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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

リベンジ 2

お母さまからお話があるから出掛けちゃダメよ、とねーちゃんに言われた。
どーせあれだろ。
この前言ってた目付け役がどーのこ―の。
うぜぇ。
時代劇じゃあるまいし。
ま、どんな奴が来たってカンケーねぇけど?
ちょっと脅して、重役会には俺に都合よく報告させればいい。
脅しが効かなきゃ金を捻じ込んでもいいし。
力か金か権力。
人を動かすなんて簡単だ。
どんないい事言ってたって、このどれかを使えば、結局は愛想笑い浮かべて媚びてきやがる。
・・・・・クソくだらねぇ。
ぼんやり考えていたら、突然窓の外から
『ふざけんな、ババァー!金にあかせて勝手な事してんじゃねーっ!!
金持ちなんて大っっっ嫌いだーっ!!!』
と、女の大声が聞こえた。
「なんだ?」
この邸の中ではありえねー叫びに、ちらっと興味は惹かれたが。
どうでもいい。。
何もかも。

1年前に、刺されて死にかけた。
その時から何かが変わった。
後からみた事件の映像。アスファルトにじわじわと広がっていく真っ赤な血。
アレみてぇに。
俺のどっかから何かが流れ出して行ってるような、だらだらと続く喪失感。
あれだけ何でもかんでもムカついて、ちょっとのきっかけで
暴れ出さずにはいられなかったイラつきが、虚無感に取って代わられて。
暴力も、自分の存在を確認するための行為になっていく。
この空っぽな感じが、身体の力さえ抜き取って行くように感じる。。
何だってんだよ、ったく。
そのままソファに沈んでいると、ドアがノックされてタマが入ってきた。
「坊ちゃん、奥様がお呼びです」
「・・・あぁ」
ゆっくりと、ソファーから立ちあがる。
テーブルに置かれたカップを、床に叩きつけたい衝動。
タマをちらりと見ると、珍しく笑っていて。
「何ニヤニヤしてんだよ、とうとうボケたかタマ」
言ってやったら
「腑抜けに言われる筋合いはございません」
口返しやがったから衝動に従う事にした。


ババァの執務室に入ると、ねーちゃんともう一人、女がいた。
「お座りなさい」
女の向かいに腰を下ろし顔を眺める。
「お前・・・会った事あるよな・・・」
ピクリと、女の肩が震え、でかい目をもっと開いてこっちを見ている。
「何回か病院に来たことあったよな?」
言った瞬間、女がどっか痛むような表情をした。
「司さん、このまえお話した補佐の方が決まりました」
補佐とか言ってんじゃねーよ。
素直に監視役って言えばいーんじゃねぇ?
「牧野つくしさんです」
「は?」
まさかこの女か?
ありえねーだろ。
「不満ですか?」
「女かよ」
「ワタクシが決めました。牧野さんは4月から英徳大学に進学しますし。
それに、あなたの補佐としてこれ以上の人は望めません」
「・・・わかりました」
何でこの女なのか理由を聞こうかとも思ったが、どうでもいいと思ってやめた。
誰でも一緒だ。
「それでは、今日から牧野さんもここに住みますから」
「はい」
「大学が始まったら一緒に通うこと」
「はい」
「社でも、西田についてあなたの補佐をしてもらうことになっていますから」
「はい」
「それではこれでお話は終わりです。ワタクシは明日NYに戻りますから。しっかりやるように」

ババァに促されて全員退室した。
ちらりと女を見下ろすと、イヤそうに
「ヨロシク」
と、眉間にしわを寄せた。
何気にシツレーじゃねぇ?
「お前、イヤなのかよ」
「ヤダよ。決まってんじゃん」
即答かよ。
気の強い女だった。確か。
入院してた時も、この家に来た時も。
なんかイカって、怒鳴って、最後には泣いて、そして俺の前から消えた。
あの時はイラついてしょうがない存在だったが、今はもう何とも思わねぇ。
その辺に落ちてる石ころと同じ。
だけどな、石ころだって邪魔なとこにありゃ、蹴っ飛ばされんだぜ。
「司っ!威嚇してんじゃないよっ!」
「いてぇっ!」
俺の目つきで何かを察知したのか、ねーちゃんが後頭部をバシンと殴りつけてきた。

