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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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リベンジ 8

階段を昇ってひょっこり顔を出す踊り場。
「やっぱ居た」
知らずに顔がにっこりしちゃう。
柵にもたれて眠る、天使みたいな寝顔を、ぺたんと座ってボーっと
見ていると、ゆっくり目が開いてこっちを見た。
「おはよ。花沢類」
「・・・あー・・・来てたんだ・・・」
「うん、次の講義まで時間あるから。ぷっ、しかしあたしたちもヘンだよ
ね。もう2人とも大学生なんだからこっちに来ることないのにね」
「んー・・・やっぱこっちのが落ち着くし」
「あはは、もう3年目だもんねぇ。殆んど巣みたいな感じ?」
「巣って・・・ドーブツかよ・・・それは牧野だけ。くくく・・・」
「いーじゃん。仲間になろうよ、あはははは」

花沢類とこんなにのんびりするのは久しぶり。
このところず~っと道明寺と一緒で緊張状態にあったから。
あ~♡。
なごむ~♡。
「やっぱいいよね、ここ。何か、スイッチがオフになる感じ」
「大変じゃない、今?大学始まったばっかりで。
司にもついてなきゃいけないし」
「うん、でも大学始まったから少しいいよ。道明寺のお母さんがさ、学校
行ってる間は自由にしてていいって言ってたんだ。思わず講義びっちり入れちゃったりして、ははは」
2人で笑い合った後、花沢類がビー玉みたいな目でこっちを覗きこむ。
「司と、どう?」
「どうって別に・・・」
普通だよ、と答えたけれど
「何で首ひねってんのさ…くっくっくっく」
「う~~~~」



道明寺が何かおかしいのは、この前からだけど。
「なんかこう・・・あの頃のおっかない感じとも、この前までの無関心とも違うような・・・」
「暴れてる?」
「ううん、最近は全然。ほら、あんたたちと街で逢った時。あれ以来ないか
なぁ。あたしのこと重役会のスパイだと思ってるからね、あいつ」
「そんなの気にしないでしょ、あの猛獣は。やっぱりあんたが傍にいる
から?記憶はなくても何か、感じるところがあるのかな」
「うわ!やめてくれる?ぜ~ったい違うから!」
「ははは、すげぇ顔!あははは」
「笑いすぎだって。・・・あのさ、もうだいじょーぶだから。この前、決めたん
だ。まだ気持ち引きずってるのはそのまま認めて、その上でアイツの幸せのために頑張ろうって」
「頑張ってるの?」
「うん。腐った性根をもう一回叩き直してやる!」
「うわ、逆境好きに火がついた!ははっあははははは」
「ちょっと!別に好きじゃないから!・・ぷっ・・・あははははっ」

ほんわりと、胸の中があたたかい。
やっぱなごむよなぁ、花沢類。
元気を補給してもらって、構内に戻った。




***

なんつーオソロシイ病気なんだ。

恋ってやつは。

この間の夜から。
あの女を好きだと自覚してからまったくヤバい。
顔を見るだけで心臓は跳ねまわるは身体はギクシャク、ロボットみてー
になっちまうは、思考のスピードは超スローになるは。

エライ騒ぎだ。

容姿は10人並みスタイルは電気スタンド並み気性は闘犬並みの、あの女。
どこがいいんだかわかんねー。
っつーか、いいとこなくねぇ?

それなのにどうしようもなく魅かれる自分を、まったくアホかと思う。
とにかく一緒に居たい、見ていたい。
タチが悪りぃ、あの女を。
俺が知ってる女とは全然違う。
はっきり言って完璧な俺の『顔』とか
『スタイル』とか
道明寺って名の『ステータス』とか
溢れるほどの『金』とか
世間の奴らがひれ伏す『権力』とか
その他もろもろ普通の女が大好きな俺のオプションに。
まったく興味を示さねー。
っつーか何気に嫌がってねぇか?
・・・バカなのか?あいつ。

わかんねぇ。
女なんかをこんな風に想うのは初めてだから・・・ん?今なんか違和感あったな。

・・・あ。
「牧野発見」
大学の門をくぐっちまえば離れ離れ。
毎朝あからさまにせーせーした顔して離れていく。
あの女、取れる講義は全部取るって宣言して、ぎゅーぎゅーに詰め込んであるし。

いつもならすれ違いもしねー構内で牧野に会えんのはレアだ。
昼メシ一緒に喰おうと思って、速足で近づいたら、途中で気づいたボケ女は
「ぎゃっ!!」
と叫び、ぴょんと跳び上がって・・・それから脱兎のごとく逃げ出しやがった。
「あの女・・・マジむかつく」
この俺に向かって、夜道で痴漢にでもあったような態度取りやがって。
あったまきて追いかけて走りだす。
「何逃げてんだよ!!」
っつーか、スゲー足はえー、あいつ。
見る見る遠くに消えてくし。

