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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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リベンジ 1

制服のスカートの重さは5キロ
ブラウス1キロ
ブレザー10キロ
首輪のようなリボンのタイが2キロ

もうすぐ解放される。
最後までなじめなかったこの場所から。

「つくしちゃーん!」
「和也君」
「つくしちゃん、来週のプロムの事なんだけど・・・」
できれば僕と・・・と言いかけた和也に
「あ、あたし出ないよ。プロム」
「え・・」
「ええーっ!!」
雄叫びは和也の後ろから聞こえて、飛び出してきた美人にガクガク揺さぶられる。
「どうして?どうして、先輩?出ましょーよ!今年は先輩が主役なのに!ドレスがないとか?
それなら私のをお貸ししますから!まあ、入るかが心配ですけど」
「さ、さ、くら、こ。揺すらないで・・・!」
一言多い桜子をどうどうと落ち着かせる。
「ドレスは一応ね・・・家族がお金貯めてくれて用意できることは
できるんだけど・・・やっぱ、一日だけのために勿体ないし。
あたしもプロムとか興味ないし、そのお金で、家族で温泉でも
行こうかって事になって。卒業式の後すぐ旅行に行くんだ」
「えー!だってつくしちゃん去年だってプロム出てないじゃないか―」
「青池さんっ!!!」
「あ・・・ゴメン!」
「ぷっ・・・いいよ」
焦る和也にニコッと笑顔を返して
「まあ、去年はそれどころじゃなかったからね」
首をすくめた。



道明寺があたしを忘れて。
もう一年がたった。
去年の今頃は人生の中で最悪の時期だった。
道明寺にあたしの事を思い出させようと頑張って頑張って頑張って。
拒絶され続けて。
もうボロボロだった。
このままじゃ自分の事が嫌いになっちゃうと思って。
すっぱりあきらめたけど。
その辺の時の事はあんまり覚えてない。

毎日泣いて泣いて泣いて泣いて、ご飯も食べられなくなって、あの時は死ぬかと思った。
一生分、てのは言いすぎだけど優に10年分は泣いた自信あるよ。
でもさすがあたし!
つくしの名前は伊達じゃない!
再生するのよ元気に。
少しずつ、ほんとうに少しずつ。
息をするのが楽になって、元気が出てきて、そして立ち上がった。
ココロの傷だってもうかさぶたくらいにはなってると思う。
・・・・・まだ・・・アイツとは普通に会えないけどさ。
だってしょうがない。
まだ、あいつを見ると心臓がぎゅっと苦しくなって、息もできなくなる。
引きずってんだよね。
かなり。
あいつが高校を卒業しちゃって良かったんだ。
同じ敷地内とは言え、大学と高校じゃ会うこともないし。
あたしも来週卒業すればもう、見かけることもなくなると思う。
これが運命だったんだって・・・思いたい・・・。


「花沢類?」
寝てるかな?と思って声をかけたら、予想外にぱっちりと目が開いた。
「おはよ」
「おはよ。来てたんだ」
「うん・・・・あのさ・・・ちょっと触っていい?」
「いいよ」
花沢類の腕を貸してもらって、ぎゅっと抱きしめる。
肩に顔を埋めて。
一瞬キラキラした水面のイメージが浮かんでそれに身を任せる。
いつからだろう。
苦しい時、こうさせてもらうと心が落ち着いて、また頑張れる。
1年前、あたしが立ち直れたのはこの人の存在があったからだと思う。

何を言われた訳じゃない。
何をされた訳でもないけど、

ずっとそばにいてくれた。

抱きしめられたら、守られたら弱くなるから。
こうして時々腕を借りるくらいがちょうどいい。
「牧野、就職決まった?」
「うん。ギリギリセーフ。危なかったよ、来週もう卒業だもんね」
「うちの学校、求人自体来ないじゃん。うちの会社に就職すればよかったのに」
「やだよー。こんな寝てばっかりの次期社長じゃ先行き不安だもん」
「本人に言うなよ」
「あはははは」
また笑えるようになったのは花沢類のおかげだよ?
「ありがとね」
「何のこと?」
「別に」
もう、しばらく恋はいい。
このまま、穏やかな時間がずっと続けばいい。



