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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

プライマリ 1

 プライマリ 1 
   プロローグ~宣戦布告~



非常階段に立つ。
つくしは手すりにもたれて、遠くを見た。

道明寺が、あたしを忘れた。
あたしだけ、忘れた。
何回も何回も繰り返した言葉に、また捕らわれる。

病院に、何回面会に行ってもダメだった。
なぜだか司の中で、つくしは『類の女』でインプットされてしまったらしい。

「・・・・・・・・・・・『類の女』になりそうな時だってあったのに、あんたが邪魔したんじゃないの・・・・・
あたしは最初、大嫌いだったのに、あんたがあんまり好き好き言うから、つられて好きになっちゃったんじゃないのよ!それなのに今更・・・・・」
小声でブツブツ言っていたつくしだったが、だんだん興奮してきたらしく、
手すりをぎゅっと握りしめ、突然叫んだ。
「放置プレイかよ!ふざけんな!くそバカ野郎~~~!!!!」
ぶはーっ!と後ろで吹き出す声がして慌てて振り返った。
口を押さえて肩を震わせている花沢類と、呆れた顔を見合わせている総二郎とあきら。
「ひ、久しぶりに吠えてると思ったら・・・くっくっく・・・」
「お前、女が放置プレイとか言ってんじゃねーよ」
「何かブツブツ言ってると思ったら急に叫び出してよ。
宇宙から電波きてるヒトみてーだったぞー」
「・・・・・・・・・なんか用?」
つくしは仁王立ちのまま軽く赤くなった。
「おう、座れ」
勧められるままにコンクリートにぺたりと腰を下ろし、お前ホントに
地べたが似合うよなぁ、という軽口にパンチを繰り出す。
「司な、退院した」
「・・・・・・・・・・知ってる。広告で見たもん」
「行くか?今日」
「・・・・・・・・・・・・・行くよ・・・・・」
「大丈夫?」
類が、俯いた顔を覗きこんだ。
つくしが顔を上げ、ニッと笑う。

「あたしさぁ、あいつが死にそうだった時、お願いしたんだよね。
『どんな事になってもいいから死なないで』みたいな。
・・・・だから・・・だいじょーぶ!死ぬよりゃいーわ!」
「野生にかえってっけどなー」
「前よりひでぇよなー」
「会ってるうちに思い出すかもしれないよ。毎日行っときな」
「うん、ありがと」
「俺ら今から行くけど、一緒に行かねぇ?」
「んー、バイト先寄ってから行くから後で」
「お前やっぱバイト優先なのかよ・・・」
「んー、まぁ、ちょっと・・・とにかく後でね」
「おう、じゃな」
F3と別れて、非常階段を後にした。

あたしらしく、やろう。
前だけ向いた、真っ黒な瞳の中に、強い光が生まれた。


「それで司、調子どう?」
「あー、大分いい」
「ほんと不死身だよなー、お前」
気心の知れた仲間と居ると、少し気分がいい。
四六時中付きまとう苛立ちが薄れる気がする。

あのウザい女もいねぇし。
類の女。
イミわかんねぇ、あの女。
馴れ馴れしく話しかけてきやがって。
訳わかんねぇ事言ってイカり出したりこの俺を怒鳴りつけたり。
頭おかしいんじゃねーの。

類に文句を言ってやろうと口を開くとノックの音がした。
司が在室している時、来るのはタマしかいない。
ちょっとの事で暴れ出す猛獣みたいな御曹司を、使用人たちは心底恐れている。
「坊ちゃん、失礼しますよ」
コツコツと杖をつきながら、タマが入ってきた。
「新しいメイドを採用いたしましたもので」
「ぁあ?俺にはカンケーねーだろ。使用人の人事権はタマが持ってんだから。
それに今、ダチ来てんだろ」
「坊ちゃん専用のメイドなもんで、お友達にも顔見せを」
「は?なんだよ、俺専用って」
「入んな、つくし」
「・・・・・・つくし?」
全員が凝視する中、メイド服を着たつくしが入ってきた。
仁王立ちになって、ビシッと司に指を突きつける。
「そういう訳だからヨロシク」

