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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

専務と私~捕食~

「あ・・・・」
「あ・・・・」
二人同時に指を差し合い固まってしまった。
挟まれた樹本社長は、つくしと息子、両方を交互に見ながら
「知り合いか?」
と樹本に尋ねる。
「高校の・・・同級生・・・」
どきっとして、つくしが更に固まる。
全校生徒による集団いじめで、自主退学した樹本君。
あたしは苛めたわけじゃないけど、勇気がなくて止めることができなかった。
心の中に、棘みたいに引っかかった後悔。
「あの・・・」
「久しぶり、牧野」
笑顔だったからびっくりした。
「取り合えず、案内してよ。時間に遅れそうだ」
「あ・・はい!申し訳ありません。こちらへ」


エレベーターに乗り込み、52階のボタンを押す。
「俺、今、親父の秘書でいろいろ付いて回ってんの。修業中。牧野は?」
「うん、一応専務付きの秘書なの」
「うお、すげーじゃん。有能!」
「そんなんじゃないよ」
当たり障りのない話をしながら
専務室のドアをノック。

ドアを開けると、PCから目を上げて立ち上がる世界の道明寺司様(自分で言ってる)。
「ご足労いただきまして」
言葉は丁寧だけど、長身から見下ろす強い視線と冷たい美貌。
とてつもないパワーを感じさせるオーラとか。
・・・すごい威圧感。
それでも樹本社長は、年の功なのか、笑顔で応対している。
樹本が紹介されて、司と握手した時、ものすごく緊張しているのが後ろから見てもわかった。
そうだよね。コイツのせいで人生狂っちゃったんだもんね。
「それじゃ、お前は外で控えているように」
樹本社長に退室を促されて、樹本の肩からわずかに力が抜ける。
コーヒーをサーブしたつくしも、一緒に退室した。
外に出て、ドアから離れると、樹本は
「うぇ~・・・」
と、しゃがみこんでしまった。
「すっっっげぇ緊張した!」
つくしを見上げて笑う。
「牧野よく、あの道明寺さんの秘書なんかやってられるよなぁ。心臓タワシでできてんじゃねぇ?」
「ちょっと!」
つられて笑いながら、
「控室こっちだから」
と、案内した。
「はい、こちらへどうぞ。PC使うなら配線そっちにあるから」
「や、いい。な、牧野。今いいの?話しよーよ」
「え?う、うん」

樹本は英徳を退学してから都立高校に編入したらしい。
そこで人生変わったんだと話してくれた。
「出てみてわかるってゆーかさ、やっぱあそこは異様な世界だったよね。
俺も都立に編入した時は、すげぇ鼻もちならない、やな奴だったんだけど、
いろいろあってさ。変わったよ。普通の人間になった。
今じゃ退学して良かったと思ってるもん。牧野は?最後まで英徳?」
「うん、そう。実はあたしも赤札貼られちゃってさ・・・」
「うっそマジで?やっべぇじゃん」
当時は辛くてたまらなかったけど、年月がたてば笑って話せるようになるんだなぁ。
樹本と笑い合いながら考える。
赤札を貼られた者同士、気持ちがわかる部分があったりして。
あれ、それじゃあどうして今、道明寺グループにいるのなんて聞かれて赤くなったりして。
何て説明しようかとまどっていた時。
突然ドアが開く。
笑いの余韻が響く中、司が見たのは赤くなって照れくさそうに笑うつくしで。
ピキン。
一瞬にして表情が凍る。
「すいません!昔話で盛り上がってしまって」
樹本がつくしを庇うように前に出た。
「昔話?」
呟いた司の声は、低~く低~く、まるで地の底から響いてくるみたいで、背中がぞくっとした。

ヤバい・・・・・・

「お疲れさまでした。お送りいたします。こちらへどうぞ」
よそいきスマイルを張り付け、2人を案内しながらも背中に視線が刺さって痛い。
・・・・・このままどっか、行ってしまいたい・・・・
無理な相談だったが。

