面白れー。ボーっとしてたと思ったらみるみる赤くなって」
長い腕に絡め取られて身動きがとれない。
「なに考えてた?」
返事できずに固まってたら、低い声が耳のすぐそばで
「俺の事?」
と囁いた。
「なあ、牧野返事は?」
くすくす笑いながら唇は耳に触れてきて、すげえ真っ赤とか言いやがり。
あたしは固まったまま砂時計を凝視して。
どうやって逃れようと考えていた。


砂が落ちきると、道明寺はあたしを離し、ソファーへと戻って行った。
・・・が。
・・・落ち着け、心臓。
多分これはアレだ。
濃ゆい思い出の場所に来ちゃったから、動揺してるってゆーか。
封印がやぶけそうって言うか。

・・・胸が苦しい。

取りあえずお茶を淹れて立ったまま一口飲む。
「あ、美味しい・・・」
香りのいいあたたかいお茶が、落ち着かせる。
「行儀悪ぃ。こっち来い」
はははと笑ってカップを持ったまま行くと、道明寺が自分の隣をぽんぽん叩いて誘う。
やだよ。
無視して向かい合ったソファーに目をやると
「あんたね・・・」
ソファーに水、ぶっかけやがった、この男。
「そっちは座れねーよ」
「何やってんのよ、あんたは」
「いいから」
なおもソファーを叩く、イタズラした子供みたいな顔に吹き出す。
「しょーがないなぁ」
精一杯のしかめっ面で、隣りに収まった。


***

思い出の場所巡り、第一弾。
クルーザー。
あいつらから話を聞いてから、俺はぜってー牧野の事を思い出そうと決めていた。
コイツは頑固だ。
俺が思いださねー限り、いくら口説いても無駄だ。
俺には到底理解できねー理由をあれこれつけて、逃げるに決まってる。
記憶なんてなくてもいーじゃねーか。
俺が惚れたっつってんだから、黙って喜べよ。
口に出したら騒ぐか殴るか、どっちにしろ歓迎できねー事になるから黙っとく。
しっかし、こんなとこまで来たのに、全然思い出す気配ねーなー。

「牧野。何か話して」
「は?何かって。何」
隣にちんまり座った牧野がカップを置いてこっち見る。
「何でもいい」
「何でもって・・・・あ、ねぇ、今あたし、静さんの事考えてたんだけどさ」
牧野はにこにこしながら話しだした。



何でいきなり静。
街に飾られた静のポスターの話、靴の話、誕生日パーティーの時びっくりしたって話、フランスに行くのを止めて類に激怒されたこと、空港で見送ったこと、カナダで再会したこと。
俺の記憶にも確かにある。
静のそのエピソード。
ただ、コイツだけがいねぇ。
ところどころ霞んだ記憶。
その中にコイツがいるのか。
「静さん、あんたに乱暴されてかわいそうだった」
「あのきれいな髪切っちゃってびっくりしたよね」
笑ったり、興奮したり、照れたり。
表情をくるくる変えて楽しそうに話す。

かわいい。

すげぇかわいい。

つーか、こんなにニコニコしてるこいつ、見たことねぇし。
「ね、今って、静さんどうしてんのかな。花沢類に聞いても『頑張ってるよ』
ってだけで、詳しく教えてくれないんだもん」
だんだん興奮してきた牧野は靴を脱いでソファーに上がり込み、
ほぼ四つん這いになってこっちを覗きこんできた。

一体なんだって。
コイツはこんな無防備なんだ?
二人っきりで危ないとか言ってたのは、この口じゃねーの?

「静の事、好きか?」
「うん、好き。大好き・・・・ひゃ」
屈託のない笑顔で言うのを見たら、手が勝手に動いて腕の中に牧野を閉じ込めていた。
暴れ出す身体をがんじがらめに絡め取る。
「なんもしねー。暴れんな」
「も、もうしてるっつーの」
「俺も静の話してやる」
牧野が大人しくなる。
スゲー。
静。

思い出すままに静と俺たちの話をしてやると、強張っていた
牧野の身体から力が抜けてくったりと胸にもたれかかってくる。
やわらけー。
くそ、なんだってこいつはこんなに。

やわらかくて。

あったかくて。

「牧野?」
覗き込むと、
「ん・・・」

・・・・・・・・コイツ危機管理能力ゼロじゃん。
寝るか、普通この状況で。

「なあ牧野」
耳に唇を触れさせながら囁くと、くすぐったそうに首をすくめる。
「危ねぇんじゃねーの?二人っきりだけど?」
「ん~・・・なんかしたら、半殺・・・・」
そのままグーグー寝ちまった牧野を、抱えなおして胸に収める。
寝てるうちにキスしとくかどうか迷うところ。

「やっちまうぞ」
顔を覗きこんだら、すっげ安心した顔で寝てて。
くそ
ったく始末におえねぇ。
低く笑って、そっと身体を入れ替えた。



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コメント
思い出かぁ~
お!やっぱり熱海?