ふざけんなと、怒鳴りつけようと息を吸い込んだが、爆発したような3人の笑いに
気勢をそがれた。
「ぶはははは!!牧野!何やってんだよ!」
「さすがお前は考えることが違うよなーっはははははは!!」
「や、いい。俺はすごくいいと思う。あはははは」
あろうことか類まで、いつもの無表情を崩して大笑いしている。
「ちょっと、そんなに笑う事ないでしょ!」
真っ赤になって3人を怒鳴りつけるつくしの頭を、ぽんぽん叩いて類がなだめる。
「いいと思うって言ったじゃん」
「ちょっと待て俺は認めねーっ!!」
「そうはいきませんっ!」
声を荒げた司をタマが一喝して、ミシミシっと背筋を伸ばした。
「坊ちゃんが退院されてずっとお部屋にいるせいで、メイドが掃除に入れません。
だからつくしに頼んだんです」
「何でだよ、フツーに掃除にくりゃいーじゃねーか!」
「そーやって、あんたが脅かすからでしょーが」
呆れたように言うつくしを、ギリギリと睨みつける。
「うるせぇ、馴れ馴れしく話しかけんな!」

「良かったな~司~」
あきらが司の肩をバンバン叩いて笑った。
「っ痛てぇーな!なにがいんだよ!ざけんな!」
「一か月前なら大喜びだったのにね~」
「んなわけねぇっ!ってか類、お前この女の管理、ちゃんとしとけ!」
はぁ~・・・と総二郎がわざとらしい溜め息をついた。
「早く思い出せよ、司」

そしたらお前、サイコーに幸せな男になれんのに。

「牧野の方からお前を求めるなんて、もうないぞ」
「もももともともと求めてなんかないよっ!へへへヘンな事言わないで西門さんっ!」
「見ろあの顔!ははっははははは」
「なんかのおもちゃみてぇ。ぶはははは」

気が済むまで笑って、F3が立ち上がる。
「いやー、んじゃ、邪魔になんねーように俺たちもう帰っから」
「仲良くやれよ」
「噛みつかれんなよ」
からかいと励まし半分ずつの言葉を残して行ってしまった。
つくしはくるりと振り返り、司の目をまっすぐに見て、言った。

「あたし、どうしても取り戻したいものがあるの。
それを手に入れるまでは、絶対やめないから。

・・・・・・・・宣戦布告よ!」






      ~ 1st KISS ~




「おそうじですよ~」
掃除用のワゴンを押して、部屋に入る。
今日で3日目。
久々にする、だだっ広い部屋の掃除にも慣れてきた。
「ああ、起きてたんだ。調子どう?」
「てめぇに関係ぇねぇ」
ギリギリ睨みつけて吐き捨てる。
普通の人間だったら、一刻も早く逃げ出そうとオドオドしだすというのに、
目の前の女はケラケラ笑っている。
「うっわ、まだその態度なの。いい加減諦めなよね」

ムカつく。
マジムカつく。このクソ女。
持っていたカップを床に叩きつけた。
カシャーンと派手な音がして、カップが粉々になる。
中に入っていたコーヒーが、飛沫になって飛び、絨毯にシミをつけた。
「っぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!」
予想と違う濁音の叫び声に意表を突かれて、目を丸くしてつくしを見る。
「ちょっとっ!物にあたるんじゃないわよバカっ!
っていうかこんなにして、誰が片付けると思ってんのよ!!」

・・・・・・・何だこの態度。
この俺に向かって、バカだと?
カッとなってつくしに向かって歩き出す。
「こっち来たら駄目!破片が・・・」
言いきる前にカップの破片をバリバリ踏み砕いて前に立つ。
「いやああぁぁぁっ!!」
さらに掃除が面倒になった惨状に、つくしが再び叫び声をあげる。

