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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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専務と私~おしまいの日~

「はぁ~・・・・」
溜め息をつくのはもう何回目か。
全然、全然、力が出ない。
出勤したアイツに抱きつかれた時もされるがまま。
抵抗しないあたしに不思議そうな顔しながらも、ちゃっかりキスしてきた時もされるがまま。
調子に乗ってムネとか触ってきたときはさすがに一発入れたけど。

「はぁ~・・・・・」
紙袋に、私物をしまいながらまた溜め息。
パソコンのキーボードのヒビを撫でる。
これは1年目、アイツと大喧嘩した時に八つ当たりして壊したとこ。
机の横のキズ。
これは怒ったアイツが蹴っ飛ばしたんだっけ。
机の上の小さな花瓶はあたしが持ってきたもの。
『あんたと居ると気が休まる暇がないのよ!』
なんて憎まれ口たたいた。
私物なんてほとんどない。
全部入れても紙袋はスカスカ。
この部屋の掃除も終わったし、私物も片付けたしやるべきことはおしまい。

「はぁ~・・・・」
「なに溜め息つきまくってんだよ」
聞きなれた声にノロノロと顔を上げると、道明寺が入口のとこに
寄りかかって、面白そうにこっちを見てた。
「道明寺~」
思わず駆け寄り、ぎゅっと抱きつく。
うおっとか驚いてるけどお構いなしでしがみつく。
「なんか淋しいよ~」
ぷ、と吹き出す音がした。
ムッとして見上げると、優しく目を細めた美貌がすぐ近くにある。
「俺は別に嬉しいけど?」
「・・・・・なんでよ」
今度は道明寺が抱きついてきて、すっぽりとあたしを包む。
髪にすりすりと頬を擦りつけて、くつくつ笑ってる。
くすぐったい恥ずかしい不謹慎。
なんか言ってやろうかと思ったけどやめた。
「トコブシ退職じゃん。喜べよお前も」
「・・・コトブキね。海の生き物かっつーの。・・・・・あたしは、これから
待ってる地獄の花嫁修業の事を考えると素直に喜べないよ・・・」
「クックック・・・・」
「笑うな!あんたカンケーないからって。それに、やっぱ淋しいよ。3年居たんだよ?この部屋」
「あっという間だったよな」
「うん、あっという間だった。いろんな事あったよね」
「ああ、あったな。あんな事。こんな事」
「省略すんな」
笑ってゆっくり揺すってくる道明寺の腕からするりと離れた。
2歩下がってまっすぐ向き合う。

「専務」
長身を見上げる。
向き合う彼はニヤリと笑うと軽く姿勢を正した。
「3年間、お世話になりました」
深く礼をして笑顔で顔を上げると、道明寺も笑う。
「3年間お疲れ。お前と仕事できて、スゲー幸せだった」
自然に、お互いの顔が傾けられ、丁度いい角度になって近づいていく。

コンコン

「あわわわわわわ」
「チッ」
聞きなれたノックの音。
これも今日でお別れ。
ドアを開けると西田さんが花束を持って立っていた。
「牧野様」
結局最後まで直らなかったサマ呼びに小さく笑った。
「私からの気持ちです。3年間、お疲れさまでした」
「あ、ありがとうございます!わ、カワイイ」
ロボットみたいな西田さんと、ピンクの花束がミスマッチで悪いと思いながらも笑っちゃう。
「こちらこそ、ご指導ありがとうございました。西田さんのおかげで、
いろいろ勉強になりましたし、安心して業務に向かうことができました。
言葉で言えないほど、感謝してます」
最敬礼して顔を上げると、西田さんのポーカーフェイスが心なしか赤くなってきて。
表情がないだけになんか・・・・・ぷっ。
「お前、俺には一言で西田にはそんなにかよ!」
って怒ってるアホは無視して西田さんと向き合う。
「これからも専務の事を宜しくお願いします」
もう一度頭を下げる。
秘書のあたしと牧野つくしと、半分ずつの願い。
西田さんは
「専務は大丈夫です。あなたさえ傍にいれば」
と、ほんのわずか、目と口元を緩めた。