エントランスで2人を送り出し、頭を上げるとのろのろと帰り出す。
・・・・・・・・・・・・・気が重い。
セリフまで予想できる。
『ホイホイ男と二人きりになりやがって』
『まったく男好きだよな、てめぇは』
『紐でしばって繋いどいてやろうか』

ムカッ

想像でムカつくのもどうかと思うが、でも当たるはず。
あ~、イヤだウザい戻りたくない。
時計をちらりと確認すると12時過ぎ。
・・・・・・・・逃げよう、取り合えず。
お昼、しっかり食べて、それから対決しよう!
そうだよ!腹が減っては戦はできぬって言うじゃん!


専務室のドアを開けると、司が待ち構えていたかのように立ち上がった。
獲物を狙うみたいな、その目の光を見てやっぱり、と確信した。
ヤバい絶対何かされる。中に引きずり込まれる前に逃げないとっ!
ピコーンピコーンピコーン
つくしの中のセンサーが危険を察知して警報を鳴らしだす。
「道明寺あたしお昼入るから1時間で戻るからじゃあね!」
早口言葉みたいに言ってバンとドアを閉め、走ってエレベーターに向かう。
・・・・・・・・・・・下行っちゃってるじゃん!!!
表示は30階。
逃走手段の確保を忘れたと焦ってると、後ろでガンッとドアが開く音がした。

ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!
キターーーッ!!!

飛び上がりそうに硬直して、それから体は勝手に非常階段への扉を開けていた。
そのまま階段を駆け降りる。
「何逃げてんだ、てめぇっ!」
信じがたい事に司も階段を駆け降りて追いかけだした。

イヤアアアアァァァァァァァァ!!

今日低めのヒールで良かった。
だだだと駆け降り、もう途中から跳び下りる。
スカートだけどしょうがない。
捕まったら噛み殺される、たぶん。
命がけだった。


カカカカカカ・・・ガツン!
カカカカカカ・・・・ガツン!
非常階段にヒールの音が響く。
もう何十階分下りたのか。
ガガガッ・・・・・ダンッ!
ガガガッ・・・・・ダンッ!
非情に響く靴音は正確なリズムを刻んで・・・って一体どんだけ上から跳び下りてんのよ。
「あ~~~!もうダメっ!足ガクガク」
その場にべちょんと座り込み、ぜえぜえと息を切らす。
大きな影がつくしを覆う。
お互い息が切れて話せないから、司は無言でつくしの手首を掴み、
つくしは振り払おうと身を捩る。
「痛・・・・いよ・・・はぁ・・」
「てめぇが逃げっからだろーが」
自分はまだぜえぜえしてるのに、司はもう息が整ってきていて。
手を引かれて立たされる。
抵抗するが、すごい力で引っぱられてほとんど全力疾走みたいに歩かされる。
「・・・はや・・・ゆっくり・・・」
息を切らせて言うが全然聞いてくれなくて。
エレベーターに詰め込まれてやっと止まった。
「お昼ごはん・・・」
「るせぇ」
ボタンも押さないまま壁につくしを押しつけて、両手で囲って見下ろす。
すっごい怒ってるすっごい怒ってる。
ごくり。
恐怖で息をのむと険しい目がすっと近づいてきて
「何逃げてんだよ」
見開いた瞳を射ぬく。
「にににに逃げてないよ。お腹すいたから早く社食行こうかな、なんて!」
あはは。
「へー・・・」
司がほんのわずか目を細めて片唇を歪める。
それはイジワルの始まる合図。
「専務はお昼、いらっしゃらないんですか?」
ここは会社で。
今は就業中で。
公私の区別ってとっても大事!と、言外に含めて言ったが司は片眉を跳ね上げただけで。
「そういやハラが減ったよな」
艶を含んだ視線で。
端正な顔を傾けて。
つくしの唇をぺろりと舐めた。
「喰わせろよ」
「いやっ!ダメ!ちが・・ん~~~~!!」
噛みつくみたいにキスされる。
抗議の言葉は司の舌にすくい取られ、罰を与えるように執拗に舐めまわされた。
「・・・・ん・・・・っ・・・んん」
本気のキスに何も考えられなくなって、足の力が抜けていく。