「悪いけどそうはいかないよ」
「せ・・・センパイ!」
目の前に突きつけられた数枚の紙。
「お久しぶりです。っていうかこれ何ですか」
学校帰りに拉致られた道明寺邸。
ってかほんとに拉致られたんだよ。
黒服着たでかい男に、両脇がっちり押さえられて。
無理やり車に乗せられて。
2度と来ないだろうと思ってたこのお屋敷に。
「嘆願書」
目を落とすとずらりと並んだ署名。
『嘆願書』の下には
『安全に労働を行うために牧野様に御助力いただきたい旨 使用人一同』とか書いてあって。
「・・・・・あの・・・・センパイ?」
「中身は奥様から聞いとくれ」
示されて目だけでそちらを見ると、
能面みたいな顔でこっちを見ている魔女と。
穏やかに笑う椿お姉さん。
ごくり。
ひさしぶりの緊張感。
「牧野さん」
「・・・はいっ」
もうこの人のバカ息子とは終わってるんだから、何も恐れることはないのに、
この威圧感の前では普通ではいられない。
「お久しぶりね」
「あ、は、はい」
「あなたに、お願いしたい仕事があります」
「は?」
「いい条件と悪い条件、どちらを先に聞きます?」
「え・・・?」
「どちら!」
「え・・・あ・・・じゃ、いい方を・・・」
全く訳のわからないあたしを置いて、魔女は淀みなく話し始めた。
「まず、あなたがこの仕事を受ければ、生活の保障がされます。
しかも今までより上級の。衣・食・住は全て保障した上で、
十分な報酬もお支払いするつもりです。それから、大学に
進学していただきます。もちろん学費はこちらで負担いたします。」
「・・・・はあ・・・」
「あまり嬉しそうじゃないわね」
ていうかアナタと話してるからだと思います。
大体こんな、一介の女子高生にどんな仕事ができるっつーのよ。
「・・・・・それで、悪い条件は」
「家族と離れて住みこんでいただきます。それから、基本的に
大学の講義以外の時間はほとんど全部拘束されるわ。
・・・そしてこれが一番あなたにとっては悪い条件かしら」
魔女は一息入れるとゆっくり言った。
「あなたに拒否権はありません」
ビジネスの場においては百戦錬磨な魔女の事。
効果的な話し方とか、インパクトのある言葉選びとか、
もう身に付いちゃってるのかもしれないけどっ!!
こんな小娘相手に使わないでよねっ!
びっくりするじゃないのっ!
「おかあさま!!」
椿お姉さんが声を上げてくれた。
「つくしちゃんがびっくりしてるじゃありませんか!
こちらはお願いする立場なのに、そんな命令みたいに・・・ごめんね?つくしちゃん」
「はっ・・・いえ・・・それで、その仕事の内容って・・・」
「・・・実はね」


