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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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遠恋時代~中編~

「道明寺っ!」

生の牧野の声。
少し震えた、声。
すげぇ久しぶりに聞くそれは俺のテンションを一気に上げ、続けて宙を飛んできた牧野を受けとめた腕は歓喜に震え、そして。

「・・ぉ・・・っ!!!!!」

ばふんっ!!!

・・・・・っ・・・このクソ雪っ!!
滑る足元に耐えきれず、俺は牧野を受けとめたまま後ろによろけ、雪の中に突っ込んだ。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・ぷ」
「・・・・・・・・・」
「あはははは!」
「笑うな!」
「あはははははっ!!」
「笑うなっつってんだろっ!」
「だって、雪・・・・あっ」
色気なく、大口開けて笑ってる牧野を抱きしめる。
氷点下。雪まみれ。クソ寒い。

だけど、腕の中には牧野。

それだけで寒いなんて感じなくなって、すっげぇ浮かれて、衝動のままにその唇にキスしようと顔を傾けた時


「や・・・・やあああああっちょっと~~~~~っ!」
「あぶなっ・・・・きゃーっ!!」
「滋さんっ!!転ぶなら一人でっ!人を道連れにしないっ!」
「だってぇぇぇぇぇぇ~~~っ!」
「キャーッ!」
「キャーッ!」


ズザザザザザザザザッ・・・・・・

視界の端を何かの塊が派手に滑って行った。



「・・・・・・・・み、みんな・・・っ・・・・・ハッ!」
ドンッ
「・・・・っお!」

ずぼんっ!

至近距離からいきなり牧野につき飛ばされた俺は、もっかい雪に埋まる。
「・・・・・・ってめっ!」
「あっ!ごごゴメン!」
「ゴメンじゃねぇ!どんだけ全力で突き飛ばしてんだよ、てめぇ!」
「ゴメン!つい!大丈夫っ?」
焦った牧野に手を引っ張られて、雪の中から身を起こす。
その時には、同じく雪まみれの滋と三条と牧野の親友が、こっちに向かってくるところだった。

「つくし、こ・・・これ・・・・」
牧野の親友が、抱えていたバッグを差し出す。
「なに?・・・え、だって・・・」
「何って、道明寺さんが迎えに来てくれたんだから」
気が利くじゃねーか、牧野の親友。
目をパチパチさせた牧野にそのバッグを押し付けるように持たせ、良かったね、と言って背中を叩いた。
こっちには、魔女みてーに笑った滋と三条が近づいてくる。


「ふふふふふふ」
「つかさぁ~!」
「ウランバートルへ出張中じゃなかったんですか?道明寺さん」
「そうそう。つくしの誕生日なのにね~」
「出張なんて入れちゃってね~」
「よっ!仕事のオニッ!」
「俺が組んだわけじゃねーよッ!」
「もし、そうだったら半殺しよ!」
「だよねー!」
「っつーか、どけそこ」
「イヤだよーん。あたしたち、これからつくしとお泊まりなんだもんね~?」
「遠恋中の彼氏は仕事ばっかりして帰って来ないし、先輩の誕生日は毎年、女子4人でお祝いなんですよね~?」
「つくしとご飯食べてー」
「一緒にお風呂入ってー」
「お酒呑んでー」
「恋愛話してー」
「マッサージし合いっこしてー」
「一緒に寝るんですよね?」
「ふはははは!うらやましいか、司っ!」
「ああ、めちゃくちゃ羨ましいな、これでいいか?」
俺の周りをぐるぐる回りながら、笑顔で攻めて来る女どもを蹴散らしたい欲求をやっとのとこで押さえながら言うと、2人は不満気に言った。
「全然気持ちがこもってない」
「先輩渡すのやめようかしら」
「そうだよね。いきなり現れて、あたしたちからつくしを奪って行こうなんてね」
「そうですよね、ちょっと図々しいわぁ~」
「お前ら、チクチク厭味言うのやめろ。うぜぇ」

