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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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専務と私~はじまり~

「牧野」
呼ばれてPCから目を上げると、咥え煙草で書類を眺めている社長。
「ちょっと話があるんだけどよ」
「今忙しい!後にしてください!」
「あー、手ェ空いたら教えろや」
画面を睨み、必死こいてグラフを作る。
時間が刻々と迫ってくる。

ダカダカダカダカダカ・・・・EnterEnterEnter!!!
げぇっ!グラフ、棒一本足りないしっ!
修正っ!
・・・・・・・!
保存っ!

「できたぁ~~~!!!」
見計らったかのように、営業主任(と言っても営業部は一人しかいない)
が飛び込んできた。
「牧野!できた?」
「できた!1分待って。プリントアウトするから!」
プリントしながらチェックして・・・・よし、OK!
「オッケー、どうぞ!」
「うし!これで契約取ってくるからな~~~!」
「がんばれ~~~~!!」
またしても勢いよく飛び出して行った主任を見送って眉間を押さえる。

・・・・・また危ない橋を渡ってしまった・・・

「牧野、手ェ空いたか?」
「しゃちょう~~~~!!!」
この魂からの叫びを聞くがよい。
「もう一人、事務入れてくださいよ~!あたし一人じゃもう無理!いくらちっちゃい会社って言ったって、一人じゃ大変なんですから!風邪ひいても休めないし」
「お前、ちっちゃいは余計だろ・・・・」
「あのね、パソコン使えるのがあたしだけってのもまずいと思うんです。この時代に」
「しょーがねーよ。ウチ土建だしよ」
「しょーがなくなーい!」

入社1年目のあたしがこんな生意気な口きいてるのに、社長がぜ~んぜん気にしてないのは。
ちっちゃい会社ってのもあるけど、もう長い付き合いだから。
大学の、2回生の時に、事務補助のバイトで入って、誘われるまま就職した建築会社。
誘われるままっていうか。
あたしが卒業する時には、正規の事務の人が誰もいなくって。
あたしまでいなくなったら、どうにもならない状況になってて。
社長に泣きつかれて残留を決めたって言うか・・・。
その後も事務員は増えず、忙しい毎日を送っている。
「しょーがねーだろ。だって、お前有能だし」
はっはっはっはって笑われると、素直に喜べないんですけど、しゃちょー?

働き易くはあるんだけど。
土建のオジサンたちって、口は悪いけどすっごく優しいし。
単純でわかりやすいし。
ぷっ。
・・・・・・何か誰かの事みたい。
ブルーカラーのオジサンたちとは遠い世界の、御曹司の顔が浮かんできて苦笑する。

「でよ、牧野」
社長がポットからお茶を入れて渡してくれる。
「相談があるんだがよ」
「なに、社長。言いづらい話ですか?」
なんかミスしたっけ。
「あー・・・その、なぁ。お前、来月から出向してくんねーか?」
「出航?船出?」
「アホ。おまえ貸してくれってよ。レンタルだと」
「・・・・・はぁ?あたし?」
あんまりびっくりして、かなり素っ頓狂な声を出してしまった。
だって、言っちゃ悪いけど、ちっちゃいうちの会社。
出向なんて、今まで聞いた事もない。
第一、 出向先なんてないじゃん。
「何かよ、うちの取引先の、ず~っと上の方からの話でよ。断れなかったんだよなぁ。
ウチもよ、お前持ってかれたら困るっつって大分頑張ったんだけどよ。悪いなぁ」
「そんな!ありえないでしょ!技術職ならともかく、事務員ですよ?あたし。なにそれ!」
怒鳴っちゃってから後悔した。
社長のショボンとした顔を見たら。
「・・・・・・それで、出向先ってどこですか?」
「道明寺ってとこの本社だとよ。・・・・・・・・おい、どーした、牧野。顔すげぇぞ」
「・・・・・・・・・・・しゃちょう・・・・・・・・・」
「あ?ああ」
「・・・・・・・・今、急ぎの仕事ないんで、2時間ばかし抜けて構いませんかね」
「ああ、いいけどよ、お前・・・・・」

