FC2ブログ

つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

リクエストを頂きました 3の3

はぴーはぴーバースデー!
つくしちゃん、誕生日おめでとう!誕生日に全然関係ない話書いて、ごめんね!
  3



「???」

司が、握ったままの手を差し出してくる。
つられたつくしが受けるように手を出すと、司はその上でゆっくり手を開いた。
ポトン
軽い感触がつくしの手の平に伝わる。

「・・・・これ・・・」
つくしは手の平に載ったそれを、目の高さまで持ち上げてマジマジと見る。

「・・・・・髪ゴム?」
「バスルームに忘れてたってよ。今朝メイドが持ってきた」
「これを・・・届けに来たの?」
「おう」
「わざわざ?」
「おう。ビンボーなお前の事だから、こんなんでも失くしたらすっげー困ってんじゃねーかと思って、届けに来てやったんだぜ」
大真面目な顔をして言ってやったのに、あと一歩のところで失敗。
「・・・ぶっ!」
親切めかしてつくしの顔を覗き込んだ瞬間、キョトンとした瞳と目が合って、司は堪え切れずに吹きだした。
慌てて横を向くが、頬に刺さるつくしの視線は既に尖っている。
やばい、肩が震える。


「・・・・ウソでしょ」
「なにが」
「忘れ物届けに来たとかって、ウソでしょ」
「んな訳ねぇ。疑ってんじゃねーよ。せっかく俺が、忙しい中わざわざ届けに来てやったのに」
「ウソだ、絶対ウソだ。だって、ほら、なんかニヤニヤしてるもん。すっごいズルイ顔してるもん」
「してねーよ」
「大体、こんな髪ゴム一本なくったって、困る訳ないじゃん!」
「へー、そーなのか。知らねーけど、お前ビンボーだから困んのかと思った」
「ビンボー、ビンボーうるさいっ!」
司にビシッと指さしたまま、動きを止める。
それから急に、つくしは何か思いついたように笑った。

「あ」

「あ?」
「ねえ、道明寺さあ」
座卓に両肘をついて身を乗り出して、司の方にずいっと顔を近づけて。
「淋しかったの?」
「は?」
「置いて行かれて、淋しかったんでしょ?」
「んな訳ねぇし」
軽く威嚇した後そっぽを向く司の頬が、僅かに紅潮している。
それを見てますます口角を上げたつくしは、座卓から手を下ろして畳に付くと、そのまま四つ這いで座卓の角を回り、司の方へと進みだした。
「淋しかったんだ。だから理由つけて追いかけてきたんだ」
「違うっつってんだろ」
「一緒に来たかったんでしょ?」
「あり得ねぇ」
「まったくー」
「・・・ウゼぇ」
「道明寺―」

近づくごとに楽しくなってきて、司の横に辿り着いた時にはついにクスクスと笑いだしていた。
「ほんとに道明寺はしょーがないねー」
優位に立った時の、意気揚々。
「・・・・・」
その楽しそうな笑顔を忌々しげに眺めていたかと思うと、次の瞬間、司はつくしに圧し掛かり一気に押し倒した。
「ひゃ!」
ゴンッ!
「痛ったい!頭・・・頭ぶつけ・・・」
「お前、いい加減にしろよ」
「と、突然何すんのよ!」
「たっのしそーに、上から喋りやがって。調子に乗んじゃねーぞ。お前なんか、こうやって俺の下でキャーキャー言ってりゃいいんだよ」
「わあああ、上に乗るなっ!服めくんなスケベっ!なによ、ホントの事言われたからって・・・ぎゃー!くすぐったい!やめてやめてやめて、あはははは」
「すっげ生意気、牧野のくせに」
身を捩らせるつくしのシャツを捲り上げて、司が意地悪気に笑う。
「嫌がらせしてやる」
そして、キレイな顔を傾けて落としてきたのは、ブラに包まれた胸のすぐ下。
「あっ・・・」
そこに、熱い痛みを感じてつくしは悲鳴を上げた。
「や~~~だ~~~っ!やだやだやだ!お風呂入れなくなっちゃうじゃんっ!やめてっ!離せっ、バカ道明寺!」
暴れるつくしをモノともせず、きつく吸った肌から唇を離して、紅く色づいた印を満足げに見遣る。
「風呂ならここで入ってけばいいだろ」
あっさり言って、今度は下からブラの中に指を入れ、捲り上げようとする。



「ギャーッ!」
ガンッ
「いっ・・・」
つくしが、渾身の力を振り絞って司に頭突きをかました。
それから、額を押さえて起き上る司の下からすごい勢いで逃げ出して、距離を置いてぺたんと座り、シャツを捲って確かめる。
そこには、薔薇色の痕がひとつ、くっきりとついている。
「あっ、くそ~~~」
悔しい。
昨日からあんなに頑張ったのに、結局。
「バカーっ!」
司を睨んで、手近にあった座布団を掴んで、思いきり投げつけてやった。
「あっぶねー」
難なく避けて笑っている顔が、本気で憎たらしい。
つくしはグイッとシャツを引っ張り下ろした。


