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つかつく砂吐き推進委員です。ヨロシクお願いいたします。

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ハニィハント 27

電車に乗って、スーパーに寄って買い物して。

何日かぶりでアパートに帰ると、細い小路に見慣れたシルエットが立って出迎えた。
「つくし!」
「センパイ・・・・?」
首を傾げて歩いて行くつくしに、タマが精一杯のスピードで駆け寄り、見上げた。
「あんた何ともないのかい」
「へ?な、何が?」
「坊ちゃんから電話が来て、あんたが電話の途中で叫び声をあげて、それから連絡が取れなくなったって」

「あ」

「何か事件に巻き込まれたかもしれないからって、凄い剣幕でね。後ろで秘書がなんか言ってたけど聞きやしない。いま、何時だい?2時50分?ギリギリ間に合ったね。あと10分で始まるところだった」
「は・・・始まるって・・・」
答えは何となくわかっていた。
分かっていたけど、聞いてしまった。
そして答えは予想通りだった。

「特別捜査網」

「出た~~~~っ!」
悪夢ふたたび。
「あんのバカ男ぉぉぉぉ~~~~!!」
「それでも秘書に言われて譲ったようだよ。3時までにあんたが戻らなかったら、って」
「ぎえ~~っ!何考えてんのよ~~~!!」
「あんた、怒る前に坊ちゃんに電話しな。あと5分だよ」
そのまま司の家の方に引っ張り込まれた。
携帯の発信を押して、ワンコール。
『牧野っ!無事かっ!』
「無事かって、ちょっとあんた何考えてんのよッ!とっ、特別捜査網とか言って、また大騒ぎにする気か~~!!あんた、以前の経験とか教訓とか全然活きてないじゃないのよ、のーみそシワついてんのかっ!バカっ!」
『バカとか言うな、てめぇが原因だろうが!電話してる途中で、突然絶叫してぶち切りやがって、何かあったんじゃねぇかって心配するだろが!』
「あったでしょー!あんたがっ!あ~ん~た~が~!人目も気にせず恥ずかしい事ばっか言ってくるからでしょーがっ!」
『うっせー!元はと言えばお前が一緒に来なかったから悪りぃんだよ!』
「ちょっと、それ・・」
お前が、あんたが、という不毛な争いが勃発しようとした時、突然電話の相手が変わった。

『牧野様、西田です』
「あ・・・・・・・・・・・ど、どうも・・・・」
活火山から、いきなりツンドラの雰囲気になった電話の向こうに戸惑って、つくしが口ごもる。
そんなの気にせず、抑揚のない音声は電話から流れ出てきた。
『御無事で何よりです』
「へ?あ・・・はあ」
『ですが、先程の電話の終え方は、どう好意的に見ても不審なものでした』
「・・す・・・・すいません」
『司様が、こちらの予定をキャンセルして帰ると言い出したので、譲歩案として3時までに連絡が取れなかったら公的な力を借りると約束しましたが』
「・・・・・・・・西田さんでしたか」
『牧野様』
「はい」
『業務に支障が出るような事では困ります』
「・・・・・・・・・・・・・・・・すいません・・・・」
しゅんとなったつくしに、流石に可哀想になったのか西田は
『司様の、牧野様への想いは皆、よく知っておりますから』
慰めるつもりで、そう言った。
それが更につくしを赤面させているとは、流石のキレ者の秘書でも気づかなかったが。