・・・ったく。
強引に、滋と三条を掻き分け足を進める。
「っつー訳で、牧野連れてくから」
牧野を抱え込むように車に向かって歩き出すと、意外にもすんなりと見送られる。
車に乗り込む前に、ボーっとしていた牧野が急に振り返った。
「あ・・・ご・・・ゴメンっ!滋さん、優紀、桜子、ゴメンね!」
相変わらずのデカイ声。
それに応えて、あっちからもデカイ声。
ったく女っつーのは、どんな時でも騒々しいのな。
「つくしーっ!良かったねーっ!」
「気にしないで、先輩!3人で楽しくやってますから」
「つくしも頑張ってねっ!」
「え?」
「「「いい加減、やってこい!!」」」

「やっ・・・☆@*#なに言っ&☆▽っ!!ひゃ」
べしゃん!
「・・・・っったぁあ~~!」
夜空に響き渡った送る言葉に、牧野は奇声を発して跳び上がり、ついでに滑って転んだ。
「おい・・・お前ホント、忙しい女だな」
と、助け起こして車の中に引き入れ、隣に座らせる。
運転手がドアを閉めると、牧野は引き攣った笑顔で振り返り、声を上ずらせた。

「や、やだね、皆なに言ってんだかね、あはははは」
言いながらじりじりと後ろに下がっていく。
その激しく泳いだ目に吹き出すのを堪えながら、身を乗り出して牧野が開けた距離をずいっと一気に縮めた。
もう少し前に出れば、キスできそうな距離でキョドった瞳を覗き込む。

「俺もあいつらに賛成だけど?」
「!!!!!」

牧野はデカイ目を更に見開くと、慌てて後ろを向いてドアの取っ手に手をかけた。
そのままドアを押して、逃げ出そうとする、気配。
一気にドアが開き、冷たい空気が流れ込んでくる。

俺は後ろから小さい身体に覆い被さって、牧野の手の上から取っ手を握り思いきり引いた。

バンッ

「道・・・」
目の前で閉まったドアの音に弾かれるように、牧野が振り返る。
しめた、とそのまま後頭部を引っ掴み、開いた右手でドアロックを押し下げた。

ガチャン

ドアがロックされる音に、牧野が目を真ん丸にして何か言おうとする。
その唇が開く寸前。
「逃がすか」
牧野をドアに押し付けて、そのまま奪った。










あー、くちびるやわらけー。
あー、ホントやわらけー。
久しぶりのその感触に、頭ん中真っ白になって、まるでアホみたいに同じ事しか考えらんねー。
何か月ぶりだ、コレ?
牧野のこのくちびるの感触と甘い味。
ああ、すっげぇ幸せ。途方もなく幸せ。
くっついたまま何度も角度を変えて、余すところなく味わおうとする欲深いキスに、牧野の喉から甘やかな呻き声が漏れる。
それは俺の喉にも響いて、そのまま狂おしい様な欲望のスイッチを入れようと降りて行く。
「牧野」
キスの合間に名前を呼ぶと、睫毛が微かに震える。
「くち」
開けよ。
丹念に舌を這わせた唇が熱を持ち、その熱で溶かされるように、固く結んだ唇が綻びて行く。
期待に、無意識に口の端が上がり、その極上の場所に溺れ込もうとした瞬間。


  PURRRRR・・・・・
   PURRRRRR・・・・・


「・・・・・・・ハッ!!!」
「チッ」

運転席からのコール音が牧野を正気づけ、ドアに押し付けた活きのいい身体が本領発揮とばかりに暴れ出した。

クソ運転手、帰ったらコロス。

凶悪な気分のまま、インターホンの受話器を取ると、運転手のビクビクした声が
『え~、あの、今、ドアが・・・その・・・車を出しても宜しいでしょうか』
と尋ねた。
「ああ」
出せ、さっさと。
牧野が跳び下りて逃げたりしないように、100キロくらい出しちまえ。
思いとはうらはらに、リムジンは静かに走り出した。