ここはまだ「勘違い君」だったころだよねぇ。
つくしも、気持ちに気付いてなかったし・・・

ってことは・・・南の海にも行っちゃう?
あそこは~
最初はいいんだけどね・・・ポツリ(*_*)
あの時の司ぼっちゃん、可哀想過ぎてつらいんだよねぇ。

雰囲気なのか・・・情に流されたのか。
でも、あれがあって、これがあって、そ~なって、こ~なったからこそ・・・次があるんだし。

思い出めぐり。
付き合うよぉ~!

絶対思い出せ!
司!
応援してるぞぉ~~~~
2009/10/09(金) 11:54 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
こんにちは
クルーザー乗っちゃいましたね。。原作でのクッキーを貰って喜ぶ坊っちゃんのスマイル好きでした!! 思いで巡り。。お弁当食べたし、クルーザー乗ってるし。。土星見たり?キャラメルパフェ食べる?う~ん坊っちゃん平気かなぁ??他の女とチュウしたんだし・・まだまだヤキモキしてほしいなぁ。。とばさん大好きですぅ
2009/10/09(金) 12:27 | URL | カスミ #-[ 編集]
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2009/10/09(金) 13:30 | | #[ 編集]
がんばれー
司くん、つくしに対して必死ですね。
ガンバレーと思わず応援したくなる?
思い出めぐり、いい案ですね
でも、司くん寝ている人を襲っちゃ駄目だよー
2009/10/09(金) 13:44 | URL | つゆかノエル #STO9711o[ 編集]
チュー、かぁ・・・
こんにちは!!e-350

おぉ!そうでした・・・他の女人にチューしたんですよねe-451

でも、ちっちゃいことは(ちっちゃくない?)気にするな!~ってなわけにはいかないか。

思い出巡りで記憶を取り戻そうなんて
司坊ちゃんの割には、やるじゃない。
(わたしはドラマと映画しか知らないけど
行くとこたくさんあるんだろうね。)

しかし、そう簡単に思い出せるかね?

つくし、いう割には司の腕の中で寝ちゃったりして
そこが恋しかったりするんじゃないの?

記憶も大事だけど今も大事だよ・・・
好きだって言ってるんだから、いいじゃない。
って、あたしはあっさり受け入れ過ぎかな?

だからって、司!眠ってるつくしに妙な気を起こすんじゃないよ!
そんなことしたら,とばさんと椿お姉様にチクッてやる
そんでつくしの言うとおり、半殺しにして貰うからね!!e-314e-281

あくまで紳士的にな……軽いチュー位は(あくまで軽い、軽いだぞ)許してやろう。
ディープなのは、お・あ・ず・け……

なんのこっちゃ!になってしまいましたが
続き楽しみにしてます!!

    では、また・・・。e-463
2009/10/09(金) 16:08 | URL | magenta #-[ 編集]
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2009/10/09(金) 18:07 | | #[ 編集]
ちふゆさま
リゾート、可哀想ですよね~v-406
あれ見るたびに『ちくしょ~!類~!つくし~!』
と思います。そのあとの坊ちゃんの報復めちゃくちゃだったけど。
でも、あのエピで類が心を開いたから、いいと言えばいいのかな・・・
いいのかな・・・←ダメらしい。
2009/10/09(金) 22:12 | URL | とば #-[ 編集]
カスミさま
わあ、嬉しすぎるコメントです。
ありがとうございます。
クルーザー、乗っちゃいいましたv-466ザブーン。
クッキーもらって全開で笑う坊ちゃんは素敵です。可愛すぎる。
そのあと嬉しさの余り、勝手にちゅーする坊ちゃんもだぁい好きです。
2009/10/09(金) 22:19 | URL | とば #-[ 編集]
いろはさま
コメントありがとうございます。
嬉しいです~~v-238
坊ちゃん記憶を取り戻しに来た割にはたいして努力せず、ひたすらつくしといちゃつくことばかり考えているようですが・・・・その通りです。
この坊ちゃん前向きっつーかなんつーか…なんか、スイマセンって感じで…
2009/10/09(金) 22:27 | URL | とば #-[ 編集]
つゆかノエルさま
度々のコメントありがとうございます。
つくしも、寝んなよって感じですね。
あんだけ危ないとか警戒してたのに。
坊ちゃんちゅーしたんでしょうか。したかな?したよね。
ソファーで抱っこされたまま寝てて、目を覚ましたつくしが慌てふためく姿が目に浮かびます。
2009/10/09(金) 22:32 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
・・・わかちこ?
今、こっちのほうで(ってもトートツでしたね。北海道です)リターンズの再放送、やってるんですよ~。
んで、毎日チェックしてはいるんですが、ドラマは滋が・・・滋が・・・
ちょっと私のシゲルさんと違うので(滋スキーなので厳しいです)・・・残念。
すいません、ドラマで思い出したもので・・・
2009/10/09(金) 22:43 | URL | とば #-[ 編集]
Oりママさま
コメントありがとうございます~。
そしてすいません!わたし、書き忘れました。
男性でした、木村さん。
修正しとかなきゃ。ビジュアルは執事っぽい感じでお願いします←ちゃんと書けや。
2009/10/09(金) 22:47 | URL | とば #-[ 編集]
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