『おこられてやんの』
変わって、電話に出た司が、くつくつ笑いながら言う。
「・・・うるさい」
反撃する声は小さく、電話越しにもショボンとして可愛らしいったらない。
だから優しい声が出た。
『・・・・・・・・お前が、また逃げ出すんじゃないかとか・・・・・思っちまって・・・・・』
ぽつりと、言う。
「え?」
『いっつも、手に入れたと思った途端に、膝蹴り喰らわせて逃げてくような女だからお前』
「シツレーな。膝蹴りなんてしたこと・・・・あ~、今回はないし」
『くらいの仕打ち、したろ。・・・いや、精神的には半殺しされってかな』
「ぷ・・だからゴメンって。あはは、もう逃げないよ。信用してよ?」
『全然できねー』
「ちょっと!」
『ずっと傍に置いて、逃げ出さないように見張っててやりてぇよ』
「逃―げーなーいって」
あははは・・・と、信用のなさに思わず笑い出してしまう。
『なあ、今俺んち?』
「うん」
『俺が帰るまでずっとそこに居ろよ。自分ち帰んな。どこも行くな。ずっとそこで待ってろよ。明日、帰っから』
「・・・・・・う・・ぷぷぷぷぷ」
『・・・・・・・・・・・・・・んだよ』
「だって・・・!す・・・スゴイ甘えっぷりなんだもん・・・ぷぷぷぷ・・・せ・・・世間じゃクールビューティーとか言われてるクセにさ・・・ぶふふーっ・・・あ~我慢できないっ!あはははははっ!」
『てめっ!』
多分コメカミに例のアレ。
低い、蕩けるような声は一瞬にして不穏な響きをまとった。
『あったまきた!情緒ねぇにも程がある。こうなりゃ実力行使だ』
「は?な~に?北海道から何ができるって?」
豪快に笑い飛ばしたつくしに
『見てろ』
ニヤリと笑う声で言って、司は電話を切った。

そのままひとしきり笑ったつくしは、笑いすぎで目尻に浮かんだ涙を拭いて、さあ帰ろうと立ち上がる。
結局最後はケンカになっちゃうなんて、全くあたしたちって、ケンカの神様に見守られてるとしか思えない、と笑いながら。
「センパイ、すいませんでした。自分の家の方に戻ります」
「坊ちゃん、どうだった?」
「いっつも通りアホでした」

だからカワイイ。
だから好き。

イカレた頭はそんなことまで考えちゃって、ああ。
全くどうしようもない。
フワフワした気分のまま、買い物袋を提げてドアを出る。
と。
「・・・・・・・・・え?」
目の前には黒い壁。
「・・・・・・・・?」
そろりそろりと視線を上にあげると、サングラスした強面。
「あの・・・・・えーと・・・・・お、おじゃましまし・・た・・・・?」
出られない位置に陣取るSPに、ちょっとどいての気持ちを込めて言うが、長身の彼は気の毒そうに
「申し訳ありませんが、牧野様を家から出さないようにと指示が・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監禁かよ。

あの電話の得意気な声はこれかっ!
SP、遠隔操作してんじゃねーよっ!
「あんのアホが~~~っ!」
だから好き、なんてチラッとでも考えてしまった自分を忌々しく思い、一瞬で沸騰した闘志をぶつけてもいいかとSPの顔をじっと見ると、小さい子供なら泣きだしても不思議でない雰囲気を持つ彼は急に情けない顔になり
「お願いです、牧野様~」
と、手を合わせて頼み始めた。
「お願いですから、坊ちゃんが帰って来るまで大人しくお待ちください。この前、牧野様が失踪された時、私どもがどんなに怖い目にあったか~~~~~っ!」
「うわ、あのっ!そんな拝まれても・・・」
「お願いします~~~っ!」
「・・・・・・・・・・・・・はあ」
パタン
必死なその形相に、なんだか可哀想な気になってドアを閉じてしまった。

文句を言ってやろうと、司に電話をかけたが、耳元に流れる
『この電話は現在・・・・』
機械音に、ダンダンと地団太を踏んで。
あったまにきたから留守電に
「失踪してやる!逃げてやる!バカバカバカバカ、あんたなんか津軽海峡に落ちちまえっ!」
と吹き込んで、再び電源ごと切ってやった。
もう出ない。電話なんて出ない。絶対出ない。今度こそホント。