その胸ぐらを掴みあげた。
「なんて言った?さっき」
「な、何が?」
「この俺様に向かってなんて言ったっつってんだよ!!!」
「モノにあたるんじゃないわよ!子供のカンシャク!」
「・・・・・・・ざけんなっ!」

殴ってやろうと思った。
もう生意気な口がきけないように。
俺に逆らうってことがどういう事か、教えてやる。

ところがどうしても殴る手が上げられず、言う事を聞かない身体に驚いた。
つくしを見ると、ぎゅっと目を閉じて、歯を喰いしばっている。

その唇から、目が離せなくなった。
訳もわからず、ただ。

目が離せない。

頭の中が空っぽになって、気がついたら くちづけていた。


・・・・・・・・・・・なんだこれ・・・・・・・・・・

唇が触れた瞬間、胸の中が温かいもので満たされて、
泣きたいくらい苦しくなった
それはそれは甘い苦痛。
気分が高揚する。
自分の鼓動しか聞こえなくなる。
全身に、微量の電気が流されたような・・・・・・痺れ。
眩暈がするほどの幸福感。

すっげぇ気持ちいい。

離れられなくて、何度も角度を変えて確かめた。
足りねぇ、全然。
もっと。
もっと深く深く深く。

「っんっ・・・っ・・・っ・・・・・!!!」
夢中で舐めまわしていたら、突き飛ばされた。
顔を真っ赤にしたつくしが、睨みつけている。
「いきなり何すんのよ、どアホっ!バカっ!バカバカバカバカバカ!!!」
バカバカうるせー!
暴言に呆れながらも、司は慌てて覗き込んだ。
「お前・・・・・・・何だ?」

なんだ
この感じ
目も眩むほどの・・・・・・・
・・・・・・・・幸福感。

今まで遊びでしたキスは、他人と接触する嫌悪感が先に立って、
気持ちいいなんて思ったことはなかった。
「今、何した。なんかしたろ」
「なんかしたのはあんたでしょーがっ!!!」
頭から湯気を出して怒っている。
「もうっ!ほら靴脱いでベッドに上がってっ!破片危ないから!
絨毯も早くしないとシミになっちゃう」
背中を向けて、いきなりてきぱき片付けだしたつくしの耳が、真っ赤に染まっている。
「・・・・・・おもいだしたの・・?」
「なにが」
「・・・じゃ、何であんな事したの」

何でか、だと?
知らねーよそんなの。
俺が聞きたいくらいだぜ。

「・・・・・・お前がしてほしそーだったから。嬉しいだろ?俺様にキスされて」
途端にバッと振り返って怒鳴りつけられた。
「嬉しくないっ!嬉しい訳ないっ!すごい迷惑だから!ばか!」
手早く掃除を澄ませると、もう一度ギリギリ睨んで
「あんな事したら、もう掃除に来てやんないっ!」
言い捨ててドカドカ出て行った。
「・・・・・・・願ったりだっつーの」
司の呟きは届いたかどうか・・・。




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コメント
う!
海ちゃんが出てこないだけでも、すっごい嬉しいのに、この展開!
最高です。
あ・・・いきなりすみません。
あまりに嬉しくて。

続き、ものすごく楽しみです。
2009/08/21(金) 23:10 | URL | ちふゆ #-[ 編集]
Re: う!
・・・海ちゃん…要らないですよね←ファンの方、申し訳ありません。
コメント、ありがとうございます。
司の記憶喪失ネタも大好きなんです。
あ、違う。記憶をなくしても、つくしが気になっちゃう司が大好きなんです。
DNAに書き込まれているに違いありません。
続き、なるべく、早くUpできるように頑張ります。
ありがとうございました。
2009/08/22(土) 00:47 | URL | とば #-[ 編集]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/11/25(水) 17:48 | | #[ 編集]
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