「それじゃ、あたし、帰ります」
「他部門への挨拶回りはしないんですか」
「やだ、する訳ないじゃないですか!」
部長クラスならわかるけど、ただの秘書課のペーペーが挨拶回りなんて。
考えただけで恥ずかしい。
「各部署には前から少しずつ挨拶してたから大丈夫です!じゃ・・・行きます」
笑って、元気にお別れしよう。
お世話になったこの場所と。
あたしにいろんな事を教えてくれたこの場所と。
「俺も行く」
「私も行きます」
荷物を持ってドアに向かって歩き出すと、道明寺と西田さんも一緒に動き出す。
「へ?いいよ、別に。あと帰るだけだし」
「行く」
道明寺の優しい目と、黙って頷く西田さんのポーカーフェイス。
歩き出すと横に並んで歩調を合わせてくれる道明寺。
「ねぇ、もうここでこんな風にして歩くこと、ないんだね」
ちょっと感傷的になって言ったら、
「バカ、場所は違ったって、一生並んで歩いてくんだろ」
ポンと頭に手が載った。

「つーか西田、ついてくんじゃねーよ」
「荷物持ちが必要かと思いまして」
「え?大丈夫ですよ?ほら、荷物なんてこれ一個だし。
あ、別に見送られたくないとか言ってる訳じゃないんですけど」
「せっかく牧野と2人で最後の思い出作ろうと思ってたのによ」
「ギャー!ヘンな事言うなっ!なな何する気よ!いらないしっそんなのっ」
「なんだとぉ?」
「ぎぇ・・・くるし・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・社内ではお控えください」

ちん

軽い音をたてて、エレベーターが止まる。
ドアが開いた、瞬間。

ザアアアァァァァァァァ・・・

「え」
一瞬、スコールかと思った。
それぐらい圧倒的な空気の動きが、あたしを襲う。
「・・・・・・・・・・」
押されて後ずさると、硬いスーツに当たった。
目の前には拍手で道を作る顔、顔、顔

知ってる。

皆、知ってる。

3年間お世話になった、たくさんの人たち。
「全員サボりかよ」
頭の上から響く低い声に見上げると、穏やかに微笑む道明寺と目が合って。
彼が笑って頷くと、拍手がビリビリするほどの音響になって降って来た。



「行けよ。お前の花道だ」




何にも、言えない。

「庶務課一同からです。牧野さん、お世話になりました」

「第一営業部、一課一同です。牧野さん、お疲れさまでした」

「総務課一同からです。いろいろありがとうございました」

アーチを進むごとに、笑顔と、あたたかい声がかけられて、
おっきい花束が渡されて、すぐに両手がいっぱいになる。
お礼をしようと思っても頭が下がらないくらいに。
もう持てないどうしようと思った瞬間、後ろから手が伸びてきて
「ほら」
花束がすくい取られた。
「しょうがねぇ、持ってやる。ったく、俺を荷物持ちに使うなんざお前くらいのもんだ」
見上げたら多分優しく笑ってると思ったけど。
もう、視界はぼやけて見えなかった。
後から後から涙が溢れてパタパタと落ちていった。



途切れることのないアーチを抜けてビルを出る。
遠く振り返って頭を下げると、ひと際拍手が大きくなった。
轟音に、まぎれて呟く。
「ねぇ、道明寺・・・・あたし、どうしよう。こんなにしてもらって。どうやってお返ししたらいいだろう」
「俺が返してやるよ」
低い声が言う。
「俺がアイツらを守ってやる。それが俺のシゴトだし」
肩にポンと大きな手が乗せられた。
「だからお前は俺を守れよ。一生な」
「・・・・いつも自分があたしを守るってきかないくせに」
「いい加減、諦めの境地なんだよ」

鳴りやまない拍手があたしを包んでくれる
溜め息をつく道明寺の隣で
後ろで花束を持ってくれてる西田さんの気配を感じながら
あたしはもう一度、深く頭を下げた。



     ああほんとうに
        
          幸せな日々だった




                              Fin




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コメント
急に・・・・
さびしぃ~

秘書つくしと専務の毎日 楽しみだったんです。
はぁ~でも、「トコブシ退職」だし、
会社のみなさん総出のお見送りには、ちょこっと涙です。

次はどんなお話になるのか。
すごく楽しみにしていますね。

2009/09/12(土) 04:50 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
はじめまして♪
はじめまして、初コメントです。
いつも、更新楽しみにしてます~。
がんばってください。
また、コメントさせてもらいます~。
2009/09/12(土) 09:16 | URL | usausa #-[ 編集]
祝!トコブシ退職
ひさびさのコメントですが・・・毎日読んでました!
類、あきらがきたから次は総二郎だと思ってたんですが、フィナーレでしょうか?? 
でも、きっと続きがあるに違いない・・・なんてひそかな期待がとまりません!
新しいお話も、休日シリーズも待ってます。

「専務と私」リターンズ!で「社長と私」なんてどうでしょうか~v-10
2009/09/12(土) 09:34 | URL | わか #-[ 編集]
ちふゆさま
すいません、急に終わっちゃいましたね。
自分の中では決まっていたんですけど、皆様には驚かれたことかと…
もういっこで終わります。
でも専務シリーズは好きなので、また書くと思います。
つーか、専務シリーズの司、愛が濃すぎて…・疲れ・・ゴフンゴフン!