「あのイカレパーマめ~~~っ!帰ってきたら覚えてろよ~~~~~っ!!」

素直に、とか可愛く、が続かないのって、絶対あたしのせいじゃない!
あのイカレポンチがアホな事ばっかりするのがいけないんだっ!
ドフッ・・・・・とソファーに拳をめり込ませると、極上のスプリングが、優しく受け止めてくれた。
「う~~~~~~~~っ!!」
「まあ観念しな」
笑ってタマが言う。
「今まで、散々坊ちゃんを焦らした仕返しされてると思ってさ」
「じじじ焦らしたわけじゃっ・・・」
「充分焦れてたけどね、坊ちゃんの方は」
しわくちゃの顔は、嬉しそうに笑っている。
笑ったまま、そっと聞く。
「気持ちが、通じたんだろ?」
「・・・・・・・はい」
赤面しながら答えると、小さな使用人頭はもっと笑顔になって、つくしに屈むようにと合図した。
「センパイ・・・・?」

くしゃり

「・・・・・・・・センパイ」
真っすぐな髪が、しわしわの手に掻き混ぜられる。
つくしが屈んでも、まだ見下ろさなきゃいけない小柄な人は、仰向いた顔をくしゃくしゃにして笑った。
「良かった・・・・・・本当に良かった・・・・・・・・」
子供にするみたいなその仕草に、恥ずかしいのと照れくさいのと半分ずつの気持ちで、つくしも笑った。
「ご心配・・・・かけました」
「ホントだよ」
ビチッ
「あうっ!」
勢いよく額をはたかれて、つくしがのけ反る。
「どうなる事かと思ったよ。坊ちゃんは・・・あの子は、あんたが居ないとダメな子だから・・・・・あんたが決心してくれなかったら・・・・・・・・」

ポツ・・・・ポツ・・ポツ・・・・

不自然に、後ろを向いた小さな足元に、かすかな音をたててシミが出来ていく。
「・・・・・・幸せになってほしいんだ」
聞き取れるギリギリの、小さな小さな声だった。
「ずっと、ずっと、生まれた時から見てきたんだよ。甘えん坊で泣き虫だった、ほんの子供の頃も。暗い目をして暴れまわっていた頃も。あんたに会って、生まれて初めてみたいに幸せそうにしてたところも。それから、あんたと離されて鬼みたいな顔して荒れてた時も、あんたを取り戻すって頑張ってた時も・・・・ずっと・・・見て・・・見るだけしか、できなくて・・・」
一気に、思いを溢れさせ、それからタマは右手で咽びを押さえて絶句した。
嗚咽を漏らさないようにと、力いっぱい耐える小さい身体がぶるぶると震えて俯いた。

「・・・・センパイ」
この人の・・・・一生を道明寺に捧げたと言ってもいい、この女性の。
長い長い間、司を見守ってきたこの人の無償の愛情が、苦しいほどに伝わって来る。
抱きしめて、言いたかった。
心配かけてごめんなさいって。
道明寺はきっと幸せにしますからって。

でも言えなかった。
見せるつもりじゃなかったんだと分かる涙が言わせなかった。
泣きそうだったけど、笑った。
わざと気づかないふりして笑った。
あたしの声も震えてなきゃいいな、と・・・詰まるノドを無理矢理押しあけて。

「セッ・・センパイ、今日一緒に晩ごはん食べましょ?は、ハンバーグなんですよ~。買った物も、部屋に置きに行けないし。ここの立派な冷蔵庫に、グラム78円のひき肉入れとくのも気が引けるし。食べちゃわないと」
わざとらしいかなと、自分でも思うほど明るい声で言ったが、ちょっと失敗。鼻声だった。
ありゃ、とタマを窺うと、ち~んと鼻をかんでいて、その後元気に
「あたしの分もあるのかい?」
と、聞いた。鼻声で。
「豆腐も買ってきたんですよ。それで増やすから大丈夫」
「ははは、じゃあ頂こうかね」
「ああ、でも他の材料がないなぁ。玉ねぎ、パン粉、牛乳・・・・・・やっぱSPの人に頼んで、一回ウチに入らせてもらわないとダメかなぁ」
ブチブチ言ってると、タマが
「よし、あたしに任せな」
と、胸を張った。
さっき震えながら涙を落としていた名残はどこにもなく、道明寺家使用人頭(終身制)はコトコトと杖をつき、玄関のドアを開けた。
「ちょっとあんたたち、相談があるんだけどねっ!」
相談、と言うよりは恫喝、とか叱咤、の方がぴったりのその響きに、笑った。