「もうあたし戻る。忘れ物も受け取ったし、西田さんにも悪いし、道明寺はバカだし」
プイッとそっぽを向いたまま、つくしは部屋の出口へと向かう。
襖に手を掛けた瞬間、後ろから呼ばれた。
「牧野」
「なによ」
「後で来いよ」
「来ないよ。宴会終わったら、幹事だけでお疲れ会するんだもん。それから大浴場に行って、温泉堪能するんだもん」
「へー、んな痕つけて?」
「こんなの一個くらい、隠して入るから大丈夫だよ」
ニヤニヤと笑って言ってくる司に、べーと舌を出し言ってやった。
「じゃーねー!明日気をつけて帰りなよ。コレの仕返しは、特別にさっきの頭突きで許してあげるから。おやすみ、バイバイ。今度会う時、お土産持っていくからね」
そしてひらひらと手を振って、つくしは出て行った。






さてさてさて。
西田さんが心配だ。

さっき来た道を急ぎ足で戻りながら、つくしは考える。
あの子供たちの懐きっぷりなら、大丈夫だと思うけど・・・・

宴会場に戻って来ると、中からはカラオケの歌声と手拍子が聞こえる。
そこを通り過ぎ、子供部屋の襖をそっと開けると。
正座する西田のスーツの背中が最初に目に入った。
そしてその向こうに、ズラリと並んでいる子供たち。
口を開けて、西田が持っている紙芝居を見つめている。

西田がつくしを振り向いた。
「もう少しですのでお待ちください」
そしてまた前に向き直り、抑揚のない声で続きを読み始めた。

「・・・目が覚めたオオカミは、ひどく喉が渇いたと思いました。そして水を飲もうと湖の方へ歩いて行きました。『ああ、腹が重い。満腹満腹』。オオカミは、お腹の中に石が詰められた事に気づかず、重いお腹を両手で抱えて湖の縁に座りました。そして、水を飲もうと屈んだ途端・・・ドボーン!おなかの重みで湖に落ちて、そして溺れて死んでしまいました・・・・おしまい」

「オオカミやっつけた!」
「良かったね」
「面白かったぁ!」

パチパチパチパチ
パチパチパチパチ

子供たちが歓声を上げて拍手をする中、西田は子供たちに頭を下げるとつくしの方を向いた。
「お話は済みましたか?」
「はい、お話っていうか何て言うか・・・済みました。すいませんでした、西田さん、幹事の仕事代わってもらっちゃって」
「いいえ。すべて滞りなく済みました」

そうかなあ。
本当は、すごく大変だったんじゃないかなあ、西田さん。
だって
眼鏡、微妙にずれてるし。
ネクタイ、スーツから出てピローンってなってるし。
袖からカフスはみ出てるし。
それに、アホ毛立ってるし。

申し訳ない気持ちになって、もっと労おうとつくしが声を出しかけた時、西田は軽く身なりを整えると頭を下げた。
「それでは、私はこれで失礼いたします」
「あ・・・あ、はい、本当にありがとうございました」
「いいえ・・・」
それから西田は、珍しくも何か言いたげにつくしを見る。
「・・・・西田さん?」
「牧野様」
「はい」
「私、子供をつけ狙うなど、そういう事は致しておりませんので」
「あ、はい、わかってます」
「それでは皆さん、ゆっくりお休みください」
西田は、今度は子供たちに向かって頭を下げると部屋を出て行った。

「やだあああ!」
「ロボぉぉぉぉぉ!」
「行かないでぇぇぇ!」
「もっと遊んでぇぇぇ!」

引き留める子供たちの声が響く中、
「・・・・・・ぶ」

「・・ぶぶぶぶっ・・・!!!」
申し訳ないと思いつつ、つくしは思いきり吹きだした。



   ***


その後、大いに盛り上がった宴会が終わり、自由時間となった時。
つくしは、幹事の打ち上げの席にいた。
宴会の間中、忙しくてお酒を呑むどころじゃなかったのは皆同じ。
役目を終えた開放感で、笑ってグラスをぶつけ合う。



「ビンゴ、速かったよね。社長、酔ってるのかすごい勢いでガラガラ回しちゃって、どんどん玉出ちゃって、あはははは」
「あははは、一等の商品って何だったんですか?」
「温泉ペア宿泊券」
「いいなぁ~」
「旅館から貰ったからさ」
「ははは、誰に当たったんだっけ」
「社長の奥さん」
「そうだ牧野さん、子供の世話係でビンゴ参加できなかったろ。景品とってあるから」
「えー?何ですかー?」
「全身タイツか養命酒。どっちがいい?」
「・・・・・・・養命酒で・・・あ、ところでカラオケの幹事代表の、大丈夫でした?ちょっと事情があって、代わってもらったんですけど、いきなり知らない人が出てきて、皆びっくりしませんでした?」
「したさ」
「したよねぇ」
「・・・すいませんでした」
「やー、社長が、道明寺財閥の秘書の方がピンチヒッターで歌って下さいます、って紹介したんだけど、みんな唖然としちゃってさ、なぜそんな人が!的な」
「びっくりしたよねぇ」
「牧野さん、道明寺財閥の御曹司と先輩後輩の間柄なんだって?」
「全然知らなかったなあ」
「あ、そのあの、はい、卒業してからはもう全然。全然全然全然、はい」
「えー、残念―」
「でもあの人、さすが道明寺財閥の秘書って感じだったよね。ばりっとしてさー」
「隙のない感じだったよね。さすがだよね」
「あの、大丈夫でした?山本リンダ」
「うん。直立不動で歌い上げてた」
「ぶっ・・・」
「上手だったよ」
「あはははは」
「ははは」


