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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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リベンジ 11

「道明寺。ねえ!道明寺!」
ちらっと見ると、手を掴まれた牧野が引きずられるみてーについてきている。
「手、痛いって」
「逃げねー?」
「逃げないよ。っていうか、どーせ逃げたって追っかけてくるんでしょ」
「わかってんじゃん」
まだ膨れたままの顔を笑って立ち止まる。
「ほら、赤くなっちゃったじゃん」
「んな強く掴んでねー」
「バカぢから」
「フツーだろ?」
「あたしはあんたみたいに頑丈じゃないの!」
これ見よがしにふーふーと息を吹きかけてる手をすくって撫でてみる。
「・・・やっ!」
途端に振り払われて、手の行き場をなくした。
「なんだよ」
「だってなんか・・・」
目元を赤くして俯く牧野が心臓を疼かせる。
今すぐ抱きしめてやろうかと思ったが、すんでの所で留まって、代わりに手をつなぐ。
「ややややや」
くっそ、振り回してんじゃねーよ!
「おとなしくしろ」
無理矢理指をからませてぎゅっと握ると
「痛いっつってんでしょ!」
と、あいた手でどついてくる。
無視して車を呼ぶのに電話すると、諦めたのか静かになった。

「行くぞ」

午後の講義がもったいないだの、皆集めてどうする気だの、ぶつぶつ言ってる牧野と並んで歩く。
引っ張ったらまた痛てーとかウルせーから、歩調を合わせて。
俺にすりゃもどかしいぐれーのスピードで歩いていくと
「ねえ」
ぴたりと牧野が足を止めた。
「昨日の、ことなんだけど」
また眉間の縦ジワが復活していやがる。
「あんたには悪いんだけど」
「いい返事しか聞かねぇ」
キッパリ言うと、牧野は慌てたように続けた。
「と、友達でいよう?」
「ぁあ?」
「友達のままでいよう?あたし、悪いけどやっぱり考えられない。
今朝は、知らないふりしてごめん。真剣に考えたんだけど、やっぱ無理だよ」
目を合わさないで一気に捲し立てた牧野の頬に触れた。
ぷに、っつー感触に笑いそーになったが上を向かせて目を合わせた。
「バカかお前」
丸くした眼を射ぬく。
「俺とお前がいつ友達だったことがあった?」
親指でくちびるに触れると息を呑むのがわかった。
「なるべく早く返事しろよ。俺にもいろいろ予定があるからよ」
「だから答えは」
「いい返事しか聞かねーっつったろ」
「なっ・・・」
口をパクパクさせた牧野を低く笑うと、迎えの車が来た。
動かねー牧野を突っ込んで邸に向かった。


***

結局1時間を待たずに、道明寺邸のリビングに全員が集まっていた。
「学生の本分を忘れちゃいませんかね」
集団でサボってきた学生たちを、ジト目で見ながらセンパイが言うのに道明寺は
「ねーちゃんいる?呼んできて」
って、全然聞いてないし。
っていうあたしも、テーブルに用意されたケーキをシゲルさんと優紀と、
きゃっきゃしながら選んでてスルーしちゃったんだけど。
「つくしどれにする?2個いける?」
「余裕。クリーム系とパイ系にしようかな~」
「あんたたちさっき何か食べてたよね」
呆れた花沢類に言われたけど。
「あれはランチ、これはおやつ。ね~?」
「ね~?」
「・・・・・」

「それより何で俺たち集められた訳?」
身を乗り出して覗き込む西門さんに。
ソファーに深く沈んだ道明寺がちらりと視線を上げた。
感情の読み取れないその目が、何だかドキッとする雰囲気で、言葉がうまく耳に入ってこなかった。

「俺が刺された時になくした記憶って」
突然放たれた言葉に
ぴたりと全員の動きが止まる。




「牧野のことだよなぁ」



「え・・・・」


何て言った?

今、何て言った?