SPは頑張った。
一生懸命頑張った。
頑張って頑張って頑張ったが・・・負けた。
頭の中に浮かんだのは『長いものには巻かれろ』。
司には絶対秘密にするからと約束して、つくしはようやく自分の部屋に入る権利を手に入れた。

「え~・・・・っと!玉ねぎ、パン粉、牛乳・・・・・あ、着替えも!あと歯ブラシと・・・」
ドアの前で足踏みをしそうな勢いのSPを気にしながら、必要なものを次々とバッグに収めていく。
多分、タマの力を持ってしても、これが1回きりの帰還だろう。
誰が悪いって、悪いのはあのイカレポンチなんだけど、それはまあ帰ってきてから報復するとして。
大慌てでアレコレ持って、
「おまたせしましたっ」
と、SPの前に立ったのは、彼が痺れを切らして部屋に踏み入ろうとした瞬間だった。
「あ!パジャマ忘れたっ!」
「もうダメです!」
さあさあさあさあさあ!
そのまま背中を押されるように司の部屋に入れられて、恐ろしいものでも封印するように閉じ込められた。

何だと思われてるんだ、あたしは。

眉間に皺を寄せて、部屋に入って行くとタマは電話中だった。
「・・・・・・なんですか!もう、肝っ玉のちっちゃい男だね!そんなんじゃ、つくしにまた逃げられても知らないよッ!」
『・・・・・・・!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!・・・・・・・・・・・!』
「ああ。ああ、居ますよ!ちょっとお待ちくださいっ!」
『・・・・・・・・・・・・!・・・・・』
何か怒鳴り続けている受話器を下ろすと、タマはニヤリと笑ってつくしを見た。
「坊ちゃんからだけど?」
「出ません」
「出ないってさ」
すぐさま伝えたタマに、電話から流れる怒鳴り声が大きくなる。
「ああ、もうウルサイねぇ。切りますよ!」
干物ババァとか聞こえてくる受話器をガチャンと戻すと、タマは電話線を引き抜いた。
「せ、センパイ?」
「お仕置きだよ」
「え」
「いくら心配だからって、あんたの気持ちを無視して閉じ込めとくなんて間違ってるだろ?好きなようにされてる女じゃないって見せてやりな」
そう言ってからタマは慌てて
「逃げ出せって意味じゃないからね」
と笑った。


2人で台所に立ちながら、いろんな話をした。

昔のこと。
今の事。
それから未来の事も。


「ははははっ」
「それで、笑いでも取ろうかと思って、アヒルちゃんのボールペンあげたら、アイツ胸ポケットに差しちゃって!すっごい違和感なのに、そのまま本社に入って行っちゃって、本社の人も言うに言えない訳ですよ!ほんと微妙な雰囲気だった」
「あんた、そのアヒルちゃんが今どこにあるか知ってるかい?」
「え?机の中とか?」
「金庫の中」
「げっ!」
「金庫、買ったんだよ、わざわざ。そのアヒルちゃんのために。ああ。あんたにも見せたかった。あの日帰ってきた坊ちゃん、あれを大事そうに握ってねぇ」
「は・・・・恥ずかしいヤツ・・・・・・」
「ははははは」
ひき肉に豆腐を混ぜて2人分。
玉ねぎは炒めれば炒めるほどいい。