気持ちよさそうに上気する顔を薄眼で見ながら、司はどうしてやろうかこの女、と考える。
ぎゃあぎゃあ騒いで暴れたって、こうやって可愛がってやりゃあすぐに大人しくなるくせに。
安心しきったみてぇな顔して、身体すり寄せてくるくせに。
俺がシゴトしてる隣の部屋で、男と2人きりで、あんな顔して笑いやがって。
しかも俺から逃げ出すって、なんだよそれ。
逃げなきゃいけねぇよーなこと、してたのかよ。
つか男と2人きりになった時点で有罪確定だが。

「ホイホイ男と2人きりになりやがって」
くちづけの合間に責めてまた奪う。
「まったくふしだらな女だな、てめぇは」
「・・・ちがっ・・・んっ・・」
「違わねーだろ。こんな真昼間から。職場で。こんな事して」
舌を咥えて、わざとちゅぅっと音立てて吸ってやる。
くくくと喉で笑って。
こんな事、を強調するみたいに胸だって掴んでやった。
「・・・あ!やっ!」
「やらしー女」
「だってあんたが・・・」
「このままここで」
低く耳に吹き込んでスカートの上から腰を撫でまわすと、細い身体が硬直する。
「躾けてやろうか」
途端に滅茶苦茶に暴れ出して、苛め過ぎたのを知った。
涙でいっぱいの目でキッと睨んできて。
ぎょっとする。

ヤバい、またこのパターンかよ!

ああ。まったく無様。
自分が苛めたくせに、半べそかいたくらいでオロオロオロオロ。
知ってか知らずかつくしは反撃の手を緩めず
「何でそんな事言うのよバカっ!」
きらきらきらきら輝く目と視線を合わせたら。
ああもう全部終わりだどうでもいい。
どうでもいいから泣くな。

「ごめん、悪かった」
暴れる身体をぎゅっと抱きしめて言う。
「もうしない」
その後で深~いため息。
・・・・・・・・まただ・・・なぜかまた俺が謝るハメになってる。
浮気してたのも、人の顔見て逃げ出したのもコイツなのに、なんで最終的には俺が謝ってんだ?
俺の事、散々自己中とかワガママとか言うくせに、なぜか最後はコイツの言う事聞かされてる。
なあ、お前の方がよっぽどワガママじゃねぇ?

「・・・樹本君だよ。あんた覚えてないと思うけど」
「なにが」
「あんたに赤札貼られて退学した樹本君」
「・・・全然記憶にねぇ」
「だろうね」
「なんだよその目は。言っとくけど俺は赤札に関しては全然反省とかする気ねぇから」
「はあ?あんたね、あんな事しておいて、全然むごっ」
喚きだした口を手で塞ぐ。
「赤札貼らなきゃ、お前を見つけられなかった。ガキくせェ事
してたって、今じゃ思うけどな。俺の事、殺してぇくらい恨んでる奴も
いっぱいいるだろうが、お前を見つけたことが人生で一番大事な事だから、いい」
段々赤くなってくる頬を挟んで一気に言って、今度は触れるくらいのキスを落とす。
腕の中の牧野は怒ろうかどうしようか迷った風情で見上げる。

笑えよ。
お前なんか、俺の腕の中で一生笑ってればいい。

「・・・・社食・・・閉まっちゃうから、ご飯食べてくる」
「は?」
この場面でメシの心配かよコイツの頭ん中には情緒、とかときめき、とかはねぇのかよ!
驚愕しながらも、あんたも行く?と差し出された手を思わず握り返して。
今日、定食サバかハンバーグだよどっちにしようかなとか言ってる牧野に引っ張られて行く。
社食が見えたとこで握った手に気づいて、すっげぇ顔で飛びのいたのに、笑った。