シーンとした室内に、ぼさ、と小さな音が鳴った。
全員の視線があたしに集中する。

「あ・・・」
床の上に崩れたケーキ
「げ・・・やだ、おおおおとしちゃった。ごごめん、今片付ける」
慌ててしゃがみこむと、低い声が続けた。
「やっぱそーか」
「・・・・何か、思い出したのか、司」
美作さんの問いに答えた言葉は、でも
「いいや」
「じゃあ、なんで」
「あのなあ、こんだけおかしけりゃ、さすがに気づくぜ。お前らと仲いい
ぐれーなら、俺の知らねー所でつき合いあったんかってまあ納得
すっけどよ。ねーちゃんやタマや、うちの使用人にまで馴染み
まくってて、そんで俺だけ知らねーって話はねーだろ」
すっ・・・と、道明寺が目を細めた。
逆らうことを許さない。
生まれついての支配者の目だ。

「話せ、全部」

重苦しい沈黙。
皆があたしと道明寺を見ている。

そう。
決めるのはあたしだ。

立ち上がりながら、ニコッと笑えた。
それで安心して言葉を出せた。

「別に内緒にしてた訳じゃないよ。
1年前だって、話そうかなと思ってたけど、あんた拒否りまくりだったから。
あんたの言う通り。
あんた、刺されて倒れた時から、あたしの事だけ忘れちゃったんだよ。
ははは、あったまくるったら、一応カノジョだったんだけどね。
・・・・・・皆、事情は知ってるから、知りたいなら聞けばいいよ。
でもあたしは話せない。恨み節になっちゃいそうだからさ、・・・・・・・・・・」
べらべら喋りまくるあたしを花沢類が見てて。
わかってるよ。
動揺するとよく喋るって言いたいんでしょ。
ほんとだ
ちょっとパニくってきた。
もう笑えない。顔は引き攣って、歪む一歩手前。
「あああたし学校に忘れ物しちゃった。じゃ、皆またね」
情けないけど、逃げだした。
「つくしちゃん、どうしたの?」
入れ替わりに部屋に入ってきたお姉さんに、ぺこりと頭を下げて。

「おいっ!牧野っ!」
「先輩っ!」
走って逃げた。


***

「あ~、夕陽がキレーだな~」
空が真っ赤になって、後ろからは薄闇が降りてくる。
結局行きついた。
非常階段。

道明寺はもう全てを聞いただろうか。

もう何時間こうしてるんだろ。
ぺたりと座ったあたしのオアシス。

「・・・・・帰りたくないけどなあ」
他に行くところもないし・・・。

ねえ、道明寺、どう思った?
信じないよね。
多分。

ウソだろ、って言うところを、見たくなかった。
知らねーよとか。
もう一度言われちゃったら、今度こそ立ち直れないような気がして。
あの場から逃げだした。
・・・・・遅いんだよ。今さら。

「道明寺の、ばーか」

呟いたら泣きそうになった。
同時に誰かが階段を昇ってくる気配。
きっと花沢類だ。
あたしが辛い時にはいつも傍にいてくれる。
「な、泣いてないよ?」
前を向いたまま、必死で目をしばたかせて言う。
「もう泣かないって約束したもんね」

「花沢類・・・あのさ・・」
背中が温かくなった。
同時にどさりと音がして、後ろから回された腕。
あたしをすっぽり囲うように回された長い足。
「・・・・・ん?」
今日花沢類は、茶系のパンツだったような。
この色のデニムは・・・・

「・・・・・どっ・・・!!」

道明寺ぃぃぃぃぃ!?

突然ジタバタしだしたあたしは、後ろから回された腕に羽交い絞めにされる。
「てめえ!何で俺だと暴れ出すんだよ!」
「ヤダからに決まってんでしょ!離せっ!」
「あったまくるてめえ。俺はお前のコイビトなんじゃねーの?」

言われて、すーっと冷静になった。
ぴたりと暴れるのをやめて、身体に回された腕をとる。
「逃げないから離して」
静かに言うと、戸惑ったように手が離れた。
囲われた中からするりと抜け出して、正座して、向き合った。
「あんたは、あたしのコイビトじゃないよ」
静かに、言えた。
「あたしたち、もう終わってるんだよ。皆から聞いたと思うけど。
あたしたち確かにつき合ってたけど、あたし、あんたに振られてるからさ。
それに、言ったでしょ。あたしは、あんたを好きにならないって。
別に恨んだりしてないよ?あんたが悪いわけでもないし、しょうがない
事だったと思ってる。だから、これからは友達としてうまくやって行こうよ」