「イヤアアアアアァァァァァ!!」
叫びながら逃げいてく牧野。
なんかウサギを追っかける猟犬みて―な気分になってくる。
フツーなら余裕で追いついて、今頃とっ捕まえてるとこだけど、なにせ大学の昼時の構内。
パンピーがうじゃうじゃうじゃうじゃ・・・
「邪魔なんだよ!!」
「ちょっと、追いかけてこないでよぉぉ!」
「うるせー!だったら止まれ!ブス!」

ちっせーぶん小回りの利く牧野はちょろちょろと逃げ回り、俺はと言えば
周りの人間が怯えたように道を空けるものの、やっぱ邪魔くせえ。
とうとう建物から出ちまった。
障害物がなくなったから全力疾走に移る。
遥か先を走る牧野は、植え込みを跳び越えてカフェの方へ向かって走って行く。
階段駆け降りる間も惜しんで跳び下りて。
ってかどんだけ俺から逃げてーんだよ!
「止まれ!牧野!」
「ぜっっったいヤダっ!!」
追っかけっこを続けていたら、前方に味方発見。
「おい!総二郎、そいつ捕まえろ!」
「西門さん、どいて!・・・どいてってばぁぁ!!ぎゃあっ!」
段差から跳び下りた先に居た総二郎が、難なく牧野を捕まえて、ひょいと担ぎあげた。
「いーやーっ!離して、西門っ!!お-ろ-せーっ!!」
「おい、牧野暴れるとパンツ見えんぞ」
「うるさい!裏切り者~!!ばかあほまぬけっ!」
「小学生か。ところで何してんの、お前ら」
総二郎が、牧野をこっちに寄越しながら笑う。
「ちょっと、荷物じゃないんだからポイポイ渡さないでよ!ってか、はーなーしーてー!」
お望み通り下ろしてはやるが、逃げないように手は掴んどくと。
暴力女は地面に下りた途端、膝蹴りを繰り出してくる。
「いってぇな!蹴るな、アホ。捕獲された野生動物かっての!」
「あんたに言われるのすっごい心外!」

ひょいと屈んで顔を覗きこむ。
すっげぇ悔しそうに真っ赤になってて笑える。
「お前、なんで逃げんだよ!」
「あんたがおっかない顔して追っかけて来るからでしょーが!」
「バカ、俺様のこの慈愛に満ちた顔のどこがおっかねーんだよ!」
「悪意に満ちたの間違いでしょ、バカ!」
マジむかつく。こいつ。
「まあいいや。メシ行こーぜ」
「ヤダ」
返事はわかってたから、そのまま手を引っ張って歩き出した。
「やだっつってんでしょ!このイカレパーマ!」
「口の悪い女だな!俺にんな暴言吐くの、てめぇくらいのもんだ」
「皆、思ってても言わないだけだから」
後ろからついてきてゲラゲラ笑ってる総二郎もムカつくが。

そのうち牧野は諦めたのか大人しくなった。
「お、どーした牧野。諦めたんか」
総二郎が覗き込んでぶーっと吹き出した。
「ははは!ふくれんな、牧野!丸い顔がますます丸くなってんぞ!」




***

くやしい!
くやしい くやしい くやしい!!
全然変わってない!この自分勝手な性格!
カフェテリアには美作さんも来ていて、結局4人で席に着く。

「あたし、お弁当なんだけど」
バッグから包みを取り出して軽く上下させたのに、道明寺は涼しい顔で
「知ってる」
とか言って、あたしの前にランチプレートを置いた。
「両方喰え」
「喰えるか、アホ!熊じゃないんだから!」
「何でだよ。楽勝だろ?」
あたし達のやり取りに美作さんが笑いだした。
「喰っとけ、牧野。お前少し痩せたろ?」
「そーだ。さっき担いだ時、前より薄っぺらくなってたぞ」
「・・・薄っぺらいって・・・」
「洗濯板が進化したな。デラックス洗濯板。・・・いや、退化か?」
「洗濯板なんて見たことないくせに」
「お前の身体みて―なもんだろ?」
「あたしの身体だって見たことないでしょ!」
バンとテーブルを叩くと、爆笑しているお祭りコンビ。

そして。
こっちをギロッと睨む道明寺。
「ウチ来てから痩せたなんて、ロクに喰わしてねーみてぇじゃんか。全部喰えよ」
「もう!」
仕方なくランチプレートを引き寄せた。
「全部は無理!お弁当勿体ないから、皆で食べよ?」
と誘うと
「本当は余裕で完食だろ。まぁ、手伝っちゃるか」
「しょーがねーな」
という西門さん美作さんと
「げ。んなマズそーなボンビー弁当、人に勧めんなよ」
と、憎ったらしい道明寺。
「うるさいなぁ。普通に美味しいよ。それにボンビー弁当じゃないよ。
だって、材料はあんたんちの冷蔵庫に入ってたんだもん。
全部最高級食材だよ」
「その最高級食材を使って、超庶民弁当作んのが牧野だよな」
「西門さん!」

なんやかや言いながら、西門さんも美作さんもお弁当を手伝ってくれて、
時々コレ旨いなとか言ってくれる。
ああ、それはレンコンのキンピラ。ゴボウよりシャキシャキして美味しいんだよね。チンピラ?
キ・ン・ピ・ラ!はは、シゲルさんも同じこと言ってたよ、ぷぷぷ。ほら、道明寺、あんたも食べてごらん。