「ちょっと、ナシつけてきます!」


電車の中でヤツにメールした。
『今から行く。逃げんなよ!』

間違いない。
アイツの仕業だ。
土建なんて下品なオヤジばっかりだとか、男だらけで危ないとか、いっつも文句言ってたもん。

・・・・・・・絶対撤回させてやる。
決意して見上げたビルは天に届くほどでっかくて、一瞬ひるんだけど
怒りで自分を奮い立たせて受付へ向かった。
「牧野と申します。道明寺専務と面会したいんですが」
受付のきれいなお姉さんはにっこり笑って
「伺っております」
と、どこかに電話をかけてくれた。

ほどなく、知った顔が現れる。
「西田さん・・・・・・」
態度が硬くなったのは、仕方ないと思う。
だって今回の事が道明寺の指示なら、実行犯はこの人に決まってるんだから。
西田さんはいつも通りのポーカーフェイスで
「申し訳ありません。会議を控えておりますので、長く時間をとることができないのですが・・・」
と、案内してくれた。

専務室に入ると、右側にたっかそーな応接セット。
そのずっと奥に大きな執務机。

そして、にっくき道明寺。

「お前、何だよあの意味わかんねぇメール」
苦笑しながら立ち上がって、こっちに来ようとしているヤツに駆け寄った。
「ど~お~みょ~お~じぃぃぃぃぃぃ~!!!!」
右手をグーにして体重を乗せて、渾身の力で見舞ったパンチは軽く避けられ、反動でよろけた身体を拘束される。
「お前、3日ぶりに会う恋人に向かって、イキナリ殴りかかんじゃねぇよ」
「離せぇぇぇ!バカ道明寺!」
「バカとか言うな、てめぇ」
長い指があたしの顎を掴んで、仰向かせる。
そのまますっと目を細めて、あたしの視線を捕らえた。
「何だか知んねーけど、怒ってんならまず理由を言え。じゃねぇと・・・」
ぷに、と親指があたしの唇を押さえた。
「教えてやんぞ。3日ぶりに会った恋人同士の礼儀」
「・・・・・!・・・・・・・・出向!!」
力いっぱい暴れても、道明寺の腕から抜け出すことができないあたしは、悔しさをぶつけるみたいに叫ぶ。
「出航?船出か?」
「ちが~う!!!・・・・・・え?」
急にぴたりと動きを止めたあたしを、不思議そうに道明寺が覗き込む。
「・・・・・・・・・・あんたじゃ、ないの?」
「何が」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あら。
・・・・・・・てっきりこいつの仕業だと思ってたから・・・・
・・・・・・あら、あら、あら・・・・・・・
・・・・・・・・・・・。

「あのさ、ごめんあたし帰るね」
もう一回社長によく聞いてこよう。
「やー、ごめんごめん。あのさ、できればメールも、あたしがここに来た事も忘れて欲しいな、
な~んて。ははは」
「は?」
今度は道明寺が目を丸くする番だった。
「おっまえ、何しに来たんだよ」
そのままゲラゲラ笑いだしたけど、あたしは余裕なく掴まれた腕を取り戻すと、
くるっと向きを変えてドアへ向かった。
そこで待ってたのは西田さん。
「牧野様、私から御説明差し上げます」

そして意外な黒幕の正体を知った。
「・・・・・・ババァが?」
「すべて、楓社長の指示通り、私が行いました」
「どうして・・・・」
「どうせ働くのなら、道明寺の仕事を知るようにとの御配慮です」
おなかの底から、怒りが湧いてくる。
前とおんなじだ。
あたしの知らないところで何かが動いている。
そして、全てが決まってしまってから知らされるんだ。

ぶつけるべき人がこの場にいないから、ぎゅっと手を握り絨毯を睨みつける。
「また権力使って人を好きなように動かして・・・」
怒りが臨界点に達しようとした時、後ろから道明寺が
「会社に勤めるってことはそーゆー事だろ?」
と言った。
「誰でも、上の命令は聞かなきゃなんねー。たとえ厭でも不条理だと思ってもな」
それは見たことのない顔で・・・・。
「・・・・・・あんた・・・・大人みたいなこと言うじゃん・・・・・」
気が抜けて見上げたあたしの手を、爪が喰いこんでるとか言いながら開かせる。
「大人だろ。もう何年シゴトしてると思ってんだよ」
危うく尊敬しそうになったけど、
「ま、今回はババァの思い通りになった方が、俺も都合いいから
言ってんだけど。お前うちの会社来んのか~。これで目の
届くとこに置いとけるよな~。ババァもたまには気の利いたことしやがる」
とか続いたから、慌てて撤回した。
「あのねぇ!」
「専務、会議のお時間です」
「あ?ああ。牧野、じゃな」
文句言ってやろうと思ったのに、道明寺はあたしの頭に腕を回し、ぎゅっと胸に押しつけると、
そのまま行ってしまった。