道明寺は顔を伏せて小さく肩を震わせた。
・・・泣いてる?
このプライドの高い男が?
「道明寺…?」
そっと窺うと、道明寺は大きな手で口元を覆い・・・
ほんのりと赤い顔を上げた。
「やっべ。ニヤける」
「は?」
な、泣いてたんじゃないの?
「なんかよ、この俺様がお前みたいなパンピーに好きだっつってやってんのによ。お前拒否るし」
口を押さえたまま、ごもごもと言って。
「どーすっかなーと思ってたら、もう既に恋人同士だったとはなー」
「は?」
「ラッキーだな。俺」
この男・・・状況全然わかってなくない?
「バカかあんた!さっきの話聞いてた?あのさ、さっきも言った通り、
あたしたち、もう別れてるから!無関係。わかる?」
「別れてねーよ、記憶にねぇ」
「あたしの記憶もないんだろっ!」
「るせぇ!別れてねーったら別れてねぇ!」
「ガキか!」
アホか、この男。
「あのさ、じゃあ聞くけど、つき合ってる男にですよ?ある日突然、お前誰とか言われて?
そのあと一年も話するどころか目も合わせない関係で、ですよ?
それでコイビト同士って言える?」
道明寺は口元から手を離すと、真剣な顔になった。
そのままあたしの腕を掴む。

謝んのかな。
謝ってもダメだけど。
「遠距離恋愛だったと思え」
意外な言葉にずっこけた。
「あんたね!」
「うるせー。もうぐだぐだ言うな!俺とお前はコイビト同士!いいんだよこれで!」
「じょーだんじゃない!あたしは認めないから!!」
「聞かねー。黙れブス」

そのまま引っ張られて胸に抱きこまれた。
横座りになったせいで、力が入らない身体は素直に収まって。
耳元に、道明寺の吐息が当たった。

「ごめん・・・・」

掠れた囁きに、不本意ながら胸がしめつけられた。



          12へ


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コメント
こんにちは
今日も更新ありがとうございます。。司の俺様ぶり好きです!!なんかへこたれないパワーに、つくしもビックリですよね。。でも、どんな時でも根底にあるのは、つくしを愛する気持ちですもんね。。切なさの中に司らしさが沢山。もう、読むのが楽しみです。。 本当に表現力や心情の描写が素晴らしいです!!
2009/10/06(火) 15:57 | URL | カスミ #-[ 編集]
カスミさま
こんにちは、コメント、どうもありがとうございます。
(笑)そうですね、坊ちゃんへこたれない!
拒否られても迷惑がられても冷たくあしらわれても。
いいんです。つくし、いっぱい泣かされたんだもん。
苦労しやがれ←オニ
2009/10/06(火) 16:12 | URL | とば #-[ 編集]
ドヒャヒャヒャ(*⌒▽⌒*)
ウケる!
さすがに司坊ちゃんでも、『変』って分かったかぁ!!

あきら達、なんて話したのかな?
『お前がべた惚れで…』ストーカーで、勘違い男で、類とナンヤカヤあったけど、やっと振り向かせた…って聞いたなのなら、何か雰囲気が違うような?
もしかして、記憶置き忘れ中の司君。
前よりも、自分に都合よく日本語変換能力がパワーアップしてるから…
かなり、ヤバい?
さて、つくしちゃんがどうでるか楽しみデス(*^_^*)
2009/10/06(火) 17:36 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
天下一品?/道明寺 司
こんばんは!!

わたしは夜更かし……たま~にね
椿お姉様は早起き……かな?

何を言っても自分のいいように受け取る司
おバカでいい迷惑だけど、憎めないやつだ。
天下一品(人?)の俺様だね!

最後の非常階段のとこの2人の姿が真実だと思います。

がんばれー!つかつく!とばさん!!

