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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

休日 1

今日はどこにも出かけないでゆっくりしようぜ。
と、アイツが言い。
そうだね、とあたしが言った日曜日。

ところが家にいればやることは山ほど。
用事はいくらだって出てくる。
明るい日差しが差し込んできちゃ、もうゆっくりなんてしてられなくて。
あたしは『天気のいい休日にやることリスト』を頭の中で猛然と組み立てると、それに従って動き出した。


2回目の洗濯物を、ベランダに干してる途中で、道明寺が二度寝から起きてきた。
「ひゃっ!!」
いきなり後ろから羽交い絞めにされて、ハンガーを取りおとす。
カチンカチンっと、コンクリートの床にハンガーが音を立てる中
「な、なにっ!はーなーせー!!ちょっと!道明寺!!」
抗議も無視して、ヤツはあたしをベッドに引きずり込んだ。
「ゆっくりしようぜって」
「ゆゆゆゆっくりって、あんたの言うゆっくりって」
「もちろん」
ぞくぞくする低い声で、耳を噛むみたいに吹き込まれた。
「一日中ベッドの中で、ヤリま・・ぶっ!!」
みなまで言わせず、枕をぶつけてするりと抜け出す。
道明寺がベッドの中から恨めしそうにこっちを見た。
なんかかわいくて、笑った。

「ご飯食べる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・喰う」
ご飯に鮭、わかめのお味噌汁、玉子焼き、ほうれん草のおひたし。
最近では文句を言う事もなく、黙って食べてる。
一度、美味しいのかどうなのか聞いたら
「あー、味の事は良く分んねーけどウマい」
禅問答みたいな答えを出されて、もう聞くのはやめた。


食事が済むと、道明寺はまたベッドに上がり・・・っていうか狭いこの部屋。
ベッドの上くらいしか、このでかい男の居場所がないんだけど。
あたしは、溜まったアイロン掛けをしようとアイロン台を出してきた。

「アイロン~♪大好き~♪」
まずはシャツから。
すいーすいーっとアイロンを滑らせてると、すごーく気持ち良くなっちゃって、鼻歌まで出ちゃうし。
ははは、我ながらアホっぽい。

するとそれまでジーっと見ていた道明寺が
「俺もやりたい」
って、興味を持ったみたいだけど御冗談。
お坊ちゃんに出来る訳ないでしょ。
「これはすごーくアツいの。危ないから、ね?」
「ガキ扱いすんじゃねーっ!!」
・・・・・・ダメだったか。
「しょうがないなぁ、もう。じゃあ、ハンカチならいいよ。中心から外側に向かってかけるんだよ?」
「おー!スゲー!」
おっかなびっくり、ゆーっくりアイロンを動かすのを笑いそうに見てたら
「牧野さーん、回覧板でーす」
隣の奥さんの声がして、玄関に向かった。
回覧板を受け取って、そのまま少し話してたら、ん・・・・?
・・・何か焦げ臭い・・・?

急いで部屋の中に戻ると、右手にアイロンを持って固まる道明寺と、
ハンカチについた三角の焼け焦げ。
何してんの危ないじゃん、って言おうと開いた口が
一瞬、やべって顔して、途方に暮れた犬みたいな表情になった道明寺を見て、爆笑に変わった。
「笑ってんじゃねーよ」
と、真っ赤になって怒鳴るのが可笑しくて可笑しくて・・・・。
「てめ、涙流して笑ってんじゃねぇ!!!」
ゲラゲラ笑いがようやく治まると、道明寺がそっぽ向いて
「これ、代わり買ってやる」
と、ハンカチを寄こした。
「いいよ。ハンカチいっぱいあるから」
涙を拭きながら答えたら、まじまじとこっちを見て
「お前ってヘンな女だよな」
と言う。
「俺がプレゼント持ってくると怒りやがるくせに、何でハンカチ燃やされて
笑うんだよ。逆じゃねぇ?フツー」
だって、いらないって言ってるのに、おおよそあたしが使いこなせないような高級品ばっかり
くれるんだもん。
「とにかくいらないから。だいじょーぶ」
と答えると
「じゃ、何か別のもの」
って・・・頑固者め。

あ。
二ヤリ。
「何でもいいの?」
「ああ、何でもいい・・・って、やっぱダメ。てめ、何だよそのズルい顔は!何か企みまくってんじゃねーかよ!」
「何でもいいって言った!世界の道明寺司様が言ったよね?」
きひひひひひひ。
「てめマジうぜぇ・・・ぅあー!もうわかったよ!何でも言えよ!!」
ウキウキしてにこにこして答えた。
「あのさ、ウチ出て左に行くと雑貨屋さんがあるのね?そこに売ってるマグカップが欲しい!」
「・・・・・・・てめ、またそれ系かよ・・・・・」
「犬柄ね?」
「・・・・・・・・・・・」
「プレゼントって言っちゃダメだよ?ちゃんと自分用ですって言うんだよ?」

道明寺が、くそっとかありえねーとかぶつぶつ言いながら出て行くまで。
あたしはすましてアイロンかけを続け・・・・・・ドアが閉まった瞬間、我慢できずに爆笑した。
するとドアがガンッと開き
「うるせー!てめ、笑ってんじゃねー!!!」
捨て台詞っ!!

だってあのファンシーな店内にいるヤツを想像すると・・・・
「ぶ・・・・・・くくくくくくっ」
笑いすぎておなか痛いっ!

帰ってきて、ピンクの花柄の紙袋を差し出した道明寺の機嫌はサイアクだったけど。
さっきの笑いの続きで、我ながら最高の笑顔で
「ありがとう。すごく嬉しい」
って言った。
「・・・・・おう」
ちょっと赤くなって・・・機嫌は直ったかな?

「スゲーかわいい」
ぎゅうっと抱きしめられたから、慌てて
「割れる。割れるから」
って逃げだした。

「名前書いとこう」
マジックを出してきて、裏に書いて見せた。

『つかさ』

「これあんたのね?」
全部、お客様用で出してた食器の中で、初めてのあんた用。

気づくかな?

道明寺は一瞬、目を見開いて。
それから。
満足そうに 笑った。


「だから何で犬なんだよ!!」
「あはははは」






                            Fin







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コメント
No title
このお話、可愛くて大好きなもんで....
またまたまたまた
戻って読んでました~~v-10

さいこ~ぅ!
2010/11/06(土) 05:06 | URL | Rietje #-[ 編集]
Rietje さま
きゃー!
懐かしい恥ずかしい。
懐かしい恥ずかしい。
e-420犬柄のマグカップe-420
自分で読み返しても痒くなりそうなアレだっていうのに、誉めて頂いてすっごく嬉しいですe-415
ありがとうございました。
2010/11/10(水) 03:01 | URL | とば #-[ 編集]
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2012/06/03(日) 08:37 | | #[ 編集]
リリスさま
こんにちは
先日はいきなり出しゃばって行ってしまってスイマセンでした。
不審に思われたのではないかと、心配しておりました。
寛容な対応に感謝いたします。
なんか、いろいろあるんですけど、ホントに、大部分の読者様はあたたかく応援して下さっている方ばかりで。
ビビりのわたしも、そんな方々のお陰でなんとかやっております。
お互い頑張りましょうね!
だって、花男大好きなんですもん~。
こちらこそ、ありがとうございます、でした。
2012/06/04(月) 22:04 | URL | とば #-[ 編集]
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2015/05/31(日) 23:09 | | #[ 編集]
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