「坊ちゃんと一緒に行くのかい?」
「そう、思ってます。すぐには無理だけど。まだ会社にも言ってないし、手続きとかいろいろあるし。ああ、そう言えば、センパイ、道明寺の出張って、いつまでだか知ってますか?」
「・・・・・・・・・・・・・あんた知らなかったのかい?」
「なんか聞きそびれちゃって」
えへへ、と笑って見下ろすと、呆れて見上げるタマと目があった。
「全くあんたは・・・・・・・」
しわくちゃの顔が笑いだす。
「明後日、NYへ戻られるって聞いてるけどね」
「あさって・・・・」
またひと時、離れ離れになると思うと、思わず肩が落ちる。
それを見て
「しかし、よくこの短い間で上手くやれたねぇ、あの坊ちゃんが」
急にタマが明るい声を出し、つくしを肘でつついた。
「しかも相手はあんただってのに」
「何ですか。あたしが相手じゃ何か?」
「あんただけだよ、こんなに坊ちゃんの思う通りにならない子は」
「・・・・・・・そんなこと、ないですよ」
「声が小さいよ。ははははっ」
「って言うか、センパイだって要所要所で、道明寺が可哀想だった話とかして、ずいぶんやってくれましたよね」
「さて、そうだったかねぇ」
「年寄りのふりしない!それに西田さんとかも」
「ああ、能面秘書」
「アンドロイド秘書・・・・くくく」
「腹黒秘書、あははは」
「陰謀秘書、ふははは」
「愛想なしの真四角男」
「ぶっ!え~~と、結構、坊ちゃんにツンデレ」
「なんだい?つんでれ、って」
「すっごい甘やかしっぷりなんですよ~」
「へぇ」
こねこねこねこね、ぱんぱんぱん。
小判形に整えて、真ん中はへこます。
付けあわせはブロッコリーと人参。
「ねぇ、道明寺って後ろから見るとブロッコリーに似てますよね」
「あんた、しょんぼりしてるかと思ったら、そんなこと考えてたのかい」
「あはははは」


それから2人で作った夕食を、笑いながら食べてお腹いっぱいになった後。
並んで食器を洗っている時、タマが言った。
「明日、坊ちゃんが帰ってきたらさ」
「え?」
「取りあえず一発殴ってもいいから」
「了解です」
ビシッ!敬礼。
「その後は優しくしてやんな」
「センパイ・・・・・・・・・?」
「あの子は、頑張っただろ?ま、あんたにしちゃ迷惑な頑張りもあったと思うけど」
「あははははは」
「本当に、必死だったからね。あんたに関する事だけだよ。あの子が必死になるのは。だから・・・・・・・ちょっとは甘やかしてもいいだろ?」
「いっつも、皆で寄ってたかってアイツの事甘やかしてるじゃないですか」
あはは、ともう一度笑うとつくしは神妙な顔をした。
「あたしだって、優しくしたいのはヤマヤマなんですけど。あいつの暴走っぷりがそれを許さないって言うか。え~・・・・・なんか、顔見ると素直になれないんですよねぇ・・・・」
カチャカチャと食器を扱いながら、もしかしたら前世では天敵だったんじゃないか。と、本気で考えているつくしをタマも笑った。
「素直になっときな。想う相手と一緒にいられる時はね。あたしみたいに相手に先に死なれちゃ優しくしたくても、もうできやしないんだから」
「センパイ・・・・・・」
「なんだい。辛気臭い顔すんじゃないよ。あたしは不幸じゃないよ。そりゃ旦那は早くに死んじまったけど、一緒にいる間、お互い心から想い合って、かけがえのない大切なものをもらったからね。短い間だったけど、とても幸せだった」
タマはうっすらと微笑んだ。
「その、幸せな想いが、あたしを今日まで生かしてくれた。・・・・・・・そういうもんだ」
「センパイ・・・・・」
じわりと、目を潤ませたつくしの背中を、突然タマがバシッと叩く。
「痛ったぁ~~~っ!!!」
「ほれ、手ぇ出しな」
ポケットをガサガサさせているタマを見て、言われたとおりにつくしが手を出すと、タマはその手のひらに小さな銀色の粒を二つ置いた。
「素直になる薬、やるから」
「・・・・・・・・・・・仁丹じゃないですか」
バシバシバシッ!!
「いたいいたいいたいっ!」
「バカ、素直になる薬だって言ってんだろ」
笑うタマにつられて笑って、つくしは『素直になる薬』を口に放りこんだ。
「・・・・・・・なんか、おばあちゃんの味がする。痛いっ!センパイ痛いですっ!」