話しの半分で立ち上がった。
「ごめんなさいっ!できませんっ!」
「おねがいっ!もうつくしちゃんに頼るしかないの!!」
きれいな目を潤ませたお姉さんに手を握られても。
「すいませんっ!お姉さんにはいっぱいいっぱい助けてもらって!
本来なら、どんなことをしても恩返ししなきゃいけない立場なんですけどっ!許して下さいっ!!」
「ごめんなさい、私たちこそ、つくしちゃんを利用するようなことお願いして」
「謝りあいはもう終わりになさい」
クールに魔女が言った。
「先ほどもお話ししたけど、牧野さん、あなたに拒否権はないの。申し訳ないけど」
こんだけ謝ってるように聞こえない『モウシワケナイ』を聞いたのは生まれて初めてですよ、アタシ。
「できません。ダメです。あたし帰ります。それじゃ」
ドアに向かって一歩踏み出した足を、魔女のひと声が止めた。
「帰る家はないわよ、牧野さん」
「え?」
「あなたのご両親に、住み込みでお仕事を紹介させてもらって、
もう午前中の内にそちらへ引っ越していただきました」
「うっそ・・・」
「あと、あなたの就職予定先の内定は取り消させていただいたわ」
「そんな・・・」
「だから牧野さん、あなた、この仕事を受けるしかないのよ」
「本当にごめんね・・・つくしちゃん・・・」
この手際の良さ、前に経験したことがあるような・・・。
呆然として、何も考えられなかったけど少しずつ状況が理解できて。
「・・・おかしいでしょ。あなた、あたしの事すっごい邪魔にしてて、
いろんな事して妨害してきたくせに何で今更・・・絶対怪しい!」
「あの時は、司があなたに夢中でしたから」
魔女は真っ直ぐにあたしを見て、言った。
言われなくてもわかる。続き。
今は・・・・違うから。
う・・・ときたけど気合いで我慢した。
泣くもんか。

あたしはテラスに面したガラス戸を開けると、走り出て思い切り叫んだ。
「ふざけんな、ババァー!金にあかせて勝手な事してんじゃねーっ!!
金持ちなんて大っっっ嫌いだーっ!!!」
ぶははははっとセンパイが笑いだすのが後ろから聞こえた。
「その調子で頼むよ!つくし!あははははは」


道明寺の重役会から、御曹司の悪行に関して不安の声が上がったのと。
司法関係から、これ以上の事件のもみ消しは難しいと言われたのと。
使用人が、御曹司の暴行に怯えて次々辞めていったのと。
ほとんど同時だったらしい。
「使用人頭として言わせてもらえば、あんたと一緒にいた時期の
坊ちゃんは穏やかで、楽しそうで、ほとんど乱暴もしなかったからね。
その嘆願書もメイドが中心になって集めたんだけどさ」

3人からの・・・いや、道明寺のお父さんも同じ意志だそうだから、
道明寺家から依頼された仕事は

『道明寺司の再調教』。

椿お姉さんの何度にも渡る説得に、やってみてもよいと出されたGOサイン。
・・・・・おねえさん~~~~・・・

「つくしちゃんが傍にいてくれれば、きっとまた司も変わってくれるんじゃないかと思うのよ!」
「ムリムリムリムリ!ぜったい無理です!」
「でも、1回できたことだし!」
「二度と無理だってセンパイにも言ってたのに・・・」
「ごめんねぇ、つくしちゃん。・・・でもやっぱり見てられなくて・・・一回、
アイツの幸せそうなところ見ちゃったから、諦めがつかなくて・・・ごめんなさいね?」

はぁ~・・・・。

じーっと見てくる6つの目に、いたたまれない感じになって・・・
ああ・・・・
「はぁ~・・・・・やってみますよ・・・でも期待しないで下さいよ?」
「きゃー!ありがとう!つくしちゃん、恩にきるわ~!無理しないで、
司のそばにいてくれるだけでいいからね」
でも私、かなり勝算あるのよ?
アイツに似た顔でにっこり笑われるだけで心は騒ぐけど。
「それでは契約は成立ですね。内容の説明に入りましょう」

・・・・・・・・・決めた。
どうせ逃げられないなら、あたしだってこの機会を利用させてもらう。
こんなにウジウジしてるなんて全くあたしらしくない。
アイツと、もう一度ちゃんと向き合って、この気持にもケリをつけよう。
それで。
きちんと整理して消化して。
ちゃんと『前、好きだった人』にしてやるんだから。



