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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

復讐の女神 10

フランスからの電話で確認したとおり、2人とも邸に揃っていた。
「お久しぶりね、牧野さん」
口火を切ったのはババァだった。
「ご無沙汰しておりました」
さっきまでのテンパった牧野はどこ行った?
優雅に、にっこりと笑顔を作って挨拶する姿を見て感心。
本番強ぇ、コイツ。
「お座りなさい」
促されてソファーに腰掛ける。
「はじめまして、牧野さん。司の父です」
「はじめまして。牧野つくしです」
「会うのは初めてだね。話だけは椿や楓からずっと聞いているけど」
にっこり笑いかけるジジィ。
「牧野っ!赤くなってんじゃねーよ!俺らを別れさせた張本人だぞ」
「その別れたはずの2人が、どうして一緒に会いに来たの?いや、何となくわかるけど」
「決まってんだろ!俺たちの事を認め」
「私は司さんとお付き合いするつもりはありません」
きっぱりと言い切った牧野に、ジジィが意外そうな顔をする。
ババァはいつもの無表情。
「だからそれは親に反対されてっからだろ!ここで認めさせちまえばなんも問題ねーだろーが!!」
「違う!反対されてるとかそういう理由じゃないの!」
「じゃあなんだよ!!」
「困るなぁ」
ジジィがのんびりと口を挟んできた。
「対決しに来たんなら、ちゃんと意見を統一してから来てくれないと。時間の無駄じゃないか」
そしてちらりとババァを見た。
「こっちは意見のすり合わせは済んでるよ。 牧野さん」
「・・・・ハイ」
「先にこちらの話を聞いてもらっていいかな。あ~、司は口を
出さないこと。騒いだらSP呼んで部屋から追い出すからね」
「ふざけんなっ、黙って言うこと・・・あっ、何電話しようとしてんだよっ!
わかったっつーの!わかったから呼ぶなよ、くそっ!」



「さっき司も言ってたけど、3年前、君たちを別れさせたのは僕だよ。謝罪はしない。
あの時にはあれが最良のやり方だと思った。でも君は私を恨んでるだろうね」
牧野は真っ直ぐ顔を上げて言う。
「いいえ・・・・財閥のトップとしては当然の判断だと思います」
「あの時の僕の思惑はね、司と君を別れさせて、司には政略結婚させるつもりだったんだ。
この世界ではそれが当然だし、僕に何かあったとしても後ろ盾があれば安心だと思って。
楓は反対したんだけどね」
「え・・・?」
驚いて目を向けた牧野にババァは真っ直ぐ視線を返す。
「司が渡米する時、4年後には司の自由にさせると言ったのはワタクシですから」
「でもまあ、僕が強硬に話を進めたわけだ。しばらくは荒れたけど、1年もしたら落ち着いてきてね、椿が話してくれたらしいんだけどね。それで、そろそろいいかなと思ってお見合いさせた訳。そうしたらさ、牧野さん、コイツ何したと思う?」
「・・・・何をしたんでしょうか?」
ジジィはすっげぇ秘密でも話すみてーに口に手をかざして声をひそめた。
やべぇ、牧野に怒られる・かも。
「ワザワザ言わなくてもいいだろーが・・・待て、待てって!わかった!電話すんなっ!」
「相手のお嬢さんたちをね、殴ったんだよ」
「うっわ、サイテー・・・」
このときばかりはSPに連れ出されてればよかったと思ったが。
バツが悪くてそっぽ向いても、後頭部に視線が刺さって痛てぇ。
「殴ってねーよ・・・」
ちょっと襟首引っ掴んでガタガタいわしただけじゃねーか
怪我だってさせてねーしよ。
「殴ってなくてもとにかく暴力ね。こっちも意地になって、次々お見合い組んだんだけどさ、そんな調子で全部断られちゃって。まあ親の気持ちになったらね、DV確定の相手と結婚させようとは思わないよね。ただでさえ司、高校までの評判最悪だし」
「そうですよねぇ。野獣の檻に娘さんを投げ入れるようなものですもんねぇ」
「いくら業務上のメリットがあったとしてもねぇ」
「娘さんの命の方が大事ですよ、やっぱり」
ちょ―待て、何なごんでんだよ!
俺の悪口で!
3人して睨んできてんじゃねーよ!
特に牧野!