とか勧めながら、ふと思い出した。
病院に届けたお弁当。
海ちゃんが作った事になったお弁当。
そんな事もあったっけねぇ・・・
コイツにあたしのお弁当を食べさせるのはあれ以来か。

ボーっとしてたらしい。
いきなり
「スイッチオン!!」
って聞こえて、おでこをグイッと押された。
「あうっ・・・いったーい!何すんのよ!」
顔を上げて大声で怒ると、西門さんと美作さんがニヤニヤしながら、
でも瞳に心配を浮かべて見ていた。
「何かロクでもねー事考えてたろ、牧野」
「・・・べつに・・・」
「嘘つけ。お前が急に黙る時は、くっだらねー事考えてるに決まってんだよ」
「そんな事ないって。ははは、あ、あたし講義の時間だ。大変もう行くね!じゃっ!!」
慌てて立ち上がって、校舎に向かって走り出した。
今さら湧いてきた感傷的な気持ちを、振り払うように全力で走った。



                 9へ



0574.gif
コメント
全力?
逃げるつくしガゼルも、追う司ライオンも必死?!

いいなぁ~
総二郎、いい味だしてる!

っていうか、ポイポイ投げられちゃうって・・・
いいかも♪

司も、エンジンスタートかかってるしぃ
もう少しがんばって、抗ってみてね つくしちゃん!

でもって、すっぽり つかまっちゃってぇ~!
2009/10/03(土) 13:32 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
はじめまして
毎日の様に更新ありがとうございます。お仕事されながら、お忙しいのに。。いつも、ありがたく感謝しながら読んでます。どのお話も泣いたり笑ったり、素晴らしいです!!こんなに、沢山書けて、沢山のファンを感動させて。。尊敬します。。もう大好きです!!これからも応援してます。
2009/10/03(土) 13:36 | URL | カスミ #-[ 編集]
ちふゆさま
コメントありがとうございます。
ブラック司が漂白されてきました。
前半の暗いとこ、私も辛かったので大変嬉しいですv-345
後はまたこのふざけた勢いで最後まで行けるのかなぁ。
もうしばらくお付き合いください。
2009/10/03(土) 15:32 | URL | とば #-[ 編集]
カスミさま
はじめましてこんにちは。
温かいコメントありがとうございます。浮かれる~v-352
ワタクシも、本当にありがたいです。
皆さんお忙しい中、時間を使って毎日見に来てくださって。
なかなかしっとり、とかいかないウチのつかつくですが(毎回狙ってはいます)愛だけはダダ漏れなのでどうぞヨロシクお願いします。
2009/10/03(土) 15:41 | URL | とば #-[ 編集]
少しせつないかも・・
追う司に、逃げるつくしちゃん
どこまで逃げれるかな、と思っていたら
総二郎に捕まってしまい、がっかり
も少し逃げて欲しいなー
お弁当のことで少し過去を思い出したつくしちゃん。
せつないです~
毎日の更新お疲れ様です。
お身体に気をつけて、仕事と更新がんばって下さい。
2009/10/04(日) 12:10 | URL | つゆかノエル #STO9711o[ 編集]
とばさん、ありがとうです!
はじめまして、こんにちは。
先週、とばさん家に初めてお邪魔してから、貪るように拝見しています(❤^o^❤)

「日常」から「リベンジ8」まで、もう何回も行ったり来たり!
坊ちゃんとつくしが頭ん中で躍動してますよぉ!
二人の周りの人達にもやられっぱなしです。

こんなに素敵な創作を次々アップしてくださって本当にありがとうございます。
無理せず、でも長~く(何気ににプレッシャー掛けてすみませぬ)続けてください!

最後に、『坊ちゃん、つくしの弁当食べて、はよなんか思い出さんかい!!』


2009/10/04(日) 14:53 | URL | ぴょん太 #-[ 編集]
つゆかノエルさま
度々のコメントありがとうございます。
~~~ウチにもきましたよ~。お叱りのコメント・・・。
やー、すっげ凹みますね・・・いろんなこと考えちゃいました。
お互い頑張りましょうv-91
2009/10/04(日) 15:27 | URL | とば #-[ 編集]
ぴょん太さま
こんにちは、はじめまして。
こちらこそ、ありがとうございます。
温かいコメント、本当に元気が出ましたv-91
これからもヨロシクお願いいたします。
2009/10/04(日) 15:33 | URL | とば #-[ 編集]
頑張れ!司♡つくし!
こんばんは!!

おー、司、つくしの本領発揮!!

追うから逃げるのか?逃げるから追うのか?
追っかけっこ、楽しそう。
総ちゃん、登場でつくしアッサリ捕獲完了。

F3とお食事うらやましい…おばちゃんも混ぜてェ。

つくし、お弁当で辛い事思い出してしまったのね。
司はそんなつくしに何を思う?お弁当に何も感じない?

これからも楽しみにしています。

    では、また・・・。e-463
2009/10/04(日) 20:32 | URL | magenta #-[ 編集]
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