そしてタマは帰って行った。
コトコトと杖をついて。
ニコニコと笑って。
SPを思いきり威嚇して。







                      28へ


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コメント
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2010/05/14(金) 23:04 | | #[ 編集]
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2010/05/15(土) 00:49 | | #[ 編集]
やっぱT×Tは最高面白い!早く続きが読みたいなっ。
坊ちゃん最高ぉ。T×Tに出会った瞬間からずっと惚れてます。
タマさんも西田さんも魔女さえも。全ての人に愛が溢れていますよね。ちょいっと涙が出ちゃいました。あったかくって。
2010/05/15(土) 00:56 | URL | あゆ #-[ 編集]
素敵なインターセプト
いつも思ってますが、とばさんホント天才v-20
…というかプロの物書き様が趣味でやってらっしゃるのでは??

プロフィール見て、えーーーーっっっ!!ぼっちゃんご帰還まだですかあ~~っっっ!と叫んでしまい…
家人に不審がられましたが…
今回、ホントにいいお話でしたv-10

早くRを!!と願う自分に穢れてるな~と反省入れつつも…v-14
タマさんも優しくしろとおっしゃったことですし~坊ちゃんご帰還のあかつきには存分にさせてあげて(何を?ナニをv-238)くださいまし。
そしてつくしが四の五の言っても、NYには一緒に行く…と。
私も坊ちゃん甘やかし隊に入隊~!!!
2010/05/15(土) 07:17 | URL | 紫紺 #v9aI.q/w[ 編集]
こっちお天気いいけど、坊ちゃん付近は暴風?
   こんにちは!!
 
 坊ちゃん、ホッカイドー名物食べたかなぁ・・
つくしのせいでそれどころじゃない? 

イカレポンチv-354の天然パーマくんも
頑固一徹昭和のおやじの着ぐるみ着たe-455天然鈍感ちゃんも
どっちもどっちでしょう。e-454

ヤ~、タマさんはいい味出してます!
やっぱ、亀の甲より年の功e-267ですねぇ。

タマさんの命(?)によりe-266坊ちゃん甘やかし隊員e-266になってしまったつくしはすなおに甘やかし、甘えられるのか?

さて、つくしの無事を確認した坊ちゃん、タマさんにも電話をブチ切られてどうしてるかなぁ・・
e-420ツンデレ西田さんe-420にツンされてる?デレされてる?

ブッフフ・・、e-415坊ちゃんが帰ってきてからが楽しみだぁe-415

e-420春の寸止め祭りe-420v-278夏の寸止め祭りv-278まで続く?

     では、また・・・e-463
2010/05/15(土) 14:34 | URL | magenta #-[ 編集]
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2010/05/15(土) 15:11 | | #[ 編集]
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2010/05/15(土) 18:25 | | #[ 編集]
つくし、最初で最後に・・
こんばんは。

タマさん、いい味だしてますね。
本当、小さい頃から見てきた坊ちゃんに幸せになって欲しいとずっと願ってきてたんですよね。
タマさんにはまだまだ現役でいていただきたいけど、「これで、あたしも思い残すことはないよ」って言ってくれるように