「それで、政略結婚の方はまず保留にしたわけ。何年か待とうと思って。
その分仕事の方を叩きこもうと思ってたらさ、これが又・・・
冷たいっていうか容赦ないって言うか無関心っていうか。
配慮とか思いやりとかそういうのも全然ないし、仕事っていうより
人間としてダメ、みたいな。」
「なんか、わかります。昔もそういう感じだったんですよねー」
「やっぱそう?ごめんね、僕、司が日本にいる時はあんまり会った事なくて。ただ、こっちに来てからは頑張ってたし、やる気もあったから、いけるかな、と思ってたんだけどダメだったね。
椿と楓に怒られたよ。司には牧野さんがいないとダメなんだって。それはこの2ヵ月で僕にもわかった。日本の秘書から報告あったけどさ、こっちにいた時と別人。現金だよねぇ」
ジジィはソファーにもたれていた背を起こした。
まっすぐ牧野の目を見て真面目な顔になる。
「司と結婚してもらえませんか」

「てめぇー!!!」
プツン、と何かキレた。
「勝手にプロポーズすんじゃねー!!!」
俺だって断られたばっかなのに!
バン、とテーブルを叩いて立ち上がった俺をニヤリと笑って見上げるジジィ。
「もう、言っちゃった」
「あったまきた!好き勝手しやがって、ふざけんじゃねぇぞ!!」
掴みかかろうとした途端
「道明寺っ!!」
キツイ叱責に動きが止まる。
3人が牧野を振り返ると、あっって顔して
「すいません。全員、道明寺サンでした」
と、真っ赤になった。



にっこりと笑って牧野が言う。
「申し訳ありませんが、お断りします」
意外そうな顔をするジジィとババァを、俺は面白そうに眺めてやった。
コイツはこーゆー奴なんだよ。
わかったか。
ちょっと得意になって笑ってやったが、ちょっと待て、俺との結婚断られたんじゃねーか。
すっげぇ微妙。
「あたし、庶民のくせにプライドが高いみたいで。ぐずってる子供にアメ玉
やる感覚で結婚を認めるって言われてもお受けできません」
にっこりから牧野の表情が変わる。
凄みを持った大人の女の顔。
「ははは、キツイね。・・・でもまあその通りか」
「ぐずってる子供だそうよ、司さん」
ウルセーな。
わかってるよ。
わかってても。
「俺は牧野以外いらねぇ」
ぐずらせてもらう。
「だからそれが・・・」
「ガキでもバカでもカスでも何でもいいんだよっ!何回も言ってるだろーが!お前がいなきゃ
生きてる意味なんてねぇ!オトナの選択なんてできねぇよ!」
「わっかんない男だねっ!」
「わかんねーよ!お前こそ、せっかく認められたのに何で拒否ってんだよっ!」
「あたしが認められた訳じゃないっ!あんたがごねてるから、仕方がなく結婚させようって言うんでしょ!そんなのあたしはやだ!あんたの精神安定剤扱いで結婚するなんてごめんなのっ!!」
喚きはじめた俺たちをクールな目で見ていたババァが口を開く。
「牧野さん、私どもは司のベビーシッターとしてあなたが欲しいわけじゃないのよ」
ガキからベビーに格下げかよ。
「これを御覧になって」
差し出された封筒。
牧野は訝しげに受け取り中をあらためる。

