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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

復讐の女神 3

打ち合わせに訪れた柴崎物産のエントランスに入ると、
すでに受付の横に迎えが立っていた。
「道明寺様、ご足労ありがとうございます」
深々と礼をする社員に、顔を上げるよう手で合図する。
牧野、ここで働いてんのか。
ちゃんとやってんのかな、アイツ。

エレベータ―で上がって、長い廊下を進む。
ところがエレベーターの扉が開いた瞬間から、何か、怒鳴りあう声が聞こえてきた。
「だから資料、ちゃんと整理しときなさいって言ったでしょ!このタコ!」
「うるせー!お前自分の分だけ確保しやがって、俺のはどーしたんだよ」
「知らないよ~、渡したも~ん」
「俺のもついでにファイリングしとけよ、気がきかねーなー!」
「何その態度!あたしはあんたのお母さんか?
ベビーシッターか?それとも奴隷か?」
「俺は彼氏とか希望だけど。胸が足りねーのは我慢してやるからよ」
「我慢しなくていいよ、アホ!」
中からは、ガン!とかバサバサ、とか派手に聞こえてくる。
案内役の社員が、すげー微妙な顔で振り返る。
知らねーよ。
俺を見んな。

ノックの後で
「道明寺様がお見えです」
と声がかかると
「げ」
バタン。
ゴン。
「いっ・・・」
どっかぶつけてやがる。
牧野…何でお前はそんなに面白れーんだ・・・・。

そしてドアが開き、俺を出迎えたのは、女らしいラインのスーツに
身を包み、きれいに化粧をして完璧な営業スマイルを張り付けた牧野だった。
さっきのゴンなんて微塵も感じさせねー。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」


っんだよ!
ぎゅっと拳を握ると、爪が手のひらに食い込んだ。

気にくわねー。
まるで、じゃれあいみて―なやりとりも。
俺に部外者用の笑顔を作るところも。
ドレスとか、濃い化粧とかなくてもこんなにかわいいのも。
全部気にくわねー。
本来なら牧野とあんな風にぎゃーぎゃー言うのは俺の場所だったのに。
この男、ぶっ殺してやりてぇ。
にこやかに立ってる柴崎に
「何か聞こえました?」
聞かれて
「いいえ、何も」
後ろで俺の秘書がヘンな咳払いをした。


「それでは、来週の合同会議までに、お互い煮詰めてくる、ということで」
打ち合わせが終わって、帰る時間になる。
今まで資料を出したりメモを取ってた牧野も、ホッとした感じでその辺を片付けだす。
打ち合わせしながらずっと見てた。
上から下まで何度も何度も。
いくら鈍い牧野でも気づいただろうか。
やべー。
俺、軽くヘンタイ入ってるよな。
俺の秘書は一足先に車に戻っていた。
「お車までお送りいたします」
立ち上がった俺を牧野が追ってくる。
嬉しいけど困る。
困るけど嬉しい。

「なあ、この階の上って何があんの?ここ最上階じゃねーよな」
「ああ、屋上に出るドアがあるんだけど。鍵かかってるよ」
「へー」
エレベーターに乗ると、牧野が動く前にその最上階のボタンを押す。
「あんた何してんの」
「話あるから」
「だって・・・」
「10分」
ちん、と扉が開くと、薄暗い小さな空間だった。

何となく、2人並んで壁に寄りかかり、どっちも黙ったまま。
「あいつ」
耐えかねて俺から話し出したら、牧野はびくりと身体を震わせこっちを見上げた。
「いや、柴崎さ、いっつもあんな感じなのか?なんつーか・・」
「あー。アホっぽいって言いたいんでしょ」
心得たように牧野が頷く。
「ぽいじゃなく、アホなのよ、アイツ。まるで昔のあんたを見てるみたい。
ああ、今のあんたは良く知らないけどね。今もアホなの?」
「おい」
「くくく・・・いつもはお客様、案内する前に電話くれるんだけど、
今日はなかったから。あはは、ヘンなとこ見せちゃったよねぇ」
下向いてるから、表情は見えないけど、多分、照れたような顔で笑っていやがる。
それをどうしても確かめたくて、ウエストに手を廻してヒョイと持ち上げる。
「な、なに?なになになに」
慌てる牧野をそのまま運んで、屋上に続く階段にポンと下ろして視線を合わせた。
「び、びっくりした」
カタコトみてーに言う牧野がおかしくて、低く笑う。
このまま少し前に出たら、キスできるのに。
紅い唇はきっと甘い。
牧野、キスしてくんねーかな。
再会の記念、とか。
取引先にサービス、とか。

・・・・・バカか俺は。

「あのさ、道明寺」
ギク。
不埒な考えが見抜かれたのか?
牧野が、言いにくそうにボソボソと話しだす。
「昨日、花沢類から電話もらって、聞いた」
「なに」
「事情」
「牧野それは」
釈明しようとしたのか、言い訳しようとしたのかわかんねぇ。
とにかく何か言おうとした時、ポケットから着信音が流れ出た。
舌打ちして携帯を取り出すと、案の定秘書からで
「ちっ!タイミングわりぃ」
「タイミングも何も、あんた今バックレ中でしょーが!!」
うるせえな。
電話をブチ切って
「牧野」
と向き合うと
「こら!秘書の連絡無視すんな!!まったくどいつもこいつも!
こっちの苦労ってものをまっっったくわかってないんだから!!」」
ちょっと待った!それって俺も入ってんのかよ。
「うわ、てめ、やめろ!」
頭を鷲掴みにしてシェイクされる。
こいつ前よりワザ増えてねーか!?
ぐるぐるする頭を押さえて、牧野にエレベーターに突っ込まれる。
「おい、話し途中」
「今はもうダメ!」
「いつならいい?ってか、今日何時に終わる?ちゃんと話し、しようぜ」
「・・・7時くらい」
「よし、迎えに来っから逃げんなよ!」
「誰が逃げんのよ。望むところよ」
「上等」



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コメント
ウーム・・・
これからどうなるなでしょう・・このふたりv-237v-237わたしゃあ、やっぱより戻して欲しいなーとか、思っちゃいますねー・・・・嗚呼、二人が幸せになりますようにv-238v-238
2010/07/11(日) 15:09 | URL | ナメコ #-[ 編集]
No title
こんにちは。はじめまして。                                             今日こちらのサイトを見つけ、今読ませていただいてます。                          私は、つかxつく があまり好きではなく (類くん一筋です)今までみんなスルーしてきました。                                   でも、でも、デモデスヨ・・・・・・・。                                          おもしろい!!!                                                 はまりそうです。どうやら、食わず嫌いだったよう な・・・・・・・。                                                                                     先を読むのが楽しみです。             
これからゆっくり読ませていただきます。                
2010/10/16(土) 13:47 | URL | あやママ #-[ 編集]
あやママさま
こんにちは、初めまして。
とばと申します。
うん、はい。類くんステキですよね~~~。
スイマセン、うち、つかつくしかなくて(笑)。
スルーされず、お目にかかれた幸運に感謝いたしますe-420
つかつくも、愛・愛・愛・の、素晴らしい世界でございます。
お嫌でなければ、どうぞヨロシクお願いいたしますv-344
2010/10/18(月) 13:16 | URL | とば #-[ 編集]
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