「ごめんね、つくしちゃん!司!あんた、つくしちゃんに何かしたら許さないからね!」
凄むねーちゃんにわかったよと口だけの返事を返して部屋に戻った。



**

道明寺に付きだして3日。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・すっごい疲れる。

この男は、変わった。
最後に見たのは、あたしを敵だと認識して刺すように見てきた冷たい眼。
でも今は、目を合わせる事さえしないんだ。
まるであたしが居ないかのように無関心で。
こっちを見ない、話さない、気にしない。
一回なんか、鼻先でドア閉められてハナ打った。
そういうヒトと一緒にご飯食べて外出して、ヤツがリビングなんかに
いる時は一緒にあたしも居なきゃいけないなんて・・・・・イヤすぎる。
読んでいた本から目を上げて、ソファの対角線に座る道明寺をそっと窺う。
目を伏せぎみに、深くソファに沈んだ姿はあの頃とおんなじで。

思わずため息が出た。
と。

ガンッ!
ガシャンッ!!

物音に身体がビクッとなって、反射で顔を上げた。
床に落ちて割れたカップ、テーブルに掛けられたままの長い足。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
突然の事に、びっくりして固まると、道明寺がこっちを刺すような目で睨んでいた。
「ウゼぇんだよ」
「・・・・・・・何?」
やっと出した声は掠れて、ヤツに届いたかわからなかった。

「これ見よがしにはぁはぁ溜め息つきやがって。そんなに構って欲しいかよ」
吐き捨てるように言われた言葉に、一瞬反応が遅れた。
「眼中ねぇんだっつーの、テメェなんか。ハエみてぇにまとわりついてんの我慢してやってんだから、それ以上アピールしてくんじゃねぇよ」


ぷつん。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぬぼれてんじゃねーよ」
「ぁあ?何か言ったか?」
「うぬぼれんなって言ったんだよ!この自意識過剰のクソ男!
誰があんたなんかに構ってもらいたいってのよ。
あたしをその辺の女と一緒にするんじゃないわよ」
「てめぇ・・・」
「こんなバカと一緒に居なきゃいけない不幸に溜め息ついてたの、あたしは!」

ガンッ!

もう一度テーブルが鳴る。
「ブッ殺すぞ・・・」
凶悪なオーラをまとった道明寺がゆらりと立ち上がる。
ゆっくりゆっくり、近づいてくる足音は、たぶん恫喝。
「誰がバカだって?」
上から見下ろす冷たい目に、挫けそうになる。
「バカじゃない。それかガキ。自分で片付けもしないくせに、乱暴して、モノ壊して。
ホント、皆かわいそう。あんた一人いるだけでシゴト10倍って感じ!」
床に砕けて落ちているカップを指さして言ってやった。
わずかに、ヤツが目を細める。
頭にきて、もう一緒にいるのが嫌で、くるりと背を向けた。
「あんたなんかと居たくない。もう、部屋に戻るから!」
勢いのままドアノブに手を掛け、思い切り引く。
重く開こうとしたドアは、しかし。

バンッ!