        2へ


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コメント
ワクワクします
今までと、違うお話でワクワク感がいっぱいです。
再調教って・・・つくしがいないと猛獣だから?
続きがすごい楽しみです。
がんばってください
2009/09/24(木) 11:54 | URL | つゆかノエル #STO9711o[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/09/24(木) 14:58 | | #[ 編集]
バトルの前の静けさ・・・かな?
コンチハー! e-320

プロむのお話と思いきや
司の再教育とは・・・。

静かに始まりましたが
壮絶なバトルがありそうですね。
期待してたりしてぇ。。。。。
司、記憶がないけど(戻ってる?)
つくしとラブ・ラブなんてあるの?
これも期待して、続きを待ちます。


     では、また・・・。e-320
2009/09/24(木) 15:09 | URL | magenta #-[ 編集]
つゆかノエルさま
こんにちは。
度々のコメントありがとうございます。
長くなりますが、まったりと進めていきたいと思います。
ヨロシクお願いします。
2009/09/24(木) 16:54 | URL | とば #-[ 編集]
risaさま
本当です。
考えなしでした。スミマセン・・・。
気を付けます。ご意見ありがとうございました。
2009/09/24(木) 16:58 | URL | とば #-[ 編集]
もうトリコです!
のっけからおもしろすぎです!特に魔女!!
しかし司坊ちゃん、1年の間にそんな数々の悪行を・・・
切ないv-239
続きを楽しみに明日を乗り切ります。
2009/09/24(木) 20:53 | URL | わか #-[ 編集]
更新、楽しみにしてます~。
がんばってください。
新しいお話、続きが早く読みたいですv-10
2009/09/24(木) 22:02 | URL | usausa #-[ 編集]
わぁ~い!
司法関係からも?
もみ消せないって・・・
嘆願書?
メイドさんが辞めちゃった?


え・・・司?大丈夫?
っていうか・・・
再調教! う~ん、ステキな響きぃ~❤
(やっぱり、黒ハートです♪)

ここで気になるのは、この間の『女関係』なんですが・・・
できれば、できれば・・・
『純』なままの司ぼっちゃんでいてほしいけど。
記憶が無いなら、無理・・・か・・・(;-_-) =3

でも!でも!でもぉ~♪
魔女も、ラオウもってことは・・・グヒヒヒヒ❤
楽しみだわぁ~

坊ちゃんの再調教楽しみにしてますわヨ!
2009/09/24(木) 22:11 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
わかさま
あれ、おかしいな。
魔女登場、笑うトコロじゃないはずなのに…・
楓さん、私の中では西田さんとタイ張る能面です。
ダブル能面。
「どうも~!能面です~」
「鉄仮面です~」
パチパチパチ…
すいません・・・こんなことばかり考えて暮らしています・・・
2009/09/24(木) 22:27 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
こんばんは。
やります。だぁい好きな記憶ネタです(笑)
以前Upした記憶ネタ、プライマリなんですが・・・
あの時はあれでいいと思ったんですけど、なんか坊ちゃんがあんまり優しくなくて(いえ、そういう設定だったんですけど)つくしが可哀想だったので、もう一回、やるかな、みたいな。
だからタイトルもリベンジで(笑)!
ヨロシクお願い致します。
2009/09/24(木) 22:34 | URL | とば #-[ 編集]
usausaさま
ありがとうございます~!
頑張ります。
坊ちゃん荒んでいて、しばらく可愛くないですがヨロシクお願い致します。
2009/09/24(木) 22:38 | URL | とば #-[ 編集]
ちふゆさま
あっ!
く・・黒いですよ!
そしてグヒヒヒ・・って・・・
でもどうなんでしょうねぇ・・・女関係ねぇ…
ちなみに、私の中では海ちゃんはいない事になってるんですけど←ファンの方、申し訳ありません。
あ、思い出したらハラたってきた。
司めぇ~!まんまと騙されおってぇ~e-269
2009/09/24(木) 22:50 | URL | とば #-[ 編集]
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