「うげ」

おい、かぶってた猫はどーした?
ああ、さっきから素で喋ってっか。

「申し訳ないんですけどあなたのこと、調査させていただきました」
「またそんな事を・・・」
「三沢のタワーホテル、ベイサイドの都市整備計画、東郷コンツェルンとの業務提携、ネパールでの鉱山採掘部門再編成」
全部柴崎が関わったビッグプロジェクトじゃねーか。
NYに居た俺の耳にも入ってくるような、でかい仕事。
「表向きは専務の柴崎蓮がまとめたようになっているけど」
感情を抑えた目が、底光りした。
「あなたがやったのよね、牧野さん」
「・・・・いいえ?」
「各企業に問い合わせて、状況については把握しているのよ?皆さん口を揃えてあなたの能力を高く評価しているみたいだけど?」
「勘違いじゃ、ないでしょうか」
鉄仮面と、笑顔仮面。
表情は逆だが気持ちを読み取れないのはどっちもどっちで。
「いいねぇ」
一人呑気な陰謀ジジィ。
「スキルもある。人を引き付ける魅力もある。口は堅いし、上司の立場を最優先する姿勢も」
「牧野さん、司と結婚するのが厭なら別にそれでもいいの」
「は?」
「司の事は抜きにしても、うちの会社に来て頂けないかしら」
「そ、それって」
「ヘッドハンティングだよ。牧野さん」

牧野口開けすぎ。
すげーアホ面。
いや、俺もか。
「柴崎の許可はとったよ?かなりごねたけど、まあ、あそこはね、トモダチだし。牧野さんの意志に任せるって」
「ちょっと待てっ!一体何してくれてんだよっ!牧野は俺と・・」
ガシッ!!!
いきなり後ろから羽交い絞めにされた。
「司ウルサイよ。邪魔だから外に出しておいて」
「ジジィー!!!てんめー!!!」
「だめ、もうペナルティ3つめ」
何人いやがるんだ!!
このSPども!!!
牧野!ひらひら手ェ振ってんじゃねぇっ!
『離せっ!!てめーら!ブチ殺すぞっ!!』
抵抗も空しく、部屋にぶち込まれた。



小さくノックの音がして。
ガチャリと鍵が開けられる。
ぴょこんと顔を出す愛しのボケボケ女。
いいや、にくったらしい裏切り者。
ソファーに片膝立てたままジロリと睨んでやると、小さく苦笑してこっちに来た。
「ぷ・・青筋立ってる」
そのまま額に伸ばしてきた手を、やんわり絡め取り引き寄せる。
「頭くる。あいつら」
「ああ、びっくりしたよねぇー」
「どうなったんだよ」
「あのねぇ」
にんまり。
「本郷の再開発、やらせてくれるんだって!!」
語尾にハートがついていそうな勢いで嬉しそうに言った。
「いいなあって思ってたの。本郷の話。でも、あんたんとこに取られちゃったから諦めてたんだけど、ははは、エサにつられちゃった」
「っつーことは」
「来週からあんたの秘書だって。宜しくお願いします。副社長」
「やった!」
やったやった!
ぐんっと引っ張り思い切り抱きしめると、苦しいとか離せとか文句をたれながらも笑う牧野。
俺じゃなくて仕事につられたっつーのは正直腹立つけど。
フランス行きに比べりゃなんぼのもんか。
「すげー嬉しい!」
「顔!顔、コドモみたいだよ!」
大声で笑って。
どちらからともなくキスをした。
ちゅっ、ちゅっと音をたてて何度も何度も。








そんで結婚はしてくれねーの?
ちゅ
だってあんた、まだいい男になってないじゃん
ちゅ ちゅ ちゅ
それまだ活きてたんかよ
ちゅううううっ ぽん
とーぜん や、くすぐったいって  あ
ちゅ くちゅ
ん・・・ふ・・・
ぴちゃ ぐちゅ
あ・・・・・い・・やぁ・・・だぁ・・・
ぷちぷちぷち ちゅ
手ぇ ジャマ
ちゅ ちゅば くちゅくちゅ
や・・やぁ・・
ちゅ ぢゅ ぢゅっ
や、じゃねーだろ
んんん・・・あっ・・ああ・・ん・・
ぐちゅ ぐちゅ ず ずちゅっ
あああんんん・・・!!!


なあ牧野

愛してる

聞いてんの?

聞こえねーの?