そして、西田も、今までがんばってきた甲斐がありましたって胸を本当になでおろすように

何度も天国と地獄を見てきた坊ちゃんにも本当の安らぎがくるように(あと思いっきりラブi-175させてあげて~~)

つくしには、最初で最後でこの1度だけでいいから、素直になって、坊ちゃんを受け止めて欲しいなああって思いました。

私も、あゆさん同様、ウルルv-356ってきちゃいました。

あと、今度、ブロッコリーを食べる時に、坊ちゃんを思い浮かべてしまいそうですi-237

続き楽しみにしています。

2010/05/15(土) 23:16 | URL | くりん #sCj5cBmo[ 編集]
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2010/05/16(日) 00:46 | | #[ 編集]
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2010/05/17(月) 08:26 | | #[ 編集]
Cさま
こんにちは
早々にコメ頂いておりましたのに遅くなり申し訳ありません。
あ、まだ幸せじゃないんだ!
全然気づきませんで、いやぁ恐縮です(笑)。
坊ちゃんもうすぐ返しますので、その際にはヨロシクお願いいたします←何を
いえ、なんか痒い事とか、寒い事とか書いてあっても突っ込まない方向で(笑)。
ありがとうございました。
2010/05/17(月) 11:42 | URL | とば #-[ 編集]
りんごさま
こんにちはv-278
わ~!
ローカルネタに反応ありがとうございますv-467v-518イルカもいるよ!
津軽海峡くらいなら余裕で泳いで渡っちゃいそうですけどね(笑)。
坊ちゃんが無事につくしちゃんの元へ帰れますように(笑)。
ありがとうございました。
2010/05/17(月) 11:48 | URL | とば #-[ 編集]
あゆさま
こんにちは
e-449褒めていただきました。うはー。
とても嬉しがっております。ありがとうございます。
タマさんが出てくると、なんだか泣きの方向へ行ってしまうのが悩みです(笑)。
みんなの事が大好きなので、ちょっとアレもコレも書いておきたい…と思うと、坊ちゃんが全然帰って来られなくなるので、そろそろ余談(余談なんだ・笑)終了です。
ありがたいお言葉、本当に嬉しいです。これからもヨロシクお願いいたします。
2010/05/17(月) 12:00 | URL | とば #-[ 編集]
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2010/05/17(月) 12:04 | | #[ 編集]
紫紺さま
こんにちは
甘やかし隊に入隊ありがとうございますe-420
あと、あの。
e-449褒めていただきありがとうございますe-449
褒めすぎですe-330天狗になりますので(笑)お手柔らかにお願いたします。
プロフィール読んでくださってるんですね(笑)!ありがとうございます。
次はあそこに『帰ってきたぜ』って入れられるように頑張りますe-271
ありがとうございましたv-344
2010/05/17(月) 12:08 | URL | とば #-[ 編集]
magentaさま
こんにちは
春の寸止め祭り、次回から本祭に(ぶはははは)入りますe-415
春の…でいいのかなぁと思いながら、北の国はやっと今春だし(v-252咲いてま~す)ヤマOキ春のパン祭りも5月末までだし、いいかなぁと(笑)。
現在北の国の西田さんと坊ちゃん。
つくしの動向に、遠くからでも振り回されてる坊ちゃんを操縦するの、大変だろうなぁ(笑)
こんなことなら無理にでも牧野さまを同行させるんだったとか思ってるかなぁ。
それとも『頑張ったら早く帰れる』をエサに、めっちゃ操ってるんでしょうか。
そこも書いときたいような気がしますが、ますます坊ちゃんの帰還が遅れるためスルー(笑)
本祭もどうぞヨロシクお願いいたしますe-420
2010/05/17(月) 12:27 | URL | とば #-[ 編集]
煌々さま
こんにちは
たくさんの感想と考察とあたたかいお言葉を、ありがとうございます!
とてもとても嬉しくて、いっぱい返事したい!と思うのですが、ホントすいませんe-259いっつも3行メール並みのレスで…。
今回、甘えを覚えてレベルが10000000アップした坊ちゃんに、ゲ~ラゲラ笑ってしまいました!←ゼロの数合っていますか(笑)?
『つかさは あまえる をおぼえた
 つかさのすばやさが2あがった かしこさが2あがった
 ちからが3あがった ふぇろもんが5あがった』