その間に、シートにちょこんと坐りなおした牧野は、俺と微妙な距離を開け、コートのボタンを弄りながらゴニョゴニョと言った。
「か・・・帰れないって、言ってたのに」
「ああ、すっげーラッキー。予定なら帰れなかったけどな」
「予定が、変わったの?」
「最後に組んであった会議が中止になったんだよ」
「なんで?まさかあんたが、なんか気に喰わない事があって暴れ出したとか?」
「するか、アホ。あっちの連中、半分くらい来なかった。インフルエンザで」
「インフルエンザ!」
は~、そうか~。時期だもんね~~~。
と、下を向いたまま牧野は言った。
道明寺も気をつけなきゃね~、忙しい人なんだからね~。
ウガイとかしてね~、マスクもね~。
「会議が流れた分だから、日本に寄るつってもあんま時間ねぇんだけど。明日の午前中には出発しなきゃなんねー」
「慌ただしいね」
「けど、お前の誕生日だろ。ちょっとでも寄れて良かった」
「あ、う、うん・・・あ、ありがと・・・」
なんか空気が硬ぇなと牧野を見ると、落ち着きのない指はありもしねぇコートの皺を繰り返し伸ばしている。


「なあ」
顔見てぇ。
ケド距離が近過ぎて覗き込めない。
「なんでこっち見ねーの?」
さっきから、頭のてっぺんの渦巻と耳しか見えねぇし。
ストレートに聞いてやると、牧野は
「は・・・はいっ?べべべべべ別に、見るよ、見てるよ、フツーだよ?」
分かりやすく動揺して顔を上げた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

 ぶわっ

「は?」
「だ・・・ダメだ、やっぱり~~~っ!」

まるで音が聞こえるくらい、牧野が一気に赤面してまた下を向く。
「なんか恥ずかしい。顔が見られない」
「は?お前何言ってんの?」
「ゴメンもうちょっと待ってて、すぐ慣れると思うから」
「意味わかんね」
「あ、あたしだってわかんないよ・・・・いいから、気にしないであたしの事は」

気になるっつーの。
コイツってホントわかんねー。
さっき走って飛びついてきた勢いはどうした。
あー、顔見てぇ、触りてぇ、抱きしめてぇ、できればもっかいキスも。
だって久しぶりに会ったコイビト同士だぜ。
ずっと、抱き合いっ放しでもいいくらいじゃねぇ?
膝の上にある手を上から握りこむと、小さくピクンと震え、逃れたそうに動く。
それを強引に握り直すと、大人しく力を抜いた。

「・・・・・・・元気だった?」
小さく、牧野が呟く。
「普通。お前は?」
「元気だよ。あたしはいつでも元気」
と、笑ったあと
「ねぇ、よくあそこが解ったね」
と言った。
「類に聞いた。お前んち行ったら留守だったから」
「花沢類?へー。携帯に電話くれればよかったのに」
「した。お前にも滋にも三条にも。揃って出なかったけどな」
「えー?そうなの?いつ?」
「3時間前」
「ああ、皆でお風呂に入ってた時だ。お風呂2時間くらい入ってたもん。すごく良かったの。4人で入っても広くて、すぐそこが庭でね、雪が積もってて綺麗だった」
そして牧野は黙った。
握りこんだ中の小せぇ手が、またもぞもぞと動き出す。
なんだよ、ヤなのかよと力を緩めると、意外にも牧野は手をくるりとひっくり返し、指を絡めて握り返してきた。
ああクソ、この女。
こんな事されたら、ここで押し倒したくなるじゃねーか。

体温が、どんどん上がって行くのが分かる。
理性とか殆んど吹っ飛びかけて、手を伸ばそうとした時。

  PURRRRR・・・・・
   PURRRRRR・・・・・


・・・・・・・・マジで帰ったらコロス。
運転席からのコール音に、牧野が慌てて手を引っ込めた。





            後編へ






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