目の前で響いた破裂音と共に、閉じられた。
・・・・・・自分の呼吸がやけに響いて聞こえる。
両方の視界の端には、大きな手。
それがあたしの腕を掴むと、身体を振り向かせドアにダンっ・・と押しつけた。
「い・・・た・・・っ」
一瞬ぎゅっとつぶった目を開けると、そこには凶暴な瞳。
「謝れ」
腕を掴んだ手に力が入って、骨が軋む。
「痛い!離しなさいよ!」
「謝れって言ってんだよ、クソ女。マジぶっ殺してやろうか」

悲しい

こんな緊迫した空気の中で、あたしの頭はシンと冷えていた。
刺すように睨む目を精一杯見返して。
骨が折れそうに掴んでくる手の力に、耐えて。

ねぇ、道明寺
あんたは知らないでしょう

この目が、どんなに優しくあたしを見たか
この手が、どんなに優しくあたしに触れてきたか
あんたのその声が、どんなに優しく牧野って呼んだか

ブワッと、涙が出た。
予想していなかった醜態に、せめて零れないようにと必死で目を見開く。
霞んだ視界で見えなかったけど、道明寺の手が緩んだ。
そして舌打ち。
「泣けばいいと思いやがって」
「違うっ!」

もう限界だった。
思い切り道明寺を突き飛ばした。
「あんたなんかっ!」
ドアノブに手をかけて
涙で何にも見えなかったけど、振り返って叫んだ。

「あんたなんか、大っキライ!」

そしてあたしは走って逃げた。
カッコ悪く、アイツから逃げた。




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コメント
つくし、ガンバッ!
こんにちは!!

ホント、疲れんだろうな
自分と共有してるはずの想いを
司は忘れちゃってるし、やってることは
駄々捏ねてるガキみたいだし。

四六時中一緒にいられて
記憶があったら(あったら一緒に住めなかったけどさ)
司の大喜びの展開なのにね。
「あ~、損したって」思うだろうな記憶が戻ったら…
その分を挽回してやるーって感じで迫る?

記憶をなくしてる状態でもう一回、v-347つくしに惚れたりする? そんなのもいいなぁ。

泣きながら走り去るつくしに司は何を思うんだろう。
何か感じなきゃ司、あんたほんとにバカだよ!


     では、また・・・。e-463
2009/09/25(金) 12:42 | URL | magenta #-[ 編集]
magentaさま
司のバカー!
司のバカー!
と、思いながらUp←え
ホント、うちの坊ちゃん口が悪くて・・・・・時々チンピラー?と、自分で突っ込みながら書いています。
つくしも大概だけど・・・
2009/09/25(金) 14:27 | URL | とば #-[ 編集]
早く続きが!
久々のコメントです。
毎日欠かさずチェックしてますよー。
とばさん絶好調ですねぇ。
続きが気になって仕方ありません。
これからの司の変貌が気になるところです。
お忙しいと思いますが、更新楽しみにしています。
2009/09/25(金) 14:31 | URL | shu #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/09/25(金) 15:43 | | #[ 編集]
shuさま
こんにちは。
コメントありがとうございます。
ブラック司でお送りしております。悪いです。子供です。
早く何とかしたい。
2009/09/25(金) 16:48 | URL | とば #-[ 編集]
いろはさま
ホントにだめですよね~。
つくし泣いてんのに、『泣けばいいと思いやがって』ですよ!
ひどぉ~いv-40
でもなぜか、こういうシーンほどスラスラ書けたりして←おまえがひどい
2009/09/25(金) 16:52 | URL | とば #-[ 編集]
それでも・・・
今日の坊ちゃん・・・
いぢわるです。
っていうか?
いぢめっこ?

それでも、楓さんと椿さんの言うことは聞いちゃうのがいいなぁ。

それでも・・・
つくしちゃんをいぢめる司坊ちゃんはなんだか許せない。
早く、思い出せぇ~
思い出せえ~
思いだせぇ~って、耳元で睡眠学習とか?
もう少しがんばってみる?
せっかくの同居!だしぃ~❤(←あれ?ここで黒ハートはおかしい?)

2009/09/25(金) 23:45 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
ちふゆさま
いぢわるでいぢめっこでコドモ~!
すごいです。
ブラック司に非難GOGO!←なんか楽しそう
やっぱりつくしをいぢめちゃダメですよねぇ。
これが他の女相手だったらやれー!やれー!って感じなんだけど。
2009/09/26(土) 06:25 | URL | とば #-[ 編集]
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