『まきのがあらわれた
 つかさは あまえる をつかった

 しかしなにもおこらなかった』

おバカな妄想なら幾らでも湧いてきますのに(笑)。
次回、 あまえる を使って頑張りたいと思います!
ありがとうございました。
2010/05/17(月) 12:41 | URL | とば #-[ 編集]
いろはさま
こんにちはv-278
わたしはツンの西田さんが好きで~す(笑)。
タマさん総監督は賛成です。
いっそ西田さんを手足のようにこき使ってほしいv-347
坊ちゃんへの甘~いお誘いもありがとうございます。
そんなこと言われたら、ほんのり赤くなっちゃうじゃないですか(笑)。
e-449わたくしも赤面しつつ、頑張っております。
次回もヨロシクお願いいたしますe-420
2010/05/17(月) 13:37 | URL | とば #-[ 編集]
くりんさま
こんにちは
最初で最後でこの1度だけでいいからと言って頂き、どんだけ遠慮深い方なんだろうと思っておりましたら、あっ!また私がイヤ~な展開に曲げていくのを防ぐ予防線なのでは!って、いま気づきました(笑)。
信用がないですね~(笑)。←信用される事をしていない(笑)
          一度だけでいいんですね ぼそ      
思いっきりラブe-414うはははは!なんかツボでした。
で、できるかな~。
が、頑張ります~。
ブロッコリーは、うちの4歳児が坊ちゃんのシルエットを見て言った感想なんです。
私もそれ以来、ブロッコリーを見るとちょっと意識するようになってしまったので、その気持ちを皆さんにおすそわけ、えい。←いらねーよ
今日もありがとうございました。
2010/05/17(月) 13:47 | URL | とば #-[ 編集]
LUCAさま
こんにちは
『ちゅーの回数』に反応(笑)。
何よりもちゅーに萌えてしまう乙女ババァなんですが、しかも最近はもう舌なんか入れなくてもいいとか思っちゃう乙女ぶりなんですが、次回の再会に向けてこれってどうかと思います(笑)。
退化?老化?昇華?
どうでもいいけど(←え)185センチと160センチのちゅーは立ってちゃ大変ですよね。坊ちゃんも首が痛いって言ってたし。
そこにまた萌えてしまうんですけど、もう。この乙女脳をなんとかしてください(笑)。
坊ちゃんへのv-82旗を振っての応援もありがとうございます!
またヨロシクお願いいたします~。
2010/05/17(月) 14:04 | URL | とば #-[ 編集]
ひなつゆかさま
こんにちは
帰っていらしたんでしょうか、お疲れ様でした。
気落ちされていないか心配です。
お辛いなかコメントありがとうございます。こちらの方が元気ヤル気を頂いて、申し訳ないです。
こちらやっと暖かくなってきて、ようやく暖房止めました。
灯油の価格が上がって来てるから良かった~←所帯くさい
そちらはもう、ずっとあたたかいんでしょうけど、消耗されないようにお身体ご自愛ください。
それでは。
2010/05/17(月) 14:12 | URL | とば #-[ 編集]
みかんさま
こんにちはv-278
津軽海峡に反応してくださりありがとうございます!
ローカルすぎるネタですが、北海道と本土…じゃあない本州を隔てていま~すv-467
「業務に支障が…」で萌えてくださったのは多分みかんさまだけ(笑)。
巻きつき指令(圧力)も受け取りました。
坊ちゃんの報復(重圧)も頑張ります(笑)。
いい砂吐いていただけますようにe-420
2010/05/17(月) 14:22 | URL | とば #-[ 編集]
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