    では、また…。e-463
2009/10/06(火) 17:36 | URL | magenta #-[ 編集]
ぁう、やられました!
こんばんは!
とばさん、怒涛のアップ、ありがとうございます。

後ろから長~い手足で抱き締められて・・・ぴょん太なら妄想だけで気絶しとりますがな・・・・

耳元に吐息で 

「ごめん・・・・」って    坊ちゃん、あんたという人は・・・・

もう、もう、つくしちゃん! 坊ちゃんを受け入れてやって!!!
2009/10/06(火) 21:13 | URL | ぴょん太 #-[ 編集]
こんばんわ
毎日の更新ご苦労様です。
俺様なのに凹んだのかな?と思ってしまいました。
最後の非常階段のとこで、オヤーいい雰囲気と思ってしまった。
2009/10/06(火) 21:38 | URL | つゆかノエル #STO9711o[ 編集]
やっべ、ニヤける。
あたしもにやけちゃうよぅぅ。
こんばんは、とばさま。ご無沙汰しております。毎日拝見させていただいてるのにちょびちょびコメントでごめんなさい。
さすがオレ様!すでにコイビト同士と都合よく解釈しちゃうところが素敵です!!しかも真顔で、「遠距離恋愛だったと思え」って!!オレ様つかさ様万歳!続きが気になります~!!
2009/10/06(火) 22:07 | URL | えりっぺ #-[ 編集]
ちふゆさま
コメントありがとうございます。
いっや~・・・もう少しふざけたテイストだったら
『牧野とお前は出会ったとたんにお互い一目ぼれ。ウザいくらいのバカップルで人目もはばからずイチャイチャイチャイチャ…』って説明させたかったです。
信じるかな。坊ちゃん。
信じたらまた面白い事に…
でもバカップルは間違ってはいない。
2009/10/06(火) 22:51 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
ありがとうございます。頑張ります。
坊ちゃんの無茶ぶり…
『別れてねぇったら別れてねぇ!』
あんたコドモか!と、突っ込みたくなりました。
でも設定19歳なんですもん。コドモでもいいですか?←ダメだよe-262
2009/10/06(火) 22:56 | URL | とば #-[ 編集]
ぴょん太さま
ありがとうございます。
ごめんなさい、コメントにすっごいウケてしまいました。
あんたという人は・・・って、その辺バンバン叩いて大喜びです。
つくしはですね、話の通じない坊ちゃんにホトホト疲れきっているかと思います。
2009/10/06(火) 23:06 | URL | とば #-[ 編集]
つゆかノエルさま
度々のコメント、ありがとうございます。
非常階段、むぎゅー好評。
でもつくしにしたらイヤでしょうね。
せっかく整理しようとしてるのにね。
勝手なんだから、司。
2009/10/06(火) 23:11 | URL | とば #-[ 編集]
えりっぺさま
こんばんは。コメントありがとうございます。
大丈夫です。わたしもニヤけてます。
なんと勝手な坊ちゃんでしょう。
コイビトだってわかったらいったい何をする気なんだい、エッ?
って突っ込んでみたり。
2009/10/06(火) 23:16 | URL | とば #-[ 編集]
キュウ・・・ときます。
 もう・・きゅーと切なくなります。
もちろん!話を聞いてない司は最高です。でも、自分の聞きたい事は「目を細めて・・・」の所の表現好きです。
 もっとこれから楽しみです。
2009/10/07(水) 09:31 | URL | to-ma #-[ 編集]
to-maさま
こんにちは。コメントありがとうございます。
仲間に対しても威圧的・・・坊ちゃん・・・
もうちょっと続きます。
ヨロシクお願いします。
2009/10/07(水) 12:07 | URL | とば #-[ 編集]
こんにちは
Top変えられました?休日やリベンジ12など、タイトルがクリック出来なくて、お話が読めなくなってます。リベンジは、他にも読めなくなってるのがあります。。
2009/10/08(木) 13:30 | URL | あや #-[ 編集]
あやさま
あれ~?
特にいじってないんですけどおかしいなぁ。
いちお、確認したら全部開いたんですが・・・・
もちょっと調べてみますね。
2009/10/09(金) 10:47 | URL | とば #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/06/10(日) 00:04 | | #[ 編集]
うめさま
こんにちは
わあ//////
懐かしいです/////そして、恥ずかしいです
過去話も読んで下さっているのですね。ありがとうございます~。
ほんと、まだまだ頑張りたいです!
2012/06/11(月) 09:07 | URL | とば #-[ 編集]
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