幹事のお疲れ会は、一時間ほどでお開きとなった。
今日はお疲れさまと、明日も頑張ろうの声を掛け合って、それぞれ部屋に戻って行く。
つくしも一旦部屋に戻り、浴衣に着替えてお風呂に行く事にした。




赤い暖簾を分けて入って行くと、浴場の方からカコーンと桶のぶつかる音がする。
ザーザーとお湯の流れる音も。
「そうそう、この音。温泉っぽい~」
うわ~、楽しみ~。
脱衣所まで流れてくる湯気。
幹事の集まりのせいで、他の人と入浴の時間がずれたらしく脱衣所はつくし一人だった。
よし。
誰もいない脱衣所で、つくしは一人ガッツポーズを決める。
この人気のなさなら大丈夫。
さっき道明寺に付けられたアレを、見られる事はないだろう。
ちょうど胸の下のところだし、なんか持ってりゃ全然見えないし。
そうしている間に、誰かが浴場から上がってきた。

ペタペタペタペタ。

土踏まずのない感じの足音を響かせて、ポタポタとお湯を垂らしながら駆けてくるのは
「あ。まちのしゃーん」
「あ、さーちゃん」
先程まで子供部屋で一緒にいた、3歳女児だった。
「ママとお風呂に入ってたの?」
「うん、おおきかったー」

雫が垂れる髪を、つくしのタオルで拭いてあげるていると、浴場の方から
「さーちゃーん」
と、呼ぶ声がする。
それに
「あ、もう上がってます。大丈夫です、見てますよ~」
と、つくしが声を掛けると
「すいませーん、すぐ上がりまーす」
と、返事があった。
「大丈夫ですよ、ゆっくりどうぞ」
答えて、つくしも入浴の準備を始めた。

おろしていた髪をまとめて帯を解く。
それから浴衣を脱いで畳んでいた時、後ろから不思議そうな声がした
「まちのしゃん、これなにー?」
「ん?」
そして背中の真ん中に、細い指が触れる感触。
「なにって・・・」
首を逸らしてみても、自分で見える場所じゃない。
「どうかなってる?」
「うん」
何だろう、と、ずっと向こうの壁に付いている鏡で見ると

「ぎゃっ!!」
肩甲骨の下に、なんか赤いのが付いているのが見えた。

バッ!

マッハのスピード、で脱いだばかりの浴衣を羽織る。
後ろから3歳児が顔を出して、浴衣の裾を引っ張った。
「まちのしゃん、赤いの、いたいの?」
「い、痛くないよ」
「いたい?」
「痛くないよ、大丈夫」
「ふーん」


せせせせ背中にばっちり・・・き、キスマーク?
これじゃ大浴場なんて入れないじゃないか!
子供だから良かったものの、大人が見たら、あら、とすぐにわかるその紅い印。
引き攣った笑いを3歳児に向けながら、心の中では司を罵倒する。
あいつめ~!
くそ~!こんなのいつ付けやがった。
確信犯だ、絶対そうだ。
さっき部屋を出てきた時のあの顔。
後で来いよとか言った、あの余裕気な口調。
腹立つ腹立つ腹立つ腹立つ。
・・・・。
後で来いよ、だあ?
・・・・行ってやろうじゃん。
行って一発殴ってやる、と固く決意しながら脱いだ浴衣を着直す。

「まちのしゃん、赤いのなに?」
無邪気に聞いてくる3歳女児に、ギクっとして
「ああああアレはね、あ~・・・えーと・・・アザが・・・あ!そうそう!牧野さんがおなかにいる時、牧野さんのお母さんが火事を見ちゃって、それでアザが出来ちゃったの。だから、生まれつきっていうか・・・生まれつきわかる?そうだよね、わかんないよね。とにかくなんでもないから。大丈夫」
「ふーん」
焦って説明したところに、子供の母親が浴場から出てきた。
「あー、すいません~、上がりました。さーちゃん、お待たせ。牧野さん、ありがとうございました」
「あ、いいえ~。それじゃあたしはこれで」


そそくさと離れたその後ろで、
「ママ~、まちのしゃんのおかあさんが火事になっちゃった~」
「ええ~?それは大変ねぇ~」
と、会話をしているのが聞こえる。
どんな話をしてくれるんだろうと、一抹の不安を胸に抱きながら、つくしは大浴場を後にした。





           4へ 


0574.gif
いつもありがとうございます


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。