・・・・・・なんか納得いかない。

「牧野さん、来月から宜しくお願いします」
その後、西田さんは信じがたい言葉を吐いた。
「配属は、私の部下と言う事になります」
「はあ」
「つまり専務付きです」
「はあ・・・・え?・・ええええぇぇぇぇぇっ??」
重厚な雰囲気の専務室にそぐわない、素っ頓狂な声を出したとしても、しょうがない事だと思うんですけど・・・・・。


ぐったりして帰って来たあたしを心配したのか、夕食は社長が御馳走してくれた。
焼鳥屋さんで、何度も悪いな、悪いな、と謝る社長に、こっちが申し訳なくなっちゃって。
そして少々呑みすぎた。
「しゃちょう~~~。ごちそうさまでした~~~~」
「おー、気ぃつけて帰れよー」
まだ宵の口なのに、こんなに酔っぱらってるあたしって一体・・・・と、自分で突っ込みながら
駅へ向かう。

明日休みで良かった。
転ばないように意識して足を運ぶ。
すると、すっと横づけにされた・・・・もう見慣れた、無駄にでかい高級車。
降りてきた道明寺が、そのままあたしを中に引っ張り込んだ。
途端に、あたしの中の危機管理スイッチがOFFになり、身体から力が抜ける。
がっしりした胸に抱きこまれて、身体はもう眠る体勢に入ろうとしている。
そんなあたしに舌打ちしながら腕は優しい。
嬉しくなって、最後の力を振り絞って首にぶら下った。
「酔っぱらいが」
「ん~~~~・・・・」
「俺のいない時に酔うまで呑むな」
「ん~~~~・・・・」
「明日休めんのか?」
「ん~~~・・・・」
「じゃ、泊まってけ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「返事は、牧野」
ぐー・・・・
「ぶっ・・・」
小さく吹き出して、そのまま低く笑う声を聞きながら、あたしは浅い眠りに落ちた。


続いていた震動が止まった感覚で、目が覚めた。
薄く目を開けると、何?これは・・・・
・・・・あ。
ネクタイ。の結び目。
「起きたか?」
左手であたしを抱きながら、右手には書類を持って真剣な顔で見てる道明寺って。
・・・・・・・・・・・・すいません。
まだ酔ってます。
酔ってるからバカです。
バカ女で結構です。
言っちゃいます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・スゴクかっこいい。

「見惚れてんなよ」
「あ、はい。ごめん」
「あ?」
訝しげに覗き込んでくる道明寺に。
自分の返事にびっくりしてるあたし。
違うでしょ!
返事は『んな訳ないじゃん、アホ』でしょ!
「お前そのカオ・・・ぶはっ、アレみてぇ。なんだっけ、アレ・・・・・・・ミンク・・・でもねぇ。・・・マイク、インク・・・・・・違うな」
「・・・・・・・・・・ムンク?」
「それだ!」
「やったぁ!正解!・・・って、シツレーな事言うなっ!」
「ははははは!更に近づいた!」
「う~~~~~~!!!」
「っつーか、いい加減降りろ。運転手待ってんだろーが」
「え?きゃー!すいません!ごめんなさい!ごめんなさい!」
転げるように車を降りると、ずらりと並んだ使用人が一斉に頭を下げる。
うーわー、ヤダこれ。苦手なのに。
焦って会釈して通りながら、道明寺を見上げた。
「あれ?ところで何であんたんちに来てんの?」
「遅せーよ!ったく。お前、今日泊まるって言ったろ」
「え、そーだっけ」
「そー」
機嫌良く道明寺が答える。
「俺も明日休みだし」
・・・・・・・・・・・・・。
そ。
それはあれですか。
朝まで寝られないコース・・・かな?・・・・・。

ピタリと動きが止まったあたしを、艶を含んだ視線が笑い下ろす。
「やっぱ帰る」
くるりと半回転したら、背中を押されてもう半回転させられて、元の位置に戻された。
「・・・・・・・・・ヘンな事しない?」
「するに決まってんだろ、バーカ」
ヒイイィィィィィ。