「樹本君ね、全然恨んでなんかなかったよ」
サバ味噌定食なるものを、向かい合って食べてる途中で、牧野がぽつんと言った。
それから下向いて。
「あたしも専務と同じ意見です」
ギャラリーが聞き耳立ててるから
「ああ」
とだけ返して、心の中で祝砲を鳴らした。


そして次の日
「ねぇ、いいもの見せてあげる」
と、つくしが差し出した携帯の画面を見ると
『激レア!サバ喰う専務』の文字と画像。
「・・・何やってんだお前ら」
「すごいよ、今日、更衣室で確認したらさ、女子みんなこれ待ち受けにしてた」
ゲラゲラ笑うボケ女。
「お前のは?」
と聞いてみると
「ああ、あたしのはねぇ、ほら、三つ子玉子。この前玉子割ったら三つ子でねぇ。すごくない?
双子はよくあるけど三つ子はないよ!これこそ激レア!」
「・・・・・・・・・・・」



・・・・・・・・・・・・ボケ女め。





                  Fin



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コメント
毎日のお楽しみ
とばさん、はじめまして。
shuと申します。
偶然このサイトを見つけて一気読みしてしまいました。
とばさんの「司×つくし」大好きです。
お忙しいと思いますが、これからも更新を楽しみにしています。
2009/09/02(水) 10:35 | URL | shu #-[ 編集]
Re: 毎日のお楽しみ
うわー!
ありがとうございます!
嬉しいです!
カワイクくないつくしと、惚れたもん負けな坊ちゃんですが、ヨロシクお願いします。
2009/09/02(水) 11:30 | URL | とば #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/09/02(水) 12:26 | | #[ 編集]
サバ喰う司
見たい!
ぜひ、待ち受けにしたい。

サバを食べる姿も、司坊ちゃんなら
美しいんだろうなぁ・・・

今晩は、私もサバミソにしようかなぁ。

ちなみに、司の待ち受けはどんなつくしでしょう?

やっぱり、大口あけて食べてるつくし?
それとも・・・・??
2009/09/02(水) 13:42 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
男の純情?
イヤー、いつもながらいいテンポで
ダーッと読まさしていただきました。e-454

しかし、司のヤキモチは相変わらずですね
つくしも予測してうまく逃げた!
と思ったら詰めが甘い!
そのまんま社食いっとけばよかったのに。
シタラ報復はもっとヒドイ事になってるか…e-447

つくしの待ち受け『三つ子卵』って……
まぁ、してないって思ってただろうけどサ
司 少しは期待してたんじゃないの。。。

知らずにとはいえ 男の純情を傷つける
つくしは意外と 悪い女?v-389

2009/09/02(水) 16:18 | URL | magenta #-[ 編集]
Re: ぶらぼー♪
こんばんは。
うわ、すごく嬉しいです。ありがとうございます。
元気出ましたー!
2009/09/02(水) 22:05 | URL | とば #-[ 編集]
Re: サバ喰う司
こんばんは。
いつも寄ってくださってありがとうございます。
坊ちゃんの携帯の待ち受け、『大口あけて食べてるつくし』に
一票入れさせてください!
2009/09/02(水) 22:08 | URL | とば #-[ 編集]
Re: 男の純情?
こんばんは。
いつもお寄りいただいて、ありがとうございます。
樹本君なんて出てきちゃって、びっくりされたのでは…←ファンの方、申し訳ありません。
この日、女子はみんなサバ味噌定食。
専務大人気。
2009/09/02(水) 22:16 | URL | とば #-[ 編集]
待ってました!
いつもいつも面白いです!
毎日チェックしては過去話もリピートしながら読んでますv-22
私も司の待ち受けが気になる・・・!
西田さんの出番もお待ちしています(こっそりファン)
2009/09/02(水) 23:26 | URL | わか #-[ 編集]
Re: 待ってました!
いつもありがとうございます。
ホント、励みになります。
2人がサボってる間も、モクモクと仕事をしている(だろう)西田さん…ああ、頭が下がります。
2009/09/03(木) 00:15 | URL | とば #-[ 編集]
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