・・・・泣くなよ

俺がいじめてるみてーじゃねーか


あ?

意地悪じゃねーよ

お前だろ、意地悪は

ホラ、顔見せろよ

ちゅ





腕の中には愛しい女。
満足げにすり寄ってくる柔らかいぬくもり。
幸せで幸せで幸せで。
どーしようもねー。
「よくも弄んで捨ててくれたよなぁ。しかも黙って消えやがって」
髪に、額にまぶたに頬に、キスを落としながら甘く責める。
「いーじゃん。あれで復讐は終わり。お互い様ってことで」
「終わりじゃねーよ」
「ん?」
「今度は俺がお前に復讐だ」
「んん?」
目と目の距離は3cm。
「あ、その顔は反則っ!」
伸びてきた両手をやんわりと拘束して。
瞳に映る自分と目を合わせる。

・・・見たことがねぇような甘い顔してやがる。
クッ、ざまねーなぁ。

「お前なんかなぁ」

「俺に夢中にさせて」

「俺なしじゃいられないようにして」

「弄んで」

「一生離さねえ」

くちびるを啄ばみながら宣言してやると
愛しい女はスゲーずるい顔でニヤリと笑い

「上等」

くちびるに甘く噛みついた。










                           Fin






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コメント
面白い!
こんにちは
はじめまして!

一気読みしました!
ぜ~んぶ、おもしろかったですv-218
逃げるつくしにv-8
追う司v-30
そんでラブラブしてv-238最高v-237

2009/08/21(金) 16:38 | URL | magenta #-[ 編集]
Re: 面白い!
コメントありがとうございます。
まったくの初心者なので、ビビりながらUpしております。
実はつかつくの追っかけっこが大好きで、何かあるとすぐ逃げ出します。ウチのつくし。
ウサギと猟犬ぽい。
温かいコメント、励みになります。
ありがとうございました。
2009/08/22(土) 00:37 | URL | とば #-[ 編集]
キャー!!!
キャー!!!最後のバカップルの甘甘オーラがっもう最高でした~!!今まで読んでいなかっかことに後悔中。すっごくハマりました^^最初は切なくてつくしと司のけな気さでキューンとなりましたしそして、最後のハッピーエンドはもう嬉しかったデス
2009/10/04(日) 16:44 | URL | 蝶羅 #-[ 編集]
蝶羅さま
コメントありがとうございます。
復讐・・・は、書きたかったのが多数決と空港追いかけっこ。
ラストシーンは自分も赤面しながら妄想しておりました。
もう、あんたたち勝手にしてみたいな。ははは。
これからもよろしくお願いします。
2009/10/05(月) 06:10 | URL | とば #-[ 編集]
ありがとうございます。
面白かったです。あっという間に引き込まれて、司つくは、やっぱりこうでなくっちゃ。切なさあれど、やっぱりお互いが必要で、甘甘で、読んでて幸せな気持ちにさせられます。できればこの続きを、と思うのは私だけでしょうか?ぜひぜひこの続きをよませていただけたら幸せです。
2010/02/06(土) 20:33 | URL | あやの #-[ 編集]
あやのさま
うは~e-446
復讐~すごい懐かしいです~e-449
スイマセン続き考えてませんでした(笑)。
でも、もし続いたらオフィスラブですね………e-420e-420妄想中
e-449機会があれば!←萌えたようです。
嬉しいコメント、ありがとうございました。
お暇がありましたら、また寄ってやってください。
2010/02/07(日) 00:54 | URL | とば #-[ 編集]
もう死にそう
ぎゃーーーーーー
もうこのまま死んでいいって思っちゃった(爆)
幸せすぎて・・・どこかへ飛んで行きそう
あっ既に飛んでる?
いいや・・・飛んでしまえ~~~
このまままた妄想の世界へひとッ飛びだ^
えい!!

失礼しました。(興奮しすぎました)
2010/07/30(金) 17:36 | URL | rann #sowQq82.[ 編集]
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2019/06/04(火) 21:22 | | #[ 編集]
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