その時、リビングのドアがバーンと開いて、ドヤドヤと人が流れ出てきた。
「げ」
驚く道明寺に
「おー、待ってたぞー、おまえら!」
「すごいよ、明日みんな休みなんだって!」
「ねぇよな!こんな事」
「今日は朝まで行きますよ!」
陽気な親友たち。
「・・・・ホテルにすりゃ良かった・・・・」
と、ボソリと呟いたのに吹き出した。
「お前、ホッとしてんだろ」
「そんな事ないよ全然全然」
「その即答が怪しすぎんだよ!」
こめかみをピキピキさせてる道明寺から
「先輩、お久しぶり~~~」
桜子にさらわれた。


「マジで?牧野、司の秘書になんのかよ!」
「かーちゃんの指示で?」
「すごいね。牧野の事、認めたってことじゃん」
きゃー!と、女子チームの声が響く中。
あちこちから背中をバンバン叩かれる。

「「遊びに行っちゃおーっと」」
「来んなよ!てめぇら!」
「スゴんだってダメだっつーの」
ゲラゲラ。
「しっかしすげーな、お前ら。良すぎ」
ニヤニヤしているお祭りコンビ。
「専務と秘書なんて、まんまAVじゃね?」
「ぶはははは!『専務室でドッキリ』?ははははは」
「司ぁ!ちゃんとカギはかけろよ?」
「何言ってんのよ、バカっ!」
ゴン!ゴン!
「・・・・・・!」
「・・・・・・!」
土建のオジサンたちに鍛えられたコブシを披露させていただいた。


暗雲立ちこめる魔女の城、道明寺ビル。
絶対、負けないんだから!

「何か牧野が燃えてる・・・・」
「ああ、逆境好きに火がついたな」
「つーか何と戦うんだあいつは、ははは」
「司じゃない?」
「それ、もうコンプリートしてるだろ」
「誰がコンクリートだよ!」
「言うと思ったよ・・・」
「つかお前ホントにアメリカ帰りかよ」
「ははは」



                     Fin      




0574.gif








コメント
楽しみ~
こんにちは!

また、面白そうなのが始まりましたね。

司とつくしのドタバタぶりが楽しみですv-237

ラブラブ v-10も楽しみv-290v-363
2009/08/27(木) 16:57 | URL | magenta #-[ 編集]
朝、新しいお話がなかったので、ちょっとガッカリしてたんです。
1つ終わったから、ちょこっと休憩かな?って。

帰宅して、見てみてうれしかったぁ~

鉄の女の出番ですね!
司とつくしのオフィスでのやりとり♪
楽しみです!!

 
2009/08/27(木) 21:08 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
Re: 楽しみ~
こんばんは。
コメントありがとうございます。
オフィスラブ(爆)です。
ベッタベタです。
ヨロシクお願いいたします(恥)
2009/08/27(木) 22:19 | URL | とば #-[ 編集]
Re: タイトルなし
いつもチェックしていただいてありがとうございます。
ホント、嬉しいです~!
存分にラブりたくてオフィスラブ(笑)にしましたが、なんかケンカばっかりしそうな予感がします・・・。
ぬるーい目で見てやってください…。
2009/08/27(木) 22:25 | URL | とば #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/08/27(木) 23:06 | | #[ 編集]
やったー!!
新連載v-10
すごいテンポよく読めました。
これからラブ要素が満載??!
ケンカの言い合い(司の言いまつがい)も
楽しみです。

帰宅してすぐチェックするくせがついちゃいましたが、
とばさま、遅くまでお仕事されてるようなので
無理しないでくださいね。

2009/08/27(木) 23:14 | URL | わか #-[ 編集]
Re: タイトルなし
おはようございます。
いつも寄ってくださってありがとうございます。
なるべくコンスタントに更新できるように頑張りたいと思います。

2009/08/28(金) 09:01 | URL | とば #-[ 編集]
Re: やったー!!
ありがとうございます~!
気を遣っていただいちゃって。
いつもコメント、頂くだけでもありがたいのに。
ヤル気出ました!
頑張って打ち込んでいきます!
2009/08/28(金) 09:06 | URL | とば #-[ 編集]
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