2009/09/12(土) 09:48 | URL | とば #-[ 編集]
usausaさま
はじめまして。
コメントありがとうございます。
嬉しいです~。
元気でますv-238
2009/09/12(土) 09:50 | URL | とば #-[ 編集]
わかさま
コメントありがとうございました~。
毎日お寄りいただきまして・・・感激。
あのぅ、あのですね。
総二郎・・・・・・妄想力を高めて頑張ってみたんですけど・・・無理でした。
彼、全然何を考えてるかわかりません~!!
お祭りコンビでゲラゲラ笑ってる姿はすっごく想像できるんですがー・・・
複雑すぎて、単純司スキーのワタクシには・・・無念。
専務シリーズは、あといっこで考えてたお話全部終わりです。
でも、また書くと思います。
ありがとうございました。
2009/09/12(土) 09:57 | URL | とば #-[ 編集]
お疲れ様…でもまだまだ、ファイトーッ!!
こんにちは!!e-320

「壽」より「トコブシ」のがでてこないと思うけど
さすが司?

喜んでばかりもいられない「寿退社」のようですが
つくしなら「地獄の花嫁修業」もやってのけるでしょうね。

さて、次はどんなラブラブ、ドタバタかな?
それともしっとりシリアス路線?
いつか、総二郎も出して欲しいなぁ・・・。

v-352次回作も楽しみに待ってますv-353e-454

    では、また・・・。e-463

2009/09/12(土) 11:22 | URL | magenta #-[ 編集]
magentaさま
こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
今回初めてトコブシの画像を見てびっくりしました。
貝なんですね!なんとなくコンブっぽいものを想像してたんですけど。
専務シリーズで、熱い?暑苦しい?2人をずっと書いてたので、そろそろ原点にかえってピュアな2人も・・・とか思ってます・・・指が触れてドキドキみたいな(笑)
えげつない司も捨てがたいですがe-350
2009/09/12(土) 13:26 | URL | とば #-[ 編集]
こんにちは。久々のコメントですが、毎日チェックしてますよ~v-238
ちょっと出張に行っていてお話を携帯から見ようとしたらタイトルしか見れず・・・・『おしまいの日』ってなんだぁぁぁ、何がおしまいなんだ~!!と気になって気になって・・・・帰宅して早速読ませていただきました。ビバ寿退社!!おしまいOK!
やっぱりつくしの人柄から『花道』ができるんですよね。ほんわかしててとってもよかったです。さびしい~って司に抱きつくとこもかわいい。
次回の更新も楽しみにしてます。
2009/09/13(日) 12:01 | URL | えりっぺ #-[ 編集]
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2009/09/14(月) 08:50 | | #[ 編集]
えりっぺさま
こんにちは。
出張、お疲れ様でした。
コメントありがとうございます。嬉しいです。
つくし、退職しちゃいました。
しかし、花道はいいですけど、全員サボリって…ホントに大丈夫か、道明寺グループ。
結局最後まで秘密交際でした。
つかバレバレ?
2009/09/14(月) 09:54 | URL | とば #-[ 編集]
ややままさま
こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
す、すいません。総二郎なしでv-406
だって、彼…何考えてるかわからなくて・・・す・すいません…
結局ワタクシ司スキーなので、他あんまり考えてなくて。てへ。
2009/09/14(月) 10:01 | URL | とば #-[ 編集]
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2009/09/14(月) 13:14 | | #[ 編集]
ややままさま
あら~・・・すいません~~。
長かったですか~~。
あの、もしアレでしたら前後とかに割りますので・・・・・
いえ、何ていうこともない話なんですけど。
2009/09/14(月) 22:02 | URL | とば #-[ 編集]
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2010/03/11(木) 01:19 | | #[ 編集]
あやのさま
こんばんはv-280
嬉しい嬉しい。とっても嬉しいです!
すごく嬉しくて、やる気出て、夜中なのにハァハァしております(笑)。
もう寝るつもりだったのに、ヤル気が湧いてきて思わず更新作業を始めてしまいましたv-344
私からも頑張れ~!頑張れ~!のエールを!
元気貰った分、返せたらいいのに。
ありがとうございました!
2010/03/11(木) 03:32 | URL | とば #-[ 編集]
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2014/06/06(金) 14